2026年は「国産レアアース元年」に? 世紀の大発見から十余年...「レアアース泥」いよいよ試験採掘へ 商業化へ向けたカギは?

 1月11日、日本の南鳥島周辺で“世界初”となる「レアアース泥」の試験採掘が始まります。 海底から採取するメリットは?実用化に向けてのハードルは?東京大学・中村謙太郎教授への取材を交え解説します。

もはや生活に欠かせない「レアアース」なにに使われている?

 石炭の時代(第一次産業革命)、石油の時代(第二次産業革命)を経て、現在はレアアースによる第三次産業革命と言われるほど重要な存在になっているレアアース。

 17種類の元素の総称(希土類)で、ネオジム(強力磁石)やジスプロシウムなどが含まれます。質量の大きいものほど希少性が高く、軽いレアアースを「軽希土」、重いレアアースを「重希土」と呼んでいます。

 EV=電気自動車やスマートフォン、ドローン、風力発電など先端技術に多く使われているほか、蛍光灯やLED照明にも使用されています。

埋蔵量・精錬量ともに中国が世界一

 財務省の資料によると、世界のレアアースの埋蔵量の約半分は中国にあり、総量は4400万tだということです。

<レアアース埋蔵量>

▼1位 中国 48.9%

▼2位 ブラジル 23.3%

▼3位 インド 7.7%

▼4位 豪州

▼5位 ロシア

 埋蔵量だけで見ると、中国以外にも埋まっているように見えますが、「精錬量」で見ると、中国が91%と世界一のシェアとなっています(財務省の資料)。

<レアアース精錬量>

▼1位 中国    91%

▼2位 マレーシア 4%

▼3位 ベトナム  1%

もはや生活に欠かせない「レアアース」なにに使われている?

 この背景には精錬時に発生する“悩ましい副産物”の存在があるようです。

 レアアースを精錬すると、放射性元素を含む廃棄物が大量発生します。世界中の国々は、実は中国に環境負荷やそのコストを頼っている状態だと言えるでしょう。

 この状況を変えるべく、世界中が他の地域でも精錬できるようにしていますが、量は限られているのが現状です。

商業化に向けての「ハードル」は?

 そんな中、10年ほど前に日本が大発見をしました。南鳥島の領域内で海底の泥に高濃度のレアアース成分が含まれていることを東京大学の加藤・中村・安川研究室が見つけたのです。

 埋蔵量は1600万tで、海中で濃縮されたレアアースは、放射性元素を含む廃棄物の心配がほぼないということです。

 ただ、商業化へ向けては、▽技術的にできるか、▽量が採れるのか、▽コストに合うか、などのハードルが存在します。

 東京大学の中村謙太郎教授によると、日本の年間のレアアース需要は約1万8000tで、この需要を満たすためには、濃度などを考慮すると年間数100万tの泥の採取が必要だということです。

 世紀の大発見から10年以上の時が経ち、いよいよ1月11日に、この南鳥島周辺で“世界初”となる「レアアース泥」の試験採掘が始まります。2026年は、「国産レアアース元年」となるのでしょうか?