ブロッコリーが冷凍野菜1位になった納得の理由

(写真: manoimage/PIXTA)
冷凍庫を開けると、ブロッコリーが入っている。そんな家庭が、いまの日本では珍しくない。かつて冷凍野菜といえば枝豆やポテトが定番だったが、2025年にブロッコリーがついにその牙城を崩し、販売金額で初めて1位に躍り出た。
【画像でわかる】冷凍ブロッコリーが急激に伸びている
下処理不要の手軽さに加え、健康志向の高まりも追い風となり、冷凍ブロッコリーの市場規模は2017年比で約4倍にまで膨らんでいる。いま冷凍食品市場で何が起きているのか。データで消費トレンドを追ってみたい。
冷凍野菜ではブロッコリーが枝豆・ポテトを逆転し1位に
全国のスーパー、コンビニ、ドラッグストアなど約6000店舗の販売動向を追う「インテージSRI+」のデータが、その変化を数字で裏付けている。冷凍ブロッコリーの市場規模は2025年に184億円に達し、2017年比で実に約4倍。長年トップに君臨してきた枝豆とポテトをともに抜き去り、冷凍野菜の首位に立った。
なぜ冷凍ブロッコリー人気が高まっているのか。まず健康面での評価が高い。ビタミンやミネラルが豊富で、栄養価の高さが健康志向や美容意識の高い消費者に響いたとみられる。次に手軽さだ。生のブロッコリーは洗浄・カット・加熱と下処理に手間がかかるが、冷凍なら袋から出してそのまま使えるため、忙しい平日の夕食にも取り入れやすい。
2026年4月には国が「指定野菜」に追加することも決まっており、ブロッコリーへの注目はさらに高まりそうだ。
好調を支えたもうひとつの要因として、価格面での“コスパの良さ”も挙げられる。2025年時点の1kgあたりの平均価格(税抜き)を比較すると、ブロッコリーは954円とポテト(915円)や枝豆(766円)を上回っている。だが、2017年比での値上がり率を見ると、ブロッコリーは約1.14倍にとどまり、ポテト(約1.47倍)や枝豆(約1.33倍)ほど上昇していない。単価は高めでも、上がり方が緩やかな分、相対的に選ばれやすくなった可能性がある。
その背景にあるのが、容量の大型化だ。2017年には冷凍ブロッコリーの98.4%が300g以下の小容量品だったが、2025年には300g超が52.4%と過半数を占めるまでに逆転した。大容量化によって1回あたりの実質的な価格上昇を抑えることに成功している。
加えて、天候不順などで生鮮ブロッコリーの価格が高騰した時期と重なったことで、価格が比較的安定している冷凍品のメリットが際立った面もありそうだ。
世代で分かれる「定番」
では、誰がブロッコリーを買っているのか。全国約7万人の生活者から買い物データを継続的に聴取する「インテージSCI」を年代別に見ると、興味深い傾向が浮かぶ。

冷凍ブロッコリーは10〜20代の購入金額構成比が28%と、30代以上と比べて高い。同じ健康野菜のほうれん草でも10〜20代の構成比は大きいが、ブロッコリーの存在感はとりわけ目立つ。若年層では健康・美容への関心が高く、たんぱく質を意識した食生活とも相性がよいことが背景にあるのかもしれない。
一方、30〜40代ではポテトが多く、50代以上では枝豆が根強い人気を誇る。ポテトは子育て世帯の需要、枝豆はお酒のつまみ需要を捉えたのだろう。それぞれの生活スタイルが、冷凍野菜の選択に表れている。
冷凍食品で変化が起きているのは、野菜だけではない。温めるだけで食事が完結する冷凍調理品の分野でも、新たなカテゴリーが存在感を増している。
冷凍調理品の中で存在感を増しているのが主食だ。冷凍調理品全体に占める主食の金額構成比は、2017年の47.2%から2025年には52.6%へと拡大し、半数を超えた。コメの価格高騰を背景に、価格が比較的安定している冷凍のパスタやうどんへの代替需要が伸びた面もあるだろう。
その主食分野の中でも、ひときわ急成長したのが「ワンプレート冷食」だ。主食とおかずが一つのトレーにまとまった商品で、2017年比での伸びは1411%(約14.1倍)に達する。2025年の市場規模は158億円と、冷凍食品の定番であるお好み焼き(136億円)やおにぎり(109億円)を上回る規模となった。
ワンプレート冷食が人気になったワケ
ワンプレート冷食が伸び始めたのは2019年。前年から大きく市場規模を伸ばし、存在感を高めた。人気を牽引したのが、2018年に登場した和食系ワンプレートだ。10品目以上の食材を一皿に収め、バランスのよい食事が手軽にとれることの訴求が支持を集めた。
さらに2020年からのコロナ禍による巣ごもり需要の拡大に加え、「健康でいたい」という意識の高まりが、手軽さと健康訴求を併せ持つワンプレート冷食の利用を後押しした。
コロナが落ち着いた2023年以降も成長が続いた理由の一つは、商品ラインナップの拡充だ。店頭で販売されたワンプレート冷食の種類は、2022年の66種類から2025年には156種類へと2倍以上に増えた。チキン南蛮やカツカレーなどボリューム感を前面に出した商品も増え、用途や気分に合わせて選べるようになったことが、新たな需要を掘り起こしたと考えられる。
また、ワンプレート冷食の好調要因として、コスパのよさが挙げられる。緩やかな価格上昇がみられつつも、25年時点で税抜きの平均単価は400円を下回っていた。200~300円程度のスパゲティやラーメンなどほかの冷凍調理品よりは高いものの、別途おかずを用意しなくても1商品で食事が完結することを考えれば、ワンコイン以下はお手頃の価格帯だといえるだろう。
年代を問わず支持される理由
「インテージSCI」のデータからワンプレート冷食の購入金額構成比を年代別に見ると、10代から70代までおおむね6〜8%で横並びと、世代差が大きくない。チャーハンやラーメンのように若い層ほど構成比が高い商品とは対照的だ。
ただし、売れ筋の中身は年代によって異なる。和食系の健康訴求商品は年齢が上がるほど選ばれやすく、チキン南蛮やチキンカツのようなボリューム訴求商品は若い層に支持される傾向がある。幅広い商品ラインナップが、それぞれの層のニーズに対応した結果として、年代を問わない支持につながっているのだろう。