12月にも死者「クマ」被害相次ぐ、ハンター語る課題…襲われた人初証言(2025年振り返り・宮城)
■2025年クマの出没が相次いだ 駆除数も過去17年で最多

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被害は12月20日にも。宮城・大和町吉田の山林で、イノシシ用のワナに体長 約1.3メートルのメスのクマがかかり、見回りに来ていた猟友会所属の加藤光男さん(89)が倒れた状態で発見されました。クマはその場で駆除されましたが、加藤さんは頭などから血を流しその場で死亡が確認されました。
環境省によりますと、全国で12月のクマによる死者は記録が残る2016年以降で確認されておらず、クマによる人身被害はこの10年で初めての死者となります。
宮城県内での人身被害は、20日の被害も含め6件。10月には栗駒山にキノコ採りに出かけたグループがクマに襲われ75歳の女性が死亡。一緒にいた70代の女性は行方不明のままです。
一方、今シーズン10月末の時点で駆除されたクマは、秋田県では1973頭など全国で9765頭に上ります。市街地でも目撃は相次ぎ、宮城県内のクマの駆除は344頭と、過去17年で最多となりました。
■冬眠しないクマ、そして来年の見通しは?

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石巻専修大学で野生動物を研究する辻教授は、クマのエサであるブナの実の凶作が、冬眠しないクマの出現につながっていると話します。
辻教授
「冬眠しないクマは2種類いまして、一つは食べ物を獲得できなくてお腹を空かせてうろうろしているクマ。もう一つは人間の食べ物に完全になじんでしまって、冬眠せずに冬の間中人間の食べ物を食べるクマの2種類います」
このため、辻教授は冬の間にもクマをおびき寄せる果樹の伐採や、市街地につながる河川のやぶ払いが重要だと指摘します。
辻教授
「市街地でクマが1番接近しやすいのは川沿い。川沿いにはあまり近づかない、特にクマの活動のピークと思われる早朝や夜間に川沿いにあまり近づかないことが、自己防衛としてはいいのかなと。スキー場などのウィンタースポーツの所、例えば山小屋とかスキー場の管理している方が生ごみをクマがやってこないように適切に管理するというのが大事」
辻教授は、来年(2026年)の見通しについて、2年連続でのブナの実の凶作は考えにくいとします。その上で危惧することがあります
辻教授
「クマに対して地元の方たちが過剰に反応してしまって、対応が極端にエスカレートしてしまうのを非常に懸念している」
■2025年「緊急銃猟制度」が始まる 初の事例は「仙台市」

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2025年9月 市町村の判断で市街地で発砲が可能となる「緊急銃猟制度」が始まり、全国初の事例が仙台市でした。太白区鈎取の住宅地に留まるクマが10月、緊急銃猟で駆除されました。
クマの駆除にあたった男性が当時の状況を語りました。
仙台市鳥獣被害対策実施隊の男性
「朝の5時45分頃かな、クマにライト照らさせたら目が光った。一瞬を狙わないといけない、外したら大変なことになるという危機感というか責任感」
11月には、秋田県知事がクマ対応にあたる市町村や猟友会を支援するため、自衛隊の派遣を要請。警察官が、ライフル銃でクマを駆除できる運用も始まりました。
■全国初 緊急銃猟に至った時系列

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10月14日午後5時、クマを目撃した住民が警察に通報。
午後5時45分、警察官と区の職員が住宅地の林でクマ1頭を確認します。
ただ暗くなっていて夜間でも撃てる資格をもったハンターがいなかったことから、日の出を待つことにします。
その間、住民に対しては外出を控えるよう呼びかけ、夜明けまで警察と職員が車の中から交代で現場の見張りを続けます。
そして、10月15日午前5時半に再集合して、『緊急銃猟』の4条件が揃っていることを確認。
日の出から約10分後の午前5時55分、権限を持っている区の職員が『緊急銃猟』を最終的に判断。その2分後、ハンターが発砲し駆除しました。
■そもそも「緊急銃猟」とは

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9月1日から始まった「緊急銃猟制度」。
市町村の判断で、市街地でも特例的に猟銃の使用が可能になる制度です。
具体的には、人の生活圏に侵入しているまたは侵入の恐れが大きいこと、人への危害を防止する措置が緊急に必要なことなど、4つの条件をすべて満たした場合に、市町村の判断で猟銃の使用が可能になります。
法改正の背景には、人の生活圏でもクマの被害や目撃情報が相次いでいることが挙げられます。
■ハンターが語る課題

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ハンターの浅井さんは箱わなの全国的な不足に悩まされたといいます。
浅井さん
「(箱わなの数は)今年は全然足りないですね。今年はもう10基あっても足りないくらい」
今後に向けては、ハンターの高齢化が課題とも話します。
浅井さん
「70代が一番多いんじゃないですか。40代では片手で足りるか余るかくらいしかいないです。若い人たちは少ないです」
ハンター確保には、報酬の底上げも必要と指摘します
浅井さん
「見回りは1500円にしかなりません。捕獲すると、今のところ大和町の場合は1万円ですね」
■宮城県が『クマ総合緊急対策』発表

