日本が中国の輸出規制に抗議、選択肢が限られる中で対抗する方法とは
(ブルームバーグ): 中国による新たな輸出規制措置への日本の対応は慎重なものとなりそうだ。報復手段が限られている上、すでに緊張感が高まっている最大の貿易相手国との関係をこれ以上悪化させたくないという判断が背景にある。
中国は、日本への軍事利用が可能なデュアルユース(軍民両用)物資の輸出を全面的に禁止したほか、レアアース(希土類)規制を強化する可能性も示唆しており、日本が抱えるサプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性を突いている。中国は多くの重要鉱物の加工で世界を主導しており、その影響力を利用して、日本や米国などの貿易相手国に圧力をかけてきた前例がある。
中国はさらに圧力を強め、7日には日本から輸入される半導体製造材料のジクロロシランに対する反ダンピング(不当廉売)調査を開始すると発表した。
日本が対抗措置に踏み切れば、経済的な打撃が拡大するリスクもある。特に、電気自動車の生産に中国製部品を必要とする自動車メーカーにとっては深刻だ。
日本にとって最も信頼できる対抗軸は米国だ。トランプ米大統領は「できることがあれば、必ず応える」と高市早苗首相に申し出た。高市首相は今春にも訪米する予定。米国と協調して中国に圧力をかけ、重要鉱物・産業政策で協力する緊密な連携は、日本にとって交渉力の強化につながる可能性がある。
日本が選択できる対応策は以下の通り:
米国に頼る

Sanae Takaichi
日本にとって最も重要な安全保障上の同盟国である米国との緊密な連携が、高市首相の最初の対応策となる可能性が高い。日本が中国に抗議した翌7日、日本の政府高官が米国のカウンターパートと電話会談を行い、両国間の緊密な協調を再確認した。
高市首相は早ければ3月にも米ワシントンを訪れる可能性がある。昨年11月に日中間の緊張が高まり始めた際、トランプ氏は習近平国家主席と高市首相の双方と相次いで電話会談を行った。米中間の貿易休戦を維持しつつ、日本に対する米国の支援姿勢を示す狙いがあったとみられる。
会談後、高市首相は「トランプ大統領からは、極めて親しい友人であり、いつでも電話をしてきてほしいというお話があった」と述べている。
中国に圧力をかける
中国ははるかに大きな経済的影響力を持つが、日本にも選択肢がないわけではない。ブルームバーグ・エコノミクスによれば、日本は中国にとって第2位の輸出先であり、全体の約4%を占める。世界的な貿易摩擦が中国の製造業を圧迫する中、日本は重要な販路となっている。
また、日本は中国にとって第3位の輸入元でもあり、同期間の輸入総額の6.3%を供給。うち機械・電子機器が約52%を占めている。

目立つ日本の対中貿易依存
さらに注目すべきは、日本が先端半導体製造に不可欠な感光性材料のフォトレジストなどの分野で、世界市場の約90%を握っている点だ。これらの輸出を制限すれば、自国内で半導体産業の自立を目指す中国の計画に打撃を与える可能性がある。特に、米国やオランダと連携すれば、日本が持つ数少ない戦略的な圧力手段の一つとなり得る。
ただ、そのような措置は中国による報復を招きかねない。中国の経済的圧力に対する耐性が大きいことを考えると、日本経済にとって逆効果となる可能性もある。
他国との連携
中国が、特定のレアアース関連品目について日本への輸出許可審査を厳格化する動きを見せる中、日本はこの脅威を材料に同様のリスクに直面する他国の支持を取り付ける可能性がある。各国は依然として、重要鉱物の面で中国に大きく依存している。
日本も中国産レアアースへの依存度はなお高いが、10年以上前に起きた輸出制限以降、依存低減に向けた取り組みを進めてきた。
2010年の事実上の禁輸措置を受け、日本はレアアースの供給源を多様化する方向にかじを切った。中国以外で最大のレアアース供給元となった豪ライナス・レア・アースに資金支援を行ったほか、リサイクルを含む代替資源の模索や供給ショックに備えた備蓄強化も行ってきた。
中国の圧力に単独で対応するのではなく、他国と連携して交渉力を高め、代替サプライチェーンの構築を加速させることができる。こうした取り組みには時間がかかるものの、長期的には成果をもたらすと期待される。

Lynas Rare Earths Plant
外交ルート
外交面では、中国が自国の立場への支持を広げるため他国への働きかけを進める中、日本は主要7カ国(G7)や国連といった既存の枠組みを通じて自国の主張を訴える方針とみられる。
日本はG7の中核的なメンバーであり、貿易やサプライチェーン、経済的威圧への対応について他の先進国と立場をすり合わせる場としてこの枠組みを活用している。中国による輸出規制への懸念を提起することは、他の加盟国も重要鉱物や産業安全保障について同様の懸念を抱いていることを踏まえると、受け入れられやすいとみられる。
それでも、日本は慎重な対応を取る可能性が高い。より広範な戦略としては、事態を過度に刺激することを避け、緊張緩和を優先し、対抗措置ではなく中国との対話を通じた解決を模索する点に重きを置いている。
原題:Here’s How Japan Can Hit Back at China’s New Export Controls(抜粋)
--取材協力:Mayumi Negishi、Martin Ritchie、照喜納明美、小宮弘子.
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