JAXAが超音速旅客機のコンセプトイメージを公開。ソニックブームを低減した「静かな超音速機」の実現を目指す

2026年1月19日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は次世代超音速旅客機のコンセプトCGを公開した。超音速巡航中の飛行経路直下に加え、側方や加速時なども含めた広い範囲でソニックブームの騒音を減らす機体コンセプトとなり、超音速機の国際的な騒音基準設定に役立てられる見込みだ。

JAXAの最新技術「低ソニックブームの機体設計」を実証

一般に、航空機が音速を超えて飛行すると機体周辺に急激な圧力変動が発生し、これが地上に伝わると衝撃性騒音のソニックブームとして観測される。ソニックブームは、騒音や窓ガラスを割るなどといった物理的な被害ももたらすため、1970年代のコンコルド運航時から今日に至るまで、陸地上空での超音速飛行は禁止されてきた。

そこで近年、民間では米国ブーム社が単独で、また国立の機関では日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)とアメリカ航空宇宙局(NASA)などが共同で、ソニックブームを抑えた次世代型超音速旅客機の開発に挑戦している。

JAXAは2015年に実施した「D-SENDプロジェクト」において、超音速旅客機の巡航条件下でソニックブーム強度を従来の半分に低減する技術を実証し、現在はそれを発展させた「Re-BooT(ロバスト低ブーム超音速機設計技術実証)」プロジェクトを進行中だ。

2m×2m遷音速風洞にて、Re-BooTプロジェクト実証機の模型を用いた 自由ロール回転試験を行うようす。(画像:JAXA)

この最新プロジェクトでは、飛行経路直下だけでなく、側方や加速時などの広い範囲でソニックブームを低減する最新テクノロジー「ロバスト低ブーム設計技術」の実証が行われることになる。ちなみに、すでに国内外で特許を取得済みだという。

内閣府が主導するプログラムの一環

同プロジェクトの主な目的はふたつある。ひとつ目は、ロバスト低ブーム設計技術を適用した実証機による飛行試験である。ここでは全長約10mの無人機を用い、超音速飛行中に発生するソニックブーム波形を計測、その設計どおりの波形であることを確認する。

実証機は母機である有人飛行機に取り付けられ、上空約13kmの高度で分離される。その後、重力による加速と自律制御により地上の計測システムの上空を飛行し、波形を測定する予定だ。

なお、飛行試験は2028年頃の実施を計画している。

ソニックブーム低減のため、ウイングレットやブームフィンなど衝撃波形を制御する機体形状が採用されている。(画像:JAXA)

ふたつ目の目的は、静かな超音速旅客機の概念機体設計を行うことである。飛行試験で実証された技術を実機に適用し、商業的な需要、安全性、航続距離などの要件を満たす旅客機の設計を進める。この設計は、国際民間航空機関(ICAO)に提示され、ソニックブームに関する国際基準の策定に貢献する計画だ。

ソニックブームを抑えられれば、陸地上空での超音速飛行解禁につながるかもしれない。(画像:JAXA)

この取り組みは、内閣府が主導する「経済安全保障重要技術育成プログラム」(K Program)の一環である。JAXAがロバスト低ブーム設計技術を適用した実証機の形状設計を、三菱重工が実証機の開発・製造を担当し、飛行実証が行われる。

JAXAの研究が、超音速機の国際的な騒音基準の整備に役立てられ、陸地上空での超音速飛行解禁につながるのか。今後の研究成果にも注目が集まることだろう。

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