さいたま「巨大フードコート」で旨味に溺れる至福

さいたま新都心の巨大フードコート「FOOD BAZAAR」と「コクーンキッチン」を訪問する(写真:筆者撮影)
近年、商業施設のリニューアルに伴い、フードコートを新設したり、刷新したりするケースが増えてきた。
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例えば、国内に約20店舗あるショッピングモール「ららぽーと」の第1号店にして日本最大の規模を誇るららぽーとTOKYO-BAYでは、2025年10月末に北館をリニューアルして「Gourmet Tables(グルメテーブルズ)」が誕生。フードコートの店舗数・席数は日本最大級の規模を誇る。
その他では、25年に開業10周年を迎えたさいたま新都心にある「コクーンシティ」の「コクーン2」が、3階にあるフードコート「コクーンキッチン」をリニューアルした。同エリアはファミリー層も多く住む地域であり、リニューアルでは家族連れ向けのゾーンも新設している。今回は、このコクーンキッチンを訪問してみよう
新都心にたたずむ「コクーンシティ」
コクーンシティは、現在コクーン1~3とパークサイドビルの4棟からなる複合商業施設で、同地には繊維業などを展開する片倉工業の工場や、イトーヨーカドー、ゴルフ練習場などから構成される複合施設「大宮カタクラパーク」が存在していた。

コクーンシティ(写真:筆者撮影)
その後、片倉工業の工場移転などもあり、再開発プロジェクトが始動。04年9月に「コクーン新都心」として開業した。さらに15年には新たに「コクーン2」が竣工、並びにイトーヨーカドーの跡地を「コクーン3」として改装した上でコクーン新都心も「コクーン1」に改称し、コクーンシティが誕生した。
このコクーンシティには、フードコートが2つある。そのひとつが、コクーン1の1階にある「FOOD BAZAAR」だ。

FOOD BAZAAR(写真:筆者撮影)
席数はテラス席を含めて約320席で、店舗数は全部で6つ。一般的に同じ施設の中に複数のフードコートが存在する場合、地上階に近い方に、多くの人にとってなじみのあるマクドナルドや丸亀製麺などのチェーン店をそろえていることが多い。
個性的な店舗が集まるFOOD BAZAAR
ただ、FOOD BAZAARは全国的に店舗を数多く展開しているチェーン店の名前はなく、比較的個性的な店舗が集まっている。「フードコートといえば」なラーメンはなく、麺類は「細うどん」を標榜する「細切りうどん 天つるり」と、「担担麺 金ごま屋」の2店舗だ。

細切りうどん 天つるり(写真:筆者撮影)
その他、食事系では韓国ビビンバの「ナムルごはん シクタン」、チキン専門店の「まんぷく食堂」に加え、「一所懸命 肉丼の星」がそろい、デザートではクレープやタピオカドリンクなどを提供する「デザート王国」が営業する。

デザート王国(写真:筆者撮影)
壁の一部がガラスになっており、採光が良いので空間全体が明るい。内装はシックな感じで、あまりファミリー向けという印象は受けなかった。学生グループや、若めのグループが多いように見受けられる。

採光が良く、空間全体が明るい(写真:筆者撮影)
地域を代表する、堂々たるフードコート
対して、家族連れ、それも小さな子どもを連れた客が大半を占めていたのが、コクーン2・3階にある「コクーンキッチン」だ。

コクーンキッチン(写真:筆者撮影)
15年にオープンした当初の席数は、エリア最大級となる約700。ファミリーだけでなく、ソロでも楽しめるような席種に加え、キッズスペースなど幅広いニーズに対応する空間設計をしていた。
店舗では、当時フードコート初出店となる名古屋を拠点とする「鳥開総本家」や、もんじゃ焼き店「だるま」による新業態「てっぱん焼き・焼きそば銀次」を中心に11のテナントが入っていた。
以来、10年にわたって盛況が続いていた一方で混雑が常態化していたようで、25年のリニューアル時には「お客様から多く寄せられた混雑解消の声に応えて」、2割増となる840席ほどに規模を拡大した。
「こどもダイニング」をキーワードに、小さな子どもに合わせたテーブル・ソファなどを設置し、ベビーカー置き場や調乳器を整備した。
家族連れ以外の客にもうれしい心遣い
それ以外でも、カウンター席を刷新したほか2人掛けソファを充実させるなど、地域の核となる大箱のフードコートらしい心遣いが行き届いている。入り口に各店舗のメニューサンプルが置いてある点も、ポイントが高い。

入り口には各店舗のメニューサンプルが!(写真:筆者撮影)

入り口の段階で、食べるものを決められるのがありがたい(写真:筆者撮影)
現在のテナントを見渡すと、オーソドックスなジャンルをそろえつつしっかりと個性を出しているような印象だ。
チェーン店らしいテナントとしては、「サーティワンアイスクリーム」と、「フレッシュネスバーガー」。あとはお茶漬けの「こめらく」と「一風堂」で、フードコート専門業態の「RAMEN EXPRESS 博多一風堂」ではなく一風堂が入っているのはそこそこ珍しい気がする。

