「夏のオープンキャンパス、やめます」中央大学が異例の決断をした理由は?

■話題・トレンド

「夏のオープンキャンパスやめました。」。中央大学がこんなタイトルで、毎年8月に多摩キャンパスで開いてきたオープンキャンパスの開催時期の変更を大学の公式サイトで発表しました。受験生が各大学の学びの内容や雰囲気を直に感じられるとして広がったオープンキャンパスは、夏休みを中心に行われ、大学によっては春休みや秋にも行うところもあります。最も多いのが夏休み期間である7~8月の週末で、ピーク時には複数の大学のオープンキャンパスが同一日に重なり、ハシゴして大学を回る高校生や保護者も少なくありません。中央大学のような大規模な私大で夏のオープンキャンパスの開催時期の変更は初めてと見られます。「『オープンキャンパスは夏。』その常識を、中央大学が変えます」という理由について、聞きました。(写真=中央大学提供)

開催時期を8月から6月に変更

中央大学には、多摩、茗荷谷、市ケ谷田町、後楽園などのキャンパスがあり、その中で最大のキャンパスは文系5学部(経済、商、文、総合政策、国際経営)が集まる八王子市の多摩キャンパスです。オープンキャンパスは、例年8月初めに多摩キャンパスのほか、都心3キャンパスで各キャンパス2日間(延べ8日間)にわたって開催され、学部ガイダンスや模擬授業、トークショーのほか、学生によるキャンパスツアー、ステージパフォーマンスなどのイベントを行っています。

多摩キャンパスのオープンキャンパスは、毎年1万人以上が来場する盛大なイベントです。

この多摩キャンパスのオープンキャンパス開催時期を、2026年度は8月から6月20日(土)、21日(日)に変更することを中央大学が発表しました。都心3キャンパスのオープンキャンパスは、従来通り、8月初めに開催する予定です。

その理由について、入学センターの曲田統(まがた・おさむ)所長は、次のように話します。

「多摩キャンパスはディズニーランドと同じくらいの敷地面積があり、オープンキャンパスでは施設間を移動したり、キャンパスツアーで敷地内を巡ったり、屋外で過ごす時間も多くあります。近年は猛暑日が多くなり、オープンキャンパス中に体調不良を訴える方もいました。幸い大きな事故にはなっていませんが、何かが起きてからでは遅いのです。来場者やスタッフがどうすれば健康上のリスクがなく、快適に過ごせるかを検討した結果、開催時期を思い切って8月から6月に変更することにしました

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中央大学法学部教授で、入学センター所長の曲田統さん

開催時期の変更は1年ほど前から検討し、25年度のオープンキャンパス直後から本格的に動き出しました。

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約2千人を収容できるクレセントホールでは、大学ガイダンスや入試ガイダンスが行われる

回数や定員を増やして開催

時期を変更するにあたっては、懸念点もありました。最も大きかったのは、来場者数が減るのではないかという点です。

「地方在住の方は、6月だとスケジュールを調整しにくいかもしれません。また、オープンキャンパスは夏に開催されるものと認識している方にとっては、気づいたらオープンキャンパスが終わっていたということになってしまいます。学内ではさまざまな意見が出て難しい判断でしたが、最終的には来場者が減る可能性があったとしても、快適に過ごしてもらうことを優先すべきだという結論に至りました。開催時期が早まることで、夏休み前の三者面談の前に進路に悩んでいる高校3年生にとっては受験校を決める検討材料のひとつとして本イベントを加えてもらえるのではないかとも考えています」

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中央大学多摩キャンパスのオープンキャンパスの様子。例年1日約1万人が来場する

中央大学では、開催時期の変更を広く知ってもらうために、オープンキャンパスの特設サイトを公開しました。また、6月のオープンキャンパスに来られない人のために、4~5月、8~11月に月1回(合計6回)、土曜日にミニオープンキャンパスの開催を予定しています。

「ミニオープンキャンパスは従来、開催はしていましたが、回数を増やし、定員も2~3倍に増やす予定です。大学全体の概要説明やキャンパスツアーなどのほか、春の開催時は総合型選抜など年内入試の相談、秋は一般選抜の相談など、開催時期に合わせて対応できるように準備を進めています」

都心3キャンパスについては、屋内でのイベントがメインのため、従来通りの開催にしました。

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個別相談では入試対策や留学制度、在学生に直接相談など、気になる点を相談できる

近年は地球温暖化などの影響で、夏期は危険な暑さになる日も多く、中央大学に限らず、夏のオープンキャンパスでは、たとえ体調不良までいかなくても、暑さのために予定していた通りにキャンパスを回りきれず、途中で切り上げた来場者もいたかもしれません。

「6月の開催によって、少しでもそういう方が減り、十分に情報をキャッチして進路選択の参考にしてもらえたら、うれしいことです。本学は多摩キャンパスに27年度スポーツ情報学部(仮称)の開設と経済学部の学科再編、28年度に情報農学部(仮称)の開設を予定しています。オープンキャンパスで最新の情報を知っていただき、また多摩キャンパスの自然豊かで、のびのびとした雰囲気も感じとっていただきたいです。1階から4階まである学食は学生に人気で、眺めがよく、メニューも多彩なので、オープンキャンパスではぜひ利用してください!」

2026年度のオープンキャンパス情報

昨今の猛暑は、夏にオープンキャンパスを開催している多くの大学でも課題となっており、さまざまな対策を講じています。九州大学は10室以上の講義室などを「クールスポット」として開放しており、専修大学では飲料水の無料配布のほか、キャンパス内のウォーターサーバーの活用をすすめています。

オープンキャンパスは夏が多いですが、大学によっては年間を通して開催され、春は3月頃から始まります。26年度のオープンキャンパスを6月に開催するのは、ほかに獨協大学、横浜国立大学、創価大学、関西外国語大学などがあります。横浜国立大学の来場型のオープンキャンパスは、1年を通して6月20日、21日の2日間のみ開催予定です。

中央大学が大学間の連携会議で夏の開催をやめることを伝えたところ、歓声が起きたそうです。今回の中央大学の変更によってどのような影響が出るのか、他大学も注目していることは間違いありません。オープンキャンパスは進学先を選ぶだけではなく、受験への意欲が高まる大事な機会です。開催日程などの情報を逃さないように、こまめにチェックしましょう。

(文=中寺暁子、写真=中央大学提供)