圏央道「SAPA空白地帯」待望のPAが1/31に誕生!

今回、訪れた新しい圏央道のSA、「坂東PA(外回り)」の駐車スペース。開業4日目だが多くの車が停まっていた(筆者撮影)
東京を中心として、関東平野を大きくぐるりと取り囲む首都圏中央連絡自動車道、通称「圏央道」。
【写真】平将門ゆかりの地にできた「坂東PA(外回り)」を見る
東京から放射状に延びる各高速道路を同心円状に結ぶこの道路は、まだ千葉県と神奈川県の一部で未開通の部分もあるが、2002年の初開通(日の出IC~青梅IC)から24年が経ち、首都圏の主要道路のひとつとなっている。
従来行き来が不便だった地域同士のつながりを強めただけでなく、首都圏の高速道路のどこかで通行止めなどがあった場合の迂回ルートになるなど、役目が大きい。
ちなみに圏央道は、正確には「高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)」で国道としては468号である。
そんな圏央道には、他の一般の高速道路とは明らかに異なっている点がひとつある。全線が完成すれば300kmを超す長い路線であるにもかかわらず、サービスエリア(SA)がひとつもないのだ。
「内回り」から約2年、待望の「外回り」に開業
圏央道には、これまでにもパーキングエリア(PA)はあったが、地域の名産などを売る売店や飲食店がまったくないところもあり、休憩施設が充実しているとは言いがたった。
圏央道の西側には、「厚木PA」「狭山PA」「菖蒲PA」と売店や飲食店が揃っているところが続く(狭山PA内回りに飲食店はない)が、東側にはそもそも数が少なく、あっても「江戸崎PA」(茨城県)や「高滝湖PA」(千葉県)のように、駐車スペースとトイレだけという最低限の施設しかないPAが多い。
その理由を、休憩施設の運営を統括するネクスコ東日本エリアトラクトの担当者に尋ねたところ、「都心から延びる放射道路を相互に連絡する環状道路の特徴から、放射道路に整備された近接休憩施設との位置関係を考慮し整備している」という回答だった。

坂東PAに近い「坂東IC」。2025年にETC専用になった(筆者撮影)
ずっと圏央道を長距離走るより、東北道や常磐道などと相互利用する車が多いため、そうした高速道路の施設との距離も考えて設置しているのであろう。
この圏央道に26年1月31日、新たなPAが誕生した。茨城県坂東市の「坂東PA(外回り)」である。
77kmにわたって休憩施設が皆無だった菖蒲PA~江戸崎PA間にできた、待望の施設だ。「坂東PA(内回り)」のほうは24年4月にオープンしていたが、2年近く経ってようやく外回り側も開業にこぎつけたことになる。
筆者は開業から4日目の2月3日、実際にこのPAを訪れてみた。
まず、間もなく開業2年を迎える内回りのPAに一般道から入った。というのも、この内回り側は、現在坂東市が整備中のハイウェイオアシスと接続し、一体となって運営される計画があるからだ。

ハイウェイオアシス整備中の看板(筆者撮影)
まだ造成中の空き地の横を、最近できたと思われ道路を進み、PAの一般道側の駐車場にクルマを入れた。駐車場には、20台以上が停められるスペースが確保されている。
ここにはトイレ棟とコンビニ棟があり、コンビニは「ローソン坂東ハイウェイオアシス店」という店名。入り口は高速道路側と一般道側の両方にあり、中に入ると通常のローソンの品揃えに加えて、目立つところに地元の名産品が並んでいる棚がある。一番アピールしているのは、「将門煎餅」だ。

「坂東PA(内回り)」のローソンには、市の案内コーナーが併設されている(筆者撮影)
「将門」は10世紀に関東で活躍した地方豪族で、東国の独立を目指して中央政府に反乱を起こした「平将門の乱」に名を残す武将である。
彼の本拠や没地はここ坂東市にあったとされており、圏央道に近い場所に将門を祀った國王神社があるほか、市の公式マスコットも「将門くん」という。
この「将門くん」は、バリアフリートイレの壁面にも描かれ、敷地内の飲料の自動販売機のデザインにもなっていて、まさに坂東市の「顔」というべき存在だ。