サーティワンアイスクリーム(写真:筆者撮影)

仙臺たんや 利久(写真:筆者撮影)
この他、「仙臺たんや 利久」や、大阪にルーツを持つ「せんば自由軒キッチン。(以下、せんば自由軒)」、「東京しゃも親子丼 清水」など、なんとなく地域性を押し出す店舗もあり、生パスタやインドカレーなど、バラエティー豊かである。インドカレーのアマラは、レジ横がガラス張りで調理風景を見られるようになっており、エンタメ性もあった。

インドカレーも食べられる(写真:筆者撮影)
この日選んだメニューは…
この日、選んだのはせんば自由軒と、「蔭山樓」だ。
せんば自由軒は、明治時代に大阪初の西洋料理店としてオープンした「自由軒」をルーツに持つ。ビフカツなどを出すとともに、米とカレーを混ぜた「名物カレー」が代表的メニューであり、織田作之助も愛したとされる。
その後、のれん分けのような形で生まれた「本町自由軒」という店がせんば自由軒となり、本家の自由軒が公式サイトでその説明をするなど、結構ややこしい歴史があるようだ。
せんば自由軒ではカレーではなく、100%牛肉で手ごねのハンバーグを売りにしているようで、そちらをチョイスした。ハンバーグは150グラム、200グラム、300グラムからサイズを選べ、さらにご飯かサラダがセットで付いてくる。
こういうケースであまりサラダは目にしないので、サラダにした。またソースとしてデミグラス、和風おろし、オニオンと季節のメニューが選べた。

せんば自由軒キッチン。(写真:筆者撮影)

100%ビーフの手ごねハンバーグをチョイス!(写真:筆者撮影)
ハンバーグに加え、注目の鶏白湯ラーメンを注文
もう一軒の蔭山樓は、フカヒレを専門にする中華料理店で、本店は自由が丘にある。期せずして、せんば自由軒と自由被りしてしまった。
さて、フードコート仕様の蔭山樓は「自由が丘 鶏白湯麺」という名を冠しており、ラーメンが中心となっている。中でも一番人気と目されるのが「特選 鶏白湯塩そば」だ。東京ラーメン・オブ・ザ・イヤーの鶏白湯部門で3年連続の1位を獲得しているメニューである。

蔭山樓(写真:筆者撮影)

東京ラーメン・オブ・ザ・イヤーの鶏白湯部門で3年連続の1位を獲得している(写真:筆者撮影)
アツアツのハンバーグとラーメンが到着
呼び出し機を握りしめながら、フードコート内をうろうろと散歩すること10分ほど。ハンバーグとラーメンの双方が到着した。

ハンバーグとラーメンを選んだ。肉の旨味に溺れていこう(写真:筆者撮影)
ハンバーグの方は、注文したあとに手ごねされていると思われる。実際に筆者が注文した後、厨房でスタッフがこね始めていた。鉄板で提供されるものの、ジュージュー感はそんなにない。油が飛ばないという意味ではありがたい。

ボリュームのあるサラダがうれしい(写真:筆者撮影)
サラダもしっかりでうれしい。これから脂と塩分を大量に摂取する前に、しっかりベジファーストで備える。付け合わせのポテトは塩味しっかりめで食べ応えがある。
ハンバーグは、ジュージューいっていないもののアツアツ。デミグラスソースを頼んだが、そのままでも十分で、牛肉100%らしいガツンとした旨味を感じる。

牛肉100%!(写真:筆者撮影)

特選 鶏白湯塩そば(写真:筆者撮影)
珠玉の1杯がフードコートで楽しめる
アツアツのハンバーグを冷ましがてら、特選 鶏白湯塩そばにも箸を伸ばす。麺は中太のちぢれ麺で、濃厚なスープが良く絡んでいる。レンゲですくってスープだけを飲むと、濃すぎるくらいにこれでもかというほどの鶏の旨味の暴力を感じる。おいしい。
これだけでも十分なのに、青物が入っていたり、煮卵が半玉どころか1玉丸ごと入っているのもうれしいし、なにより海老ワンタンが食べ応えを高めている。表面からは1個しか見えないが、食べ進めていくともう1つ奥に隠れており、プリプリの海老とスープがよく合う。
さらに、付け合わせには味変用のレモンも添えられており、最後まで一瞬たりとも飽きさせない1杯となっている。
大阪発の伝統の味、それに都内にある高級店の味、それを予約もせず大した行列もせず、もちろん現地にも行かずに楽しめる。フードコートらしい醍醐味がしっかり詰まった、新都心という土地の名に恥じない堂々たるフードコートであった。