たった550円「ベトナム料理チェーン」で大満足の朝

パン派も麺派も大満足のベト屋モーニング「ベト朝」, ベト屋の朝メニュー朝のパンセット550円, ベトナムならではのドリンクも嬉しい, ベト屋の店内はガラガラ。だけど繁盛しているからくりとは?, ベト屋は何者? プロっぽいのはナゼ?, 創業者の経歴に「さすがだな……」とうなる

ベトナム料理チェーンベト屋のモーニング(写真:筆者撮影)

『マツコの知らない世界』(TBS系)にも出演した、チェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライターの大木奈ハル子さん。連載「チェーン店最強のモーニングを探して」では、さまざまなチェーン店のモーニングをご紹介しています。

第145回、ご紹介するのは「ベト屋」です。

飲食チェーンがひそかにしのぎを削っているジャンル「モーニング」。午前中の集客が弱い時間帯の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

【画像14枚】創業者はベトナム人、アメリカでMBAを取得…「ベト屋」のモーニングはこんな感じ

和でも洋でもない朝食の選択肢として注目してほしいのがアジアンフード。今回は本格中華や台湾料理に続く、ベトナム料理の朝ごはんを提供する「ベト屋」をご紹介します。

実は朝食メニューが充実しているうえに、最安値のバインミー(ベトナム風サンドイッチ)はドリンク付きで税込550円と、お値段もお手頃。ファストフードのような気軽さで本格的なベトナム料理を楽しめます。

パン派も麺派も大満足のベト屋モーニング「ベト朝」

ベト屋は、2021年に創業したベトナム料理のチェーン店。日本人向けに過度なアレンジを施さない、本場ハノイのスタイルをベースにした料理を提供しています。

朝限定メニュー「ベト朝」は、一部店舗のみで実施。筆者は築地店を利用しました。提供時間は開店(朝8時30分)から10時30分まで。

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メニューの画面

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パンと麺、8種類から選べるベト屋のモーニングメニュー、ベト朝(写真:筆者撮影)

メニューは全8種類。パン(バインミー)と麺(フォー)の2本柱です。入り口入ってすぐのタッチパネル式の券売機で会計するシステムで、ドリンクの種類やトッピングの追加なども、こちらで選べます。

・朝のパンセット 税込550円
・エビトアボカドバインミーセット 税込850円
・鶏肉のライム葉バインミーセット 税込800円
・豚肉BBQバインミーセット 税込800円
・朝の定番牛肉フォー 税込1080円
・朝の鶏肉フォー 税込1050円
・朝のフォーボーチェン 税込1080円
・朝のスペシャルフォー 税込1300円

バインミーはドリンク付きで、ミルクコーヒーもしくはブラックコーヒーをセットできます。追加料金はかからないため、ここはぜひベトナム流の練乳入りの甘いミルクコーヒーをオーダーしたいところです。

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セットドリンクも、タッチパネルでチョイス(写真:筆者撮影)

ベト屋の朝メニュー朝のパンセット550円

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ベト屋のベト朝(朝メニュー)、朝のパンセット550円。ソフトフランスパンに、ゆで卵と野菜がサンドされている(写真:筆者撮影)

ベト朝で、一番安いのがこちらのメニュー「朝のパンセット」です。バインミー専用のソフトフランスパンのサンドイッチに、ドリンクがついています。

まず驚いたのがパンの大きさ。朝食用と聞いて想像するサイズ感を、軽く裏切ってきます。一般的なハンバーガー1個分以上、感覚的には「これ、ビッグマックぐらいあるんじゃない?」と思わせるボリュームです。

一口食べて、まずパンがおいしい。ベトナムはもともとフランス領だったこともあり、パン文化が根付いている国。パンの完成度の高さも納得です。生地はふわふわで、表面はサックリ。私の知っているソフトフランスよりも口当たりが軽く、歯を落とすだけで噛み切れる柔らかさです。

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ベト屋のベト朝(朝メニュー)、豚肉BBQバインミーセット800円。しっかり味のついた豚肉は噛むほどにおいしい(写真:筆者撮影)

サンドイッチの具材のメインは粗くつぶしたゆで卵。奥にはパクチー、きゅうり、千切りした大根とニンジンがぎゅうぎゅうに詰まっています。ハンバーガーや食パンのサンドイッチと比較して、野菜が大盛りで、満足感のわりに罪悪感が少ないのもうれしいポイントです。

大根とニンジンは酢漬けしてあり、まるでお節料理の紅白なますのようなさっぱりした味わい。パクチーの独特の癖のある香りが口にふわりと広がり、きゅうりのみずみずしさとポリポリとした食感がさらなるアクセントに。てんでバラバラな具材たちを、マヨネーズベースのスイートチリソースがまとめあげます。

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ベト屋のベト朝(朝メニュー)、朝の定番牛肉フォー1080円。つるつると舌触りがなめらかな、生フォーを使用(写真:筆者撮影)

簡素な店内と、いかにも日常食といったたたずまいのサンドイッチ。正直、もう少し大味で、勢い重視の味かと思っていたのですが(失礼)、実際は素材の組み合わせ方がとても丁寧で、油脂感は控えめ。

さまざまな食材が足し算ではなく、掛け算されていく、複雑で奥行きのある味わいに仕上がっています。酸味と香りが主役で、朝の胃にもたれることなくペロリと食べ切れてしまいました。

ベトナムならではのドリンクも嬉しい

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練乳入りでミルキーなミルクコーヒーは、普段飲むコーヒーとは一線を画す甘さ(写真:筆者撮影)

「これは魅力的だな」と感じたのが、ベト屋のドリンク。ベト朝のセットドリンクのミルクコーヒーは、かなり甘い。コンデンスミルク由来の濃厚な甘味と旨味は「甘さ控えめ」を好む日本ではなかなか味わえない振り切りっぷりです。

起きたてのぼんやりした頭を、コーヒーのカフェインと砂糖のダブルパンチで容赦無く叩き起こす。これぞ、朝にぴったりの1杯!

