専門医が指南「血糖値スパイク」を防ぐ5つの食材

“食後すぐにお腹が空く”の正体とは?, 「消化の良さ」は“速さ”ではわからない, 食後すぐの空腹感は“糖尿病予備軍”, 「消化の良さ」を教えてくれるのは毎日の「うんち」, 腸の「時差ボケ」を解消する5つの食材

「食べてもすぐお腹が空く」こと=「消化が良い」ことだと勘違いしていませんか?(写真:jhphoto/PIXTA)

乱れた食習慣によって腸が疲労している人が急増しています。40代から徐々に発症するこの「腸疲労」。消化管の機能が衰えたり、殺菌作用のある胃酸の分泌量が減ることで、腸内で悪玉菌の勢力が強まってしまいます。
しかし、「何歳になっても元気な腸は必ず取り戻せます」と語るのは、10万人の腸を見てきた内視鏡専門医・平島徹朗氏、秋山祖久氏。
本記事は2人が上梓した『腸疲労 40代から必要な消化・吸収の新習慣』から一部抜粋・再構成して、元気な胃腸を守るための習慣や食べ物について紹介します。

“食後すぐにお腹が空く”の正体とは?

「焼き肉なら断然カルビ」

【図表を見る】血糖値と食事の関係をグラフで表すとこんな感じ

「飲んだ後はラーメンでシメる」

こんな旺盛な食欲を30代まで示していた人も、40歳を過ぎたあたりから、胸やけや消化不良に悩まされることが増えてきてませんか?

加齢とともに多くの人が感じる、腸そのものが疲労しきった状態を、我々は「腸疲労」と呼んでいます。

この腸の老化を語るうえで、避けては通れないキーワードのひとつが「糖化」です。

「糖化」とは体内で糖とタンパク質が結びつくこと。ホットケーキを焼いた時、こんがりとおいしそうな焼き色がつきますよね。あれこそが「糖化反応」で、「糖化」は「体のコゲ」と表現できます。

問題は糖化により、AGEsという老化物質が生成されてしまうことです。これにより、

・血管のしなやかさが失われ、動脈硬化の原因に

・骨がもろくなり、骨粗しょう症のリスクを高める

・腸の弾力性が失われ、ぜん動運動ができなくなり、バリア機能が低下する

などが起こりやすくなります。

“食後すぐにお腹が空く”の正体とは?, 「消化の良さ」は“速さ”ではわからない, 食後すぐの空腹感は“糖尿病予備軍”, 「消化の良さ」を教えてくれるのは毎日の「うんち」, 腸の「時差ボケ」を解消する5つの食材

AGEsが発生する仕組み(画像:『腸疲労 40代から必要な消化・吸収の新習慣』より)

糖化を引き起こす主犯格ともいえるのは、食後の血糖値の急上昇、いわゆる「血糖値スパイク」です。しかし、この血糖値スパイクに気づかない人も多いのです。

我々のクリニックには、毎日多くの方が胃腸の悩みを抱えて来院されますが、時折こんな言葉を耳にします。

「私は昔から消化が良い体質で、食べてもすぐお腹が空くんですよ」

この状態は、一見消化がよく、健康的に聞こえるかもしれません。しかし、内視鏡専門医として数多の腸を診てきた我々の視点では、その認識は大きな誤解である場合が多いです。

「すぐにお腹が空く」という感覚は、その人の体が発する「血糖値の乱高下」という悲鳴である可能性があるからです。

今回は、そのメカニズムを正しく理解できるように解説したいと思います。

「消化の良さ」は“速さ”ではわからない

まず大前提として「消化が良い=胃から食べ物がなくなるのが速い」というのは、勘違いです。じつは、本当の「消化が良い」とは、「速さ」ではなく「効率の良さ」を指します。

効率の良さとは、「食べたものが、胃酸や消化酵素によって適切に分解、必要な栄養素がきちんと吸収、不要なものが理想的な便として排出」という、一連のプロセス全体がスムーズに行われることを意味します。

通常の食事であれば、胃の中に食べ物が滞在するのは約3〜4時間ほど。この間、胃もたれや不快感がなく、食後に過度な眠気に襲われることもない状態が理想です。そのうえで最終的に、翌朝に理想的なバナナ型のうんちとして対面できること。

これこそが、本当の意味での「消化が良い」状態といえます。

では、「すぐお腹が空く」のは、なぜ危険なサインといえるのでしょうか。 先述したように、その最大の原因は、「血糖値の乱高下」の可能性が高いからです。

食後すぐの空腹感は“糖尿病予備軍”

私たちの体は、精製された糖質を大量に摂取した場合、血糖値が急激に上昇。すると、体は慌てて大量のインスリンというホルモンを分泌して、血糖値を下げようとします。

問題は、このインスリンが「効きすぎ」てしまうことにあります。

大量に分泌されたインスリンは、血液中の糖を細胞に詰め込むため、今度は逆に血糖値が急降下し、基準値を下回ってしまうのです。すると、脳は、この急激な血糖値の低下に対して「エネルギー不足だ!」と勘違いし、強烈な空腹感や眠気という指令を出すのです。

これこそが「食後すぐお腹が空く」の正体です。

“食後すぐにお腹が空く”の正体とは?, 「消化の良さ」は“速さ”ではわからない, 食後すぐの空腹感は“糖尿病予備軍”, 「消化の良さ」を教えてくれるのは毎日の「うんち」, 腸の「時差ボケ」を解消する5つの食材

