1日1杯の牛乳を飲むと大腸がんリスクを軽減できる可能性があるという研究結果

イギリスのオックスフォード大学などの研究チームが、50万人以上の被験者を対象に食習慣と大腸がんリスクの関連性を調べた研究で、「1日1杯の牛乳を飲むことが大腸がんリスクの低下と関連している」という結果を報告しました。

Diet-wide analyses for risk of colorectal cancer: prospective study of 12,251 incident cases among 542,778 women in the UK | Nature Communications

https://www.nature.com/articles/s41467-024-55219-5

Why a daily glass of milk really could reduce bowel cancer risk – an oncologist explains

https://theconversation.com/why-a-daily-glass-of-milk-really-could-reduce-bowel-cancer-risk-an-oncologist-explains-247301

イギリスでは年間4万5000人近くが大腸がんと診断されており、イギリス国内で3番目に多いタイプのがんとなっていますが、実際のところ大腸がんの多くは予防可能であるといわれています。

イギリスのがん研究団体であるCancer Research UKによると、大腸がんの54%はより健康的なライフスタイルを送ることで予防可能だとのこと。大腸がんのリスク増加に関連している生活習慣としては、喫煙や運動不足、アルコールや加工肉の摂取、貧しい食生活などが挙げられています。

オックスフォード大学の研究者が率いる研究チームは、牛乳の消費と大腸がんリスクの関連性を調べるため、54万2000人以上の女性被験者から遺伝データを収集し、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する能力に関連する遺伝子変異を調べました。また、1日の牛乳摂取量を含む食事に関する詳細情報を収集し、これらのデータセットを組み合わせて牛乳の摂取やその他の食生活と、大腸がんリスクとの関連を分析しました。

分析の結果、1日あたり244gの牛乳(グラス1杯分に相当、カルシウムに換算して約300mg)を追加で摂取した被験者は、大腸がんの発症リスクが17%も低いことが判明。このリスク軽減効果は、一般的な全乳や低脂肪乳、無脂肪乳などさまざまな種類の牛乳でみられました。

また、研究チームは牛乳による大腸がんリスクの軽減効果が、その他の食事要因や生活習慣と無関係であることも発見しました。つまり、牛乳を摂取したことによる大腸がんリスクの軽減は、「牛乳を飲んだ分だけ甘い清涼飲料水や炭酸飲料の摂取量が減った」といった不健康な習慣の代替や、「牛乳を飲む人はその他の食事でも健康に気を遣っている」といった健康的なライフスタイルとは関係ないことが示唆されたというわけです。

研究では牛乳以外の要因についても報告されており、大きめのグラスワイン1杯に相当する1日20gのアルコールを追加で摂取すると、大腸がんのリスクが15%増加することが報告されています。また、1日30g以上の赤身肉や加工肉を摂取すると、大腸がんのリスクが8%増加したこともわかったとのことです。

牛乳の摂取が大腸がんリスクを軽減する理由について、研究者らはいくつかの説明が考えられるとしています。まず、牛乳に多く含まれるカルシウムは以前の研究で、大腸がんリスクの軽減と関連していることが報告されています。カルシウムは腸内の潜在的に有害な物質と結合し、異常な細胞の死を促すことでがんから保護するのに役立つ可能性があるとのこと。

また、牛乳に含まれる乳糖は抗炎症作用と抗がん作用を持つ酪酸を生成する腸内細菌の成長を促進するほか、抗がん作用があるとみられる脂肪酸の一種・共役リノール酸も牛乳に含まれています。

今回の研究には関連しておらず、イギリスのアングリア・ラスキン大学で生物医学教授を務めるジャスティン・ステビング氏は、「この画期的な研究は全体として、牛乳の摂取が大腸がんリスク軽減に果たす潜在的な役割について、説得力のある証拠を提供しています。1日の牛乳摂取量を比較的控えめに増やすだけで、大腸がんリスクの有意な減少につながるという知見は、特に勇気づけられるものです。これは、食事における小さく達成可能な変化が、公衆衛生に有意義な影響を与える可能性があることを示唆しています」と述べました。