実は一番衝撃的だったのがセルフサービスでおかわりし放題のパンダンリーフ茶。パンダンリーフは東南アジアで広く使われているハーブの一種で、ベトナムをはじめとする東南アジアでは家庭にも屋台にもあるメジャーな存在らしいのですが、実は筆者は初体験でした。

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セルフサービスのパンダンリーフ茶。めったに飲めないお茶が無料で飲めるのは嬉しい限り(写真:筆者撮影)

口に含むと、ほんのりとバニラやココナッツのような甘い香りが広がり、砂糖が入っていないのに、どことなくスイーツのような余韻です。

清廉とした強さのあるジャスミンティーのすっきりした口当たりと対照的な、パウダリーで優しい、どこか懐かしさを感じさせます。異国情緒はありつつも、飲みやすい穏やかな味わいですっかりハマってしまいました。

こんな激レアなお茶が無料で飲めるというのは、なんともありがたい。

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店内壁のいたるところに、メニューポスターや、ベトナム情緒あふれる写真が貼り出されている(写真:筆者撮影)

この2杯、もしおしゃれなアジアンスタイルのカフェやエスニックバルで提供されたら、「1杯800円です」とか言われても納得の本格的なドリンクなのです。

それが気負いのない店内で、550円の朝食セットの一部として楽しめる。派手な演出はありませんが、味はしっかり本場仕様。異国情緒と日常感がちょうどよく混ざり合い、背伸びせずにベトナムの朝を体験できる。この気安さがたまりません。

ベト屋の店内はガラガラ。だけど繁盛しているからくりとは?

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入店時、利用客はゼロ。ただしデリバリーは人気のようで、配達員の出入りは盛んでした(写真:筆者撮影)

平日朝9時半、15席ほどの小さな店内には客は筆者のみ。店舗は表通りに面しており、前には横断歩道、2軒隣は築地本願寺と立地は抜群で、朝から絶え間なく人が行き交っています。間口が狭く店があることを認識しづらいことや、「ベトナム料理」とモーニングが連想されづらいこともあるのか、店内はガラガラでした。

ただし、スタッフは常に忙しそうです。なぜか? その理由はフードデリバリーです。大きなリュックを背負った配達員が、店内にやってきては、次々と商品をピックアップしていきます。朝の時間帯に出前できる飲食店は少ないこともあり、モーニング需要がデリバリーに集中しているようでした。

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ベト屋の卓上調味料。チリソース、ヌクマム(魚醤)、ニンニク酢(写真:筆者撮影)

ベト屋は、コロナ禍の2021年に創業したこともあり、テイクアウトやデリバリーを前提に設計されたビジネスモデルが随所に見て取れます。店が小さければ、好立地でも家賃を抑えられますし、出店時の初期費用も少なく済むため、ローリスクで多店舗展開も可能です。

デリバリーなら客席が少なくても、朝の時間帯を合理的に収益化できます。客席をあえて増やさず、厨房とオペレーションを最小限に絞った「小箱」設計は、人件費や固定費を抑えながら、店の規模に縛られない売り上げ構造をつくっているようです。

ベト屋は何者? プロっぽいのはナゼ?

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ベト屋築地店。間口の狭さはスタンド看板とのぼりでアピールしてカバー(写真:筆者撮影)

ベト屋は、「築地」「本郷」「神保町」「人形町」など、平日は昼間人口が厚く、小規模テナントが成立しやすい雑居ビルが点在するエリアを中心に、都内6店舗を展開。2025年には千葉県の大型ショッピングモール「イオンモール津田沼店」のフードコートにも出店しました。

立地の手堅さ、出店スピードの早さ、15席から30席という小規模で扱いやすい店舗規模、装飾や什器にコストをかけないシンプルな内装など、飲食チェーンとしての合理性が随所に感じられます。作り込まれた公式サイトや大手PRサイトを活用したプレスリリースの打ち出し方など、運営がどうにもこうにもプロっぽい。

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壁際のベンチ席の下がパントリー代わり。内装には徹底してコストをかけていないものの、レイアウトにはゆとりがあり、居心地は上々(写真:筆者撮影)

創業者の経歴に「さすがだな……」とうなる

当初は「大手企業が手がけているのかな?」と思ったのですが、調べてみると本社オフィスは古いマンションの1室にあり、どうやらどこの傘下でもなさそうです。

さらにネットで深掘りしていくと、創業者はベトナム人で、アメリカでMBAを取得し、東京大学大学院を修了後に、日本ではベンチャーキャピタル(投資会社)に携わってきた経歴を持つ人物でした。なるほど、小規模ながらも戦略的な訳です。

小さく始めて、無理なく広げる。味は本格的で、価格は手頃。バインミーを頬張りながら、料理と同じくらい完成度の高い事業設計に「MBAのビジネス戦略、さすがだな……」とうなる朝です。

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編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の為替変動、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。