【鶏むね肉の3割が該当?】欠陥「スパゲッティ・ミート」の正体とは? リスクと見極め方を米専門家が解説

【鶏むね肉の3割が該当?!】欠陥「スパゲッティ・ミート」の正体とは?リスクと見極め方を米専門家が解説
鶏むね肉は世界中で最も人気のあるタンパク質の一つだが、調理に苦手意識を持つ人は少なくない。パサッとした質感や調理の難しさ、食中毒のリスクなど、常に慎重さが求められる。しかし、それらとは別に、あまり知られていないものの、多くの人が経験しているはずの不快な現象がある。
SNSでは、生の鶏むね肉に見られる「ある異変」について困惑の声が広がっている。本来の鶏肉とは異なり、指で触れただけで身が糸のように細かく、柔らかくほぐれてしまうのだ。ネット上では「ラボで培養された肉ではないか」といった陰謀論まで飛び交っているが、これは紛れもなく実在する動物の肉であり、公式には「スパゲッティ・ミート」と呼ばれている。
スパゲッティを絡めた鶏肉料理なら最高だが、肉そのものがスパゲッティ状なのは、お世辞にも食欲をそそるとは言えない。一体これは何なのか? 食べても安全なのだろうか? バージニア工科大学のアニマルサイエンス学部長、デビッド・ジェラード博士にその真相を聞いた。
<専門家の紹介>デビッド・ジェラード博士:バージニア工科大学アニマルサイエンス学部長。動物の筋肉成長や食肉の品質管理における世界的権威。
「スパゲッティ・ミート」とは? なぜ肉がほぐれるのか
「スパゲッティ・ミート」とは、鶏の筋肉組織がバラバラにほどけてしまう、一種の筋肉疾患を指す呼称だ。ジェラード博士によれば、この疾患は「筋肉の束を繋ぎ止めている結合組織の強度が低下すること」によって引き起こされるという。
この欠陥が初めて報告された2015年当時は「マッシー・ブレスト(ドロドロの胸肉)」と呼ばれていたが、その見た目が麺に似ていることから、次第にスパゲッティ・ミートという名が定着した。
主に鶏むね肉の筋肉に発生するが、稀に脚や腿の筋肉にまで広がることもある。商業用の鶏に多く見られるが、七面鳥や豚肉でも確認されている現象だ。
「スパゲッティ・ミート」が起きる原因は、養鶏業界成長に関連?

Tim Graham / Getty Images
ジェラード博士の推定では、アメリカの養鶏産業における鶏の約10〜35%がこの疾患の影響を受けている。その原因には遺伝や飼育環境、加工工程など複数の要因があるが、多くの専門家は、産業レベルで行われている「鶏の急速な成長」との関連を指摘している。
過去75年間で、養鶏業界は生産効率を上げるため、肉用鶏(ブロイラー)のサイズと成長速度を飛躍的に向上させてきた。1950年代には出荷サイズになるまで約16週間かかっていたが、現在は品種改良と特別な飼料により、わずか半分の期間で出荷が可能となっている。
急激に巨大化した鶏の筋繊維は脆弱で、欠陥が生じやすいという研究結果もある。ある研究では、こうした高収益型の鶏の加工を「弱くなった骨組みに対して機械的なストレスをかけるようなもの」と表現している。比較的新しい現象であるため、全容解明にはさらなる研究が必要だ。
食べても安全? 味や健康への影響

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幸いなことに、これまでの研究では「スパゲッティ・ミート」を人間が食べても健康上の問題はないとされている。ただし、食感と栄養面にはマイナスの影響がある。
スパゲッティ・ミートは、正常な鶏肉に比べてタンパク質が少なく、脂質が多いことが判明している。また、加熱調理時に筋肉から水分が漏れ出す「ドリップロス」の割合が高いため、焼き上がりがパサつきやすく、食感も柔らかすぎて締まりがない。つまり、安全性には問題ないが、おいしくはないのだ。
重度のスパゲッティ・ミートは通常、ソーセージやナゲットなどの加工食品に回される。しかし、軽度から中度のものは、スーパーの精肉売場にそのまま並んでいることも珍しくない。
「スパゲッティ・ミート」を避けるための最善策は、成長を急がせず、時間をかけて育てている小規模な生産者の鶏肉を選ぶことだ。見分けるコツは、「手のひらよりも大きなサイズの胸肉」を避けること。 巨大すぎる胸肉は、繊維が崩れやすい傾向にある。USDAオーガニック(日本の有機JASに相当)認証があるものや、小ぶりで少し価格が高いものを選ぶのも、質のよい肉に出会うための一つの目安になるだろう。
※この記事は『delish』の翻訳をもとに、ウィメンズヘルス日本版が編集して掲載しています。
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