銀座に志かわ「800円モーニング」の忖度ない感想

高級食パンチェーン、銀座に志かわのカフェでモーニング(写真:筆者撮影)
『マツコの知らない世界』(TBS系)にも出演した、チェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライターの大木奈ハル子さん。連載「チェーン店最強のモーニングを探して」では、さまざまなチェーン店のモーニングをご紹介しています。
第151回、ご紹介するのは「銀座に志かわ」です。
さまざまな外食チェーンで販売している朝限定メニュー。
【画像】お腹いっぱいにはならないけど…「銀座に志かわ」カフェ業態のモーニングの一例
ファミレスにカフェ、ハンバーガーショップや牛丼チェーンなどはもちろんのこと、最近では焼肉店やラーメン店で独自のモーニングサービスを展開しているお店もあります。
今回は高級食パンの雄、「銀座に志かわ(ぎんざにしかわ)」のモーニングをご紹介します。「乃が美」「嵜本」とならび、人気高級食パンチェーンとして、2020年前後に一大ブームへと発展。全国各地に専門店が誕生し、行列ができる店として人気を呼びました。
高級食パンチェーンの新業態はカフェ

銀座に志かわ築地店を2025年にリニューアルした、GINZA NISHIKAWA COFFEE ROASTERY 築地店(写真:筆者撮影)
銀座に志かわの創業は、2018年。高級食パン専門店として、フランチャイズを中心に店舗数を増やし、最盛期には約140店舗まで増えたものの、2021年以降に急速にブームが収縮。現在は50店舗ほどを展開しています。
そんな決して順風満帆とは言えない状況のなかで打ち出された新業態が、今回ご紹介するカフェ事業です。訪れたのは「GINZA NISHIKAWA COFFEE ROASTERY 築地店」。2025年3月に、もともとあった築地の店舗をカフェに改装して、リニューアルオープンしました。

銀座に志かわのモーニングは、トーストとドリンクで税込800円(写真:筆者撮影)
銀座に志かわのモーニングメニュー
モーニングの実施時間は開店(朝8時30分)から朝11時まで。「トーストプレート」は、トーストとドリンクのセットで、料金は税込800円です。
トーストには、生抹茶みつ・阿波黄金ゆずみつ・バターが別添え。ドリンクは、以下の4種類から選べます。
「トーストとドリンクだけで800円は高すぎない?」という声も聞こえてきそうですが、トーストはに志かわの高級食パンを使用していますし、カフェラテの単品価格は税込680円と、ドリンクメニューの価格設定自体もお高め。

単品販売の調理パン(オープンサンド)、ラタトゥイユ450円、クワトロフォルマッジ500円、照り焼きチキン550円ほか(写真:筆者撮影)
単品販売している、ピザトーストは税込450円から、一口サイズのラスクスイーツも400円前後と軒並み強気です。つまり、一般的な感覚としては決してお安くないものの、に志かわの他のメニューと比較すると、十分お得感はあります。
現在、三田と蔵前にもに志かわのカフェがありますが、そちらではトーストとドリンクにプラスして、ベーコンエッグとサラダがセットされた「モーニングプレート」税込1000円もあるようです。

ラスクは小さめサイズながら、かなり強気な価格設定。栗小豆420円、抹茶小豆380円(写真:筆者撮影)
に志かわの食パンは、やはりおいしかった

銀座に志かわのカフェ店舗で販売中のモーニングセット。トーストプレート800円(写真:筆者撮影)
今回は、トーストにカフェラテをセット。「見た目は質素かもなぁ」と予想していたのですが、トレイがジャストサイズだからなのか、お皿の質感がマットだからなのか、トッピングを別添えの小皿に並べてあるからなのか、トーストとドリンクだけなのに、意外や意外、グッドルッキングです。
食パンのサイズは小ぶりながら厚切りです。まずはそのままパクリ。味はさすがに志かわ、はずれなし。軽くトーストされた食パンは、外はさっくり、中はしっとり。パン生地の気泡がきめ細かく、食感は軽やかで舌触りはなめらか。噛むほどに上品な甘味が口のなかに広がります。

厚切り食パンの断面。気泡のキメが細かく均等で、柔らかくとろけるような食感です(写真:筆者撮影)
面白いのがパンの耳の口当たり。一般的に食パンの耳というのはパサつくものですが、に志かわの耳はつるりとなめらか。他の食パンとは一線を画す食べ心地です。
この独特の質感の理由のひとつが、水へのこだわり。に志かわでは、生地に配合する水分量を多めにするほか、アルカリイオン水を使用することで、差別化を図っています。
おつぎは、パンのトッピングを乗せていただきます。生抹茶みつの香り立つほろ苦さ、阿波黄金ゆずみつの爽やかな酸味、バターの塩気とコク。そのまま食べてもおいしい食パンに、さらに美味しいジャムやクリームを塗って食べる。パン好きにとっては、なんとも幸せな瞬間です。