血糖値と食事(画像:『腸疲労 40代から必要な消化・吸収の新習慣』より)

説明したように、これは決して「消化が良い」のではなく、インスリンのコントロールがうまくいかなくなっている、まさに糖尿病予備軍の一歩手前の危険なサインといえます。

特に、おにぎりだけ、パンだけ、といった糖質中心の食事をした後に起こりやすい症状です。

ちなみに消化が良いという勘違いに、「食後すぐにトイレに行きたくなること」を挙げる人もいます。しかし、これは食べ物が胃に入る刺激で大腸が動き出す「胃・結腸反射」という正常な体の仕組みが、過敏になっているサインです。

中でも、腹痛を伴ったり、下痢状の便が出たりする場合は、「過敏性腸症候群(IBS)」の可能性も。実際は、腸内環境の悪化によって腸の神経が過敏になり、わずかな刺激で過敏に反応を起こしている状態なのです。まだ食べたものが十分に消化・吸収される前にもかかわらず、腸は「早く外に出せ!」と異常なぜん動運動を起こしているため、この症状も「消化が良い」とは正反対の状態といえます。

「消化の良さ」を教えてくれるのは毎日の「うんち」

お腹を壊しやすい人が「私はもともと胃腸が弱い体質だから……」と諦めの言葉を口にするのを聞きます。それは大きな間違いです。人間の消化能力は、日々の生活で作られる「腸内環境」と、それに連動する「体内時計」で決定します。

私たちの体には、「体内時計」が備わっています。朝になると目が覚め、夜になると眠くなるというリズムを刻んでいるのです。実は、腸の消化能力もこの体内時計に支配されています。活動的な日中は「消化が良い時間帯」、休息する夜間は「消化が悪い時間帯」になるよう、プログラムされているのです。驚くべきことに、腸内細菌たち自身も、この体内時計のリズムに従って活動しています。

この体内時計は、不規則な生活や夜遅い食事、高脂肪食ばかりの偏った食生活を続ければ、簡単に狂ってしまいます。いわば、腸が常に「時差ボケ」を起こしているような状態になります。体内時計が狂えば腸内環境も悪化し、本来消化が良いはずの日中ですら、まともに消化できない「1日中ずっと消化が悪い」という状態に陥ってしまうのです。

ですので、あなたの消化が良いか悪いかを教えてくれるのは食後の空腹感ではありません。その本当の答えは、毎日トイレで対面する「便」にあります。

それこそが、あなたの胃腸からの、最も正直で正確な「お便り」になります。

腸の「時差ボケ」を解消する5つの食材

最後に乱れた体内時計をリセットし、血糖値の乱高下を防ぐ食材を紹介します。特に、朝食の内容が最も重要です。糖質を控え、タンパク質と食物繊維が豊富な5つの食材で、朝の時差ボケを解消しましょう。

1. 具だくさんの味噌汁
“食後すぐにお腹が空く”の正体とは?, 「消化の良さ」は“速さ”ではわからない, 食後すぐの空腹感は“糖尿病予備軍”, 「消化の良さ」を教えてくれるのは毎日の「うんち」, 腸の「時差ボケ」を解消する5つの食材

(写真:セーラム/PIXTA)

温かい汁物は、睡眠中に冷えた内臓をやさしく起こす“目覚まし”になります。味噌の原料である大豆に含まれる「トリプトファン」は幸せホルモン「セロトニン」の材料なのです。具に豆腐やわかめ、きのこ類を加えることで、タンパク質と食物繊維が一度に摂れ、心と体の両方から体内時計を整えてくれます。

2. 納豆

朝の納豆は、腸内細菌にとっても最高の朝ごはんとなります。納豆菌そのものが腸内環境を強力にサポートし、良質なタンパク質と食物繊維が、昼食までの血糖値を安定させてくれるのです。まさに「食べる整腸剤」といえるでしょう。

3. 焼き魚(特に鮭)
“食後すぐにお腹が空く”の正体とは?, 「消化の良さ」は“速さ”ではわからない, 食後すぐの空腹感は“糖尿病予備軍”, 「消化の良さ」を教えてくれるのは毎日の「うんち」, 腸の「時差ボケ」を解消する5つの食材

(写真:kai/PIXTA)

鮭にはイワシやサバと並んで、オメガ3脂肪酸のトップクラス含有魚です。オメガ3脂肪酸には、体内時計を乱す大きな原因となる腸内の炎症を抑える働きがあります。さらに鮭に含まれる良質なタンパク質が満足感を持続させ、無駄な間食を防いでくれます。

4. アボカド

アボカドは体内時計の“調整役”として最適です。アボカドに含まれる「マグネシウム」は体内時計のリズム調整に不可欠なミネラルだからです。また「森のバター」とも呼ばれる良質な脂質と、豊富な食物繊維が血糖値の急上昇をブロックしてくれます。

5. 豆乳ヨーグルト

豆乳ヨーグルトの植物性の乳酸菌であれば、乳製品に含まれる「カゼイン」や「乳糖」が体質に合わない方でも安心して摂取できます。これにナッツやチアシードを加えれば、タンパク質、食物繊維、良質な脂質が一度に摂れる、最強の腸活モーニングが完成します。