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11月5日、宮城県が発表したクマ総合緊急対策は、市町村を支援するものです。
村井知事
「箱わなが少ない、箱わなを設置する人出が足りない、巡回する人手が足りない」
箱わなは、全国からの注文殺到で数が不足する中、県が業者に一括発注して市町村に配備する計画です。
自治体職員でありながら 狩猟免許も持つ“ガバメントハンター”については、警察官や自衛官OBなどを採用しての派遣を検討しているということです。
県では、クマの市街地への侵入経路となる河川について、下草刈りを民間事業者に発注し実施されました。
また県の総合緊急対策では、警備会社に委託しての緊急パトロールも行われました。
加美町・石山町長
「クマのパトロールしていただく、本当に助かります」
緊急パトロールは、県に要請があった8つの市町の 目撃の多い地区や学校近くを重点的に、11月30日まで実施しました。
県が行う「ツキノワグマ総合緊急対策」の財源は約2億2000万円。具体的には、柿や栗などクマを引き寄せる樹木の調査や伐採に約6400万円、クマの移動経路となる河川敷のやぶの撤去に約6000万円、また、クマの目撃件数が多い市町村のパトロールを民間の警備会社に委託する費用として約3200万円。県は県議会11月定例会で補正予算を組みました。
■「初証言①」クマに襲われ骨折 当時の恐怖体験

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自宅でクマに襲われ重傷を負った男性が、その恐怖体験を初めてカメラの前で証言しました。
宮城・色麻町の77歳の男性は、2023年11月の夜、自宅でクマに襲われました。
クマに襲われた男性(77)
「クマの野郎、ここに来てダメだぞって木をぶつけた。1発目外れたが2発目が当たった。クマがうなり始めた。これはやばいと思ってこうやってバックした。この辺から走り出したら、クマがすごい勢い」
男性が、自宅に逃げ込もうと扉を閉めた瞬間。
クマに襲われた男性(77)
「ここを閉めようと思ったら、(腕を)ガバっと噛まれた引きずり降ろされた。顔をガリガリガリ」
男性がクマに襲われた後の映像です。
自宅勝手口の前には、男性の血痕や脱ぎ捨てられたサンダルが生々しく残されていました。

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男性の体には、今も傷が残っています。
男性を襲ったクマは、体長1メートル。
仰向けで倒れこんだ男性の顔を何度もひっかき、右腕の骨をかみ砕きました。
クマに襲われ大けがをした男性は、自宅の倉庫に収穫したカキを置いていたことでクマを引き寄せてしまったと考えています。
クマに襲われた男性(77)
「第一反省はクマを見たら近寄らない。(そばに)いかなければ何もなかったんだ。興奮させたらダメなんだ、騒いだり大声出したり」
県では、生ごみの管理の徹底や建物のハチの巣を放置しない、クマが潜みやすいヤブの刈り取りなどを呼びかけています。
■「初証言➁」クマに襲われケガ 「俺はもうダメだと思った」

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9年前、仙台市泉区の自宅近くでクマに襲われケガをした男性が、当時の恐怖を初めて証言しました。
クマに襲われた男性
「俺はもうダメだなと思った。ダメだと思ってここに立っていた。硬直して動けなくなって」
仙台市泉区上谷刈に暮らす男性(71)は、9年前の11月の夜 地区の集会が終わり夜道を歩いて帰宅する途中でクマと遭遇しました。
クマは、木の陰から仁王立ちになって威嚇してきたといいます。
そして、男性が目を離した瞬間 背後から襲われました。
これは当時男性が着ていたダウンです。
左脇が10センチほど破けているのは、クマの爪が食い込んだからだといいます。

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クマに襲われた男性
「爪が3本ぐらい入った。それでもがいている間にクマが逆にびっくりしたか分からないけど、(爪を)抜いてこっちの方向に向かっていった」
男性がとっさに頭を守ろうとあげた手が、クマの顔に当たり逃げていきました。
クマに襲われた男性
「自分はラッキーだったと思う。 たまたま(傷が)軽くて。入院をすることも無いし、みんなびっくりしている」
男性がクマに襲われた当時、周辺では数日前から目撃情報があったということで、男性はもっと警戒しておけばよかったと振り返ります。
クマに襲われた男性
「近辺に(クマが)出たのであれば、危険な状況を想定して 対策とかやらなきゃいけないと思う」
■生成AIによるクマのフェイク画像も…

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住宅街の路上を歩く1頭のクマ。
この画像は、11月26日に住民が生成AIで作成したフェイク画像です。
女川町は情報の真偽について不明だったものの、「緊急の情報として町民の危険を防ぐため発信した」と話しています。
宮城県・村井知事
「なかなかこれに対して行政がどう対処すれば良いのか難しい問題。何よりも安全最優先ですから、女川の対応は間違っていなかったと私は思います」
騒ぎが起きた当日の午前、ミヤギテレビではクマの足元にある側溝の金属製のフタが歪んでいることを発見。報道を見合わせた上で、実際の現場を取材すると、フタが歪んでいないことが判明しました。
その後、画像を作成した本人がフェイク画像であると、女川町に申し出をしています。
今回の画像の不自然な点について、生成AIに詳しい東北学院大学の武田敦志教授へ話を聞きました。
武田教授
「今の生成AIが苦手なところ、側溝の網の規則性が少しずれてるですとか、影が少しおかしいですとかそういったものは今の生成AIが苦手なものでありますので、今の技術の生成AIであればそういうところに我々は違和感を感じる」
しかし、今後 こうした画像の違和感に気づくことにも限界があると話します。
武田教授
「今後はほとんど専門家であっても見分けるのは不可能な画像がでてくるだろうと思いますので、画像を見て真実かどうかを見分けるというのは、人間としては諦めた方がいいのかなと思います」
武田教授は、今後もフェイク情報は増えていくと予想した上で、情報の真偽を確かめる体制づくりが必要になると話します。
武田教授
「発信者が誰なのかというのが、一番重要になってくる。情報担当が情報を集めて精査して発信するというシステム、そういったものが各自治体だけではなく、公的な情報を発信するところはそういったところをしっかり考えていく必要がある」