パンのトッピング、左からバター、生抹茶みつ、阿波黄金ゆずみつ。みつはジャムと比べると、かなりゆるめのテクスチャー(写真:筆者撮影)
本音を言えば、小さめサイズのトースト1枚だけでは量的にはちょっと足りない。でも、「これから築地場外で食べ歩きをする前に」とか「築地本願寺に行った帰りにひと休み」というタイミングなら、これぐらいがジャストサイズなんです。
店内焙煎の本格的なコーヒーにクリーミーなミルク

ハートのラテアートがかわいい、紙コップ入りのカフェラテ(写真:筆者撮影)
カフェラテは紙コップ入りながら、ロゴがプリントされた断熱エンボス素材で、安っぽい印象はナシ。ハート型のラテアートも施されており、飲む前からテンションが上がります。
味わいは驚くほど本格的。それもそのはず、コーヒー豆は店内焙煎されたもので、品質はもちろんのこと、鮮度も抜かりなし。コクのあるコーヒーに、ふわふわのフォームミルク。飲むとホッとするまろやかで優しい味わいです。

カウンター左手の白い大型マシンが、焙煎機。都内初導入のマシンだそう(写真:筆者撮影)
ホットコーヒーは1杯ずつサイフォンで抽出してくれるそう。「食パンのおまけ」ではなく、きちんとカフェとしてコーヒーにもこだわっているからこそ、シンプルなモーニングメニューが成立しているのかもしれません。
パンをちょっとかじってから、カフェラテを一口グビり。どちらもおいしくて、気づけばぺろりと完食です。
築地で人気カフェに生まれ変わった、に志かわ

もちろん、店頭で食パンも販売。一斤640円、あん食パンは1100円。お高めながら手土産に丁度よい価格帯(写真:筆者撮影)
2024年から筆者は5軒隣にあるコメダ珈琲店系列のカフェに頻繁に通っており、築地にあるに志かわの前をもれなく通過していたのですが、食パン専門店だった頃は、正直なところお客さんの姿はまばらで、にぎわっている印象はあまりありませんでした。
たまに手土産を求める際も、行列ができていた頃が嘘のようにすんなりと買えてしまう。「いつも静かだけど、時間帯の問題なのかな?」と、老婆心ながら気にかけており、店に人が入っていくのを見かけると、なぜかこちらまでホッとしたものです。

三角形のフレンチトーストは300円から、手前側の小さめサイズのトーストは280円から(写真:筆者撮影)
それがカフェに改装されてからというもの、様子は一変します。ガラス越しに店内を見ると席は埋まり、客の出入りもひっきりなし。以前とはずいぶん雰囲気が変わり、大繁盛店に生まれ変わりました。
「どうして今までカフェにしなかったのか」絶好の立地
それもそのはず、築地市場に隣接し、店舗前はインバウンドの観光客が絶えず行き交い、隣も向かいもホテルという、カフェに絶好の立地条件。
「どうして今までカフェにしなかったのか」と思わず感じてしまう、食パンのテイクアウトだけではもったいないロケーションなのです。

2階にも20席ほどのカフェブースあり。高級さを売りにしている食パンチェーンとは思えない?簡素さですが、ある意味これも企業努力なのかも?(画像:筆者撮影)
平日朝10時30分、1階の10人掛けのロングソファに座っているのは6人。その全員が外国人です。その隙間にちんまりと腰掛けて朝食を食べる。まるでこちらが外国に迷い込んだ、エトランゼになったような朝です。
もっとも不満がないわけではありません。2階のカフェスペースは、クッションもない丸椅子と会議室にあるような長机が置いてあるだけ。しかも、丸椅子は富士貿易と思しきもので、これはAmazonで2000円ぐらいで購入できます。

裏返してみると、シールはそのままでした(画像:筆者撮影)
もっとも、都心にあるカフェは、大規模チェーンでない限り最近は商売っ気が強いもの。特別豆にこだわっている感じではない店でもコーヒー1杯が600~700円することも珍しくありません。
それを考慮すると、椅子やテーブルにそこまでお金をかけていないのは、むしろ「企業努力の賜物」と言っていいでしょう(実際問題、座り心地が良すぎると、長居してしてしまって、回転率も悪くなりますもんね)。
こだわるところにはこだわり、削るところは削る。一時は閉店ラッシュだった「銀座に志かわ」の、カフェ業態を成功させる強い意志を感じた朝なのでした。
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