「がんばるくらいならこのまま衰退OK」60%の衝撃

今の若者たちの実に驚くべき傾向が明らかになった(写真:pearlinheart/PIXTA)

やたら自己評価が高い、微妙に失礼、嫌われることを気にしない……。最近、あなたの周りにこんな若者が増えていないだろうか。あるいは、上の世代がためらうような権利主張を平気でするとか、そもそも仕事に対する熱意や欲求がない若手はいないだろうか。「今の若い子がわからない」と頭を抱えたくもなる。
『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』で現代の若者像を活写した金間大介氏は、最新刊『無敵化する若者たち』で若者の不思議で不可解な心理に迫っている。
そんな金間氏が行った最近の調査で、今の若者たちの実に驚くべき傾向が明らかになったという。

調査した私も驚いた

僕は、2025年2月に株式会社クロス・マーケティングにあるオンライン・アンケートを依頼して実施した。対象は20代から50代までの1200人。20代には大学生や大学院生が含まれる。この中で、つぎのような問いをしたところ、実に驚くべき結果が得られた。

問いは以下のようなものだ。

問い:今後の日本の将来について、AとBのうち、あなたはどちらを選びますか。

A:「このまま緩やかに日本経済が衰退しても、穏やかに暮らせるほうが良い」

B:「日本経済を維持・発展させるために頑張りたい」

いわゆる“究極の選択”といえるだろう。

ここではAを「衰退派」、Bを「発展派」とする。

結果は、驚くことに6対4で衰退派の勝ちとなった。

皆さんは、この結果をどのように感じるだろうか?

一時期、若者の間で「諦念感」が広がっていると話題になった。このとき諦念という言葉を初めて知った人も多いだろう。

(出所)『無敵化する若者たち』

諦念を『新明解国語辞典 第八版』(三省堂)でひくと、以下の語釈が出てくる。

(1)物事の道理を悟り、迷いを去ること

(2)あきらめの境地に達すること

まさに(2)のあきらめの境地が、若者の間で広がっている。

日本を見捨てていいとは思っていない

ただ、ここで1つの疑問が湧いてくる。今の若者は、「衰退OK」「日本なんて見捨てちゃえ」と思えるほど、日本のことが好きじゃないのか?

株式会社マクロミルは、2017年に「日本人から見た“日本のイメージ”調査」の結果を発表した。それによると、日本人の9割が「日本を好き」と回答していることが明らかになっている。回答者を20代に限定しても、92%が好きと回答している。

直近の2025年については、Z世代向けマーケティングを展開する株式会社MERYが、Z世代を対象としたアンケート調査を実施しており、それによるとZ世代の約8割が「日本が好き」ということだ。

つまり、日本のことは好きだけど、日本のためにがんばることはない。がんばらなきゃならないくらいなら、日本の将来は衰退しても仕方ないと思うけど、今の日本は好き。

これが今の多くの若者たちの心理だ。

では、こうした「あきらめの境地」に達したとき、人はどういった働き方になるか?

この問いに対する答えは明白なように思える。

「静かな退職」という概念がある。

2022年ごろからアメリカの若者を中心に反響を得だした概念で、英語では「Quiet Quitting」と表現される。

日本では静かな退職と訳されているが、僕からするとこれは誤訳だ。まるで、人知れずそっと退職することのように思えてしまう。

Quiet Quittingは、実際に仕事を辞めるわけではなく、正確には、職場で給料を得るために求められる最低限の仕事はこなすが、それ以上はがんばらないという状態を指す。

成果や成長を求めずに、必要最低限の責任のみを果たすスタンスだ。

Quiet Quittingは、海外では「Escape hustle culture(ハッスル文化からの逃避)」というフレーズが必ずセットで登場する。

Escape hustle cultureのほうは、言い換えるなら「脱主体性」といったところか。「続・指示待ち文化」と言い換えてもいいかもしれない。

「手取り足取り教えてほしい」理由

僕の先ほどの調査では、このテーマについても調べている。

具体的には、「あなたはどのように仕事を進めていきたいか」という問いに対し、「明確な指示やマニュアルにそって仕事をしたい」と思う人を「1」、「自分なりのやり方で仕事をしたい」と思う人を「10」と置き、1から10の間で自分はどの辺りに位置するかを回答してもらっている。

結果は図表の通りだ。10段階における真ん中の「5・5」に縦線を引き、そこから左側に行くほど「指示・マニュアル重視」スコアが高く、右側に行くほど「自分なりのやり方重視」スコアが高くなるよう配置している。

若いほど「指示・マニュアル重視」の傾向が強くなり、中でも学生の“指示待ち志向”は特に目立つ。他方、50代の「自分なりのやり方重視」傾向が際立つところだ。

(出所)『無敵化する若者たち』

将来に対する諦念感が強まれば強まるほど、今を楽しもうとするコンサマトリー(自己充足的)な考えが強まるだろう。そんな若者たちなら、仕事においても、自分でリスクを取って冒険するよりも、手取り足取り教えてもらったほうがいいに決まっている。ある意味、とても合理的といえるのかもしれない。