「たった2つの質問」で日常のミスが劇的に減る

失敗マップとは、再発防止策を考える思考の地図のことです(写真:ニコプロ/PIXTA)
本稿は、読者のみなさんの日常的な失敗への対策を目的としています。具体的には、「たった2つの質問に答えるだけ」でミスが減り、次の失敗の予防もできる「失敗マップ」を紹介していきます。
【マップを見る】まずは、失敗を「個人/組織」「定番/稀」の軸で分類します。4つのタイプそれぞれの対策は?
簡単なツールで、同じ失敗を繰り返さない
失敗を経験し、思ったような結果を得られなかったと感じることは誰しもあるでしょう。「もう立ち直れない」と思うほど落ち込んだことがある方も、中にはいらっしゃるかもしれません。あるいは今がその時かもしれません。
もちろん、失敗したら落ち込むのは当然の反応です。しかし、失敗した後も人生は続きます。だから、同じ失敗を繰り返さないように立ち直り、対策することが大切です。
そこで考えたのが、日常の生活や職場でも無理なく実践できる簡単なツールの開発であり、失敗マップです。失敗マップとは、失敗を4つのタイプ(本稿では「エリア」と呼びます)に分類し、エリアごとに効果的なリカバー方法を考え、再発防止策を考える思考の地図のことです。
【失敗マップってどんなもの?】
失敗マップは次の2つの質問に答えるだけで、その失敗がどの「エリア」(後述します)に当てはまるかがわかり、効果的な対策のヒントが得られるようになっています。
● 作業に関わっていた人数は?
● どのくらいの頻度で作業は行われる?
何か失敗をしでかしたときには、まずこの2つの質問に答えて失敗マップにプロットし、最善の対応策を探っていきます。次の図は、プロットする前の失敗マップのイメージです。
図には4つの領域があります。反時計回りに、右上が第1エリア、左上が第2エリア、左下が第3エリア、右下が第4エリアです。先ほど申し上げた「エリア」とはこちらのことを指します。
失敗マップは、2軸と4エリアから成るとてもシンプルなマップだということが、ご理解いただけることと思います。

(画像:『失敗マップのすすめ 2つの質問に答えるだけで「ミスしない・させない」を仕組み化できる新ツール!』より、イラスト:めんたまんた 、図版制作:キャップス)
失敗を分類する「4つのエリア」
マップの1つ目の軸は、「その出来事や作業の規模」です。関わる人数について、10個の指標を置きます。そして、もう1つの軸は「その出来事や作業の頻度」です。頻度の評価もまた10個の指標を考えました。

(画像:『失敗マップのすすめ 2つの質問に答えるだけで「ミスしない・させない」を仕組み化できる新ツール!』より 、図版制作:キャップス)
続いてエリアごとに事例を挙げていきます。
●会員向けに、重要な一斉メールを送信したが、大きな誤植が発覚。事前に何重にもわたってチェックしたが、全員が見落としていた
● 不具合を含んだ更新ソフトを世界に一斉配信したことで、マイクロソフトのOS「ウィンドウズ」のパソコンなどが動かなくなった
● 病院で新生児が取り違えられ、裁判に発展
● 「視察」と表記すべきところを「刺殺」と誤変換したまま自社HPで公開
● 銀行のATMを保守していた際、誤って電源を落としてしまった
● コピー機のスキャン部分に運転免許証を置いたまま帰宅した
● 人数分の資料を用意していたが、当日飛び入り参加があり、不足した
● 上司や経理のチェックがずさんで、必要のなかった高額な実験装置を購入してしまった
● 年3回すべき虫干しを1年間し忘れたところ、着物が虫食いだらけになった
● 大掃除で、いらないだろうと思って捨てた品物が、同居人が大切にしていた思い出の品だった
【エリアごとの失敗対策】
失敗をエリアごとに分類できたら、いよいよ失敗の対策を立てていきましょう。
しかし、どんな対策を立てればよいのか、方針もなく考えるのは大変です。そこで、各エリアに応じた失敗対策を簡単にまとめました。次の図をご覧ください。

(画像:『失敗マップのすすめ 2つの質問に答えるだけで「ミスしない・させない」を仕組み化できる新ツール!』より、イラスト:めんたまんた 、図版制作:キャップス)
失敗マップを活用してミスを減らす
ここで、親子で失敗マップを使うシチュエーションを想定し、提案から活用のシナリオを考えてみました。ぜひ、こちらを参考に失敗マップを活用して、自分だけでなく周囲の人のミスも減らしてみてください。
例:忘れ物をしないためのトリガー設定に協力してほしい
<シチュエーションの詳細>
● あなたは母親と同居する「子ども」で、外出時に自宅の鍵を持って出かけるのを忘れるときがある
● あなたが外出する際、母親はたいてい玄関まで見送ってくれる
● あなたが鍵を忘れるのは、母親が内側から施錠したタイミング
● 自分で必ず施錠することで鍵忘れを防ぎたく、母親に協力を仰ぎたい
● 休日、リビングで母親とお茶を飲みながら向き合う時間が久々に取れたので、あなたは要望を伝える心持ちでいる
<想定される会話>
あなた:お母さん、ちょっとお願いがあるんだけど。
母親:どうしたの?
あなた:毎朝、見送ってくれるのはとてもありがたいんだけど、私が出て行った後、鍵をかけようとするでしょう? あれ、やってほしくないなあって思ってて。
母親:どうして? 最近物騒だし、鍵をかけないわけにはいかないでしょう。
あなた:自分がやるから、お母さんは鍵をかけなくていいんだよ。
母親:うーん、なんか納得がいかないわね。
あなた:じゃあさ、失敗マップっていうツールがあるから、それを使ってどういうことが起きるのか、説明させてよ。そしたら、お母さんも納得できるかもしれないでしょう?
母親:まあ……やるだけなら……。
(失敗マップの使い方の説明を終える)
あなた:ちょっとコンビニに行くときとかに私が鍵を忘れたまま出かけたとするでしょう。それで、お母さんが鍵を閉めたあとに掃除機をかけ出して一切音が聞こえない状態になったとしよう。これは第3エリアにプロットされるね。
母親:なんで?
あなた:だって、出かけるのって1日に複数回やる可能性が高いし、お母さんと私が関わっているから2人作業でしょ? で、失敗マップが載っている本のTipsを見ると「その場でトリガーを設定する」ってある。だから私は自分が鍵を持っているかの点検も兼ねて、自分で鍵を閉めて出かけたいんだよね。
母親:別に私が内側から閉めても、鍵を持っているかを確認すればいいんじゃない? 私が家にいれば開けてあげることもできるし。
あなた:そうよね。でも、これまで、鍵を忘れないようにと思っていたのにやっぱり改善できてないし、もし何か理由があって、私が帰ってくるのが遅くなったら? 夜だったらお母さんは寝てしまって私が入れないかもしれないじゃない。
母親:鍵を私が閉めないことがトリガーになるのね。わかったわ。それでやってみましょう。
失敗マップを使って考察モードに移行する
普段なら聞き流してしまうような家族間の会話に失敗マップを持ちだすことによって少しフォーマル感が生まれ、キチンと話し合おうという空気が醸し出されます。そして、ちょっと言いにくいなと思っていたけれども本当は言いたかったことを、しっかり伝えることができました。
失敗してしまったとき、反省モードからうまく抜け出して、考察モードに移行するために失敗マップが役に立つこと、そして今の人間と機械との共存社会で、人間に重い負担をかけている部分が少しずつ減っていくことを切に望みます。