「坂東PA(内回り)」のバリアフリートイレで見た将門くん(筆者撮影)
2005年にできた新しい市と古くからの名産品
坂東市は、05年に岩井市(市制前は猿島郡岩井町)と猿島郡猿島町が合併して発足した比較的新しい自治体である。
「坂東」は関東の古名であり、古代から中世にかけて京のみやこから見た東国の武士を「坂東武者」と呼んだほか、大河、利根川の別名「坂東太郎」でも知られており、市の名前はそれに由来するものだ。

平将門を祀る坂東市内の國王神社(筆者撮影)
農業が盛んな田園都市で、代表的な農産物は、このあたり一帯の地方名を冠した「さしま茶」である。
筆者がときどき搭乗するスカイマーク航空は、同じ茨城県にある「茨城空港」が拠点のひとつで、機内サービスでもこのさしま茶が提供されている。ローソンでは、このさしま茶も販売していた。
今度は、オープンしたばかりの外回り側のPAに行ってみる。こちらは、まだ周辺の道路が十分整備されておらず、未舗装の道を走って一般道側の駐車場にたどり着いた。
駐車場には、一般道からPAに入る「ウォークインゲート」という表示もあったが、駐車スペースは7台分しかなく、今のところは外部の利用はあまり考えられていないようだった。

「坂東PA(外回り)」に入るコンビニ「ファミリーマート坂東PA外回り店」(筆者撮影)
外回り側のコンビニは「ファミリーマート坂東PA外回り店」という名前になっており、定番のファミチキをはじめ、ファミマならではの品が並ぶほか、内回り側と同様、こちらも坂東市や近隣の県内の名産品も置いてある。
ハイウェイスタンプにも注目したい
ハイウェイオアシスは、内回り側に隣接する形で整備が進んでいるが、外回り側とも連結路を設けてつなぐ計画という。
どちらの側にも坂東PAのPRの一環として、市とネクスコ東日本エリアトラクトが、協同で製作したハイウェイスタンプが設置されている。

「坂東PA」のハイウェイスタンプ(筆者撮影)
このスタンプのデザインは、地域の魅力探求や自らが地域の魅力を発信する学びの機会となることなどを目的として、東日本では初となる地元の小学校児童を対象にデザインを募集。審査で選ばれた児童の作品が意匠となっている。
従来の内回り側は、これも市のアピールキャラクターである「ねぎ爺」(ネギも市の特産品)と「ミュージアムパーク」の愛称もある茨城県自然博物館、そしてさしま茶が描かれている。
また、今回開業した外回り側は、将門くんがさしま茶を飲む様子と、市の鳥であるウグイスが描かれていて、どちらもほのぼのとした図柄であった。

ねぎ爺と将門くんが描かれる押印専用用紙に、内回り・外回りそれぞれのスタンプを押した(筆者撮影)
なお、圏央道では今後、千葉県の区間で「神崎PA」「山武PA」の開業が計画されている(ともに仮称)。神崎PAは工事が遅れていたようだが、26年度中にオープンする予定だ。
施設内にPA独自の飲食店などは設置されないようだが、既設の「道の駅 発酵の里こうざき」に隣接する形となるため、道の駅の施設がシームレスで利用できる設計になっている。

「神崎PA」と「山武PA」の位置を示す地図(国土交通省 関東地方整備局の資料より)
この道の駅は、15年にオープンした日本初の「発酵」をテーマにした珍しい施設だ。地元の神崎町は、江戸時代から日本酒や味噌などの醸造業が盛んで、「発酵によるまちづくり」を標榜している。
そのため道の駅も発酵を全面に推しており、発酵商品ばかりを集めた「発酵市場」や麹を使ったメニューが売りのレストランがあるなど、発酵オンパレードである。
その意味では、ユニークな施設がPAの飲食・物販機能の肩代わりをしてくれることになる。
圏央道の施設はまだ発展の余地あり

圏央道境「境古河IC」付近。接続する他の高速道路の休憩施設の案内もある(筆者撮影)
このように、ようやく圏央道でも休憩施設が整い始めているが、飲食店やガソリンスタンドについては、まだまだ十分とはいえない。
必要な場合はインターチェンジでいったん高速道路を降り、一般道のガソリンスタンドや道の駅などを利用することを促す施策になっているようだが、利用者の一人としてはやはり本線上に必要な設備や施設があるといいと感じられる。と振り返りつつ、帰宅後、坂東PAでお土産に購入した「将門煎餅」の素朴な醤油味を美味しくいただいた。