OPPOが折りたたみスマホを日本へ投入する理由

OPPOも折りたたみスマホを日本に投入する(写真:筆者撮影)
スマートフォンのディスプレイを縦や横に折りたたむことのできるスマートフォンの種類が日本でも増えている。オッポ(OPPO)ブランドのスマートデバイスを日本で展開するオウガ・ジャパンは、横折り型(フォルダブル)スマートフォン「OPPO Find N6」を4月14日に発表する。価格が高くニッチ向けと言われている折りたたみスマートフォンを、同社はなぜ日本に投入するのだろうか。
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折り目ゼロ、新時代の折りたたみスマホ
オッポは2018年から日本市場に参入し、これまで多くのスマートフォンを販売してきた。最近では老舗のカメラメーカー、ハッセルブラッドと提携した高性能カメラを搭載するモデル「Find X9」を2025年12月に発売、ソフトバンクなどキャリアからも購入が可能だ。また同月には手軽に使えるスマートフォンとして低価格モデル「OPPO A5 5G」も発売している。
日本での存在感はまだ低いオッポだが、グローバル市場で見ると世界シェア5位に入っている大手メーカーだ。調査会社IDCによると、2025年の世界のスマートフォン出荷台数の順位は1位がアップル、2位がサムスン、3位がシャオミと、いずれも日本でも知られたメーカーが入っている。だが4位はヴィヴォ(vivo)、5位オッポと、グローバル視点で見ると意外と思われるようなメーカーが上位に入っているのだ。ちなみに日本ではおなじみのシャープやソニーのスマートフォンは、世界全体で見るとシェアは低く、ニッチなポジションにとどまっている。
では折りたたみスマートフォンの動きはどうなっているのだろうか。2019年にサムスンとファーウェイが製品を投入して以降、毎年参入プレーヤーが増えている。オッポは2021年に「Find N」で市場に参入した。本体を開くと横型ワイドディスプレイになる形状が特徴で、見開きで電子書籍やコミックを読みやすい形状が一定の支持を得た。とはいえ他社が大型の折りたたみモデルを出す中で、オッポも同じデザインを採用し、2026年3月17日に最新モデル「Find N6」をグローバルで発表したのだ。そしてそれから約1週間後、日本市場への投入がアナウンスされたのである。

オッポの折りたたみスマホが日本初上陸(写真:筆者撮影)
「Find N6」は折りたたみスマートフォンを初めて見る人が感じる違和感を無くしたモデルである。本体の厚みは閉じた状態で8.93mmとなり、これは一般的なスマートフォンとほぼ変わらないサイズだ。また重量も225gと片手で楽に持てる。ちなみにアップルの「iPhone 17 Pro Max」の重さは233gだ。
さらに本体を開くと厚みは4.21mm。薄さが自慢の「iPhone Air」の5.6mmよりさらに薄い。そして折りたたみスマートフォンの最大の弱点と言われる、開いたときに画面の中央に見えるヒンジ部分の折り目がほとんど目立たない。本体を開いたときに、8.12インチのフラットなディスプレイを違和感なく使うことができるのである。
AI機能で高性能なビジネスツールに
「Find N6」の特徴を端的にまとめると「薄くて軽く、折り目が目立たない」となる。だがこれだけで「Find N6」を買う意欲を高めさせることは難しいだろう。競合他社、サムスンやグーグルの折りたたみスマートフォンの価格は20万円を超えており、「Find N6」も同様に高価格となることが予想される。そしてそもそもまだまだ折りたたみスマートフォンは市場での認知度も低い。
だが「Find N6」は高度なAI機能を搭載しており、さらに専用カバーに収納・充電できるスタイラス「OPPO AI Pen」と組み合わせることで、既存のスマートフォンの枠を超えた“AIビジネスマシン”と呼べる製品へと進化を遂げている。 縦長の狭い画面に縛られた一般的なスマートフォンでは実現しえない大型の正方形画面を最大限に活かし、情報収集・整理から会議の要約、アイデアの可視化まで、幅広いビジネスシーンで生産性を大きく引き上げてくれるツールだ。 20万円超という価格に見合う価値を、十分に提供できる製品と言えるだろう。

ペンの名称も「OPPO AI Pen」と、AIの名を冠する(写真:筆者撮影)
端末内の情報を自動で整理・可視化する「AI Mind Space」、会議音声を自動でテキスト化・要約する「AI Recording」、被写体だけを立体的に切り出す「AI Motion Photo Popout」など、「Find N6」のAIは生成系と知的支援系の両方を盛り込んでいる。また大画面ならではのAI体験として画面を2分割して対面通訳ができる「AI Translate」や、文書を自動で二言語対比表示する「AI Document」なども特徴だ。3つのアプリを分割して表示したり、4つのアプリを別々の小さな画面として表示するなど、折りたたみスマートフォンの大きな画面を生かした使い方もできる。
専用のペン「OPPO AI Pen」により、手書きメモをワンタップで表に変換する「AI Chart」や、ラフスケッチを完成度の高いビジュアルに起こす「AI Image」「AI Painter」といった機能も搭載されている。「OPPO AI Pen」は専用カバーと共に提供され、カバーに収納しながら充電も行える。移動中や空き時間に頭に思い浮かんだアイデアを、「OPPO AI Pen」を使って「Find N6」の画面に書き込めば、それがすぐにビジュアル化・テキスト化されるという、シームレスなワークフローを実現してくれるのだ。
「折りたたみスマホNo.1」と呼べる存在
「Find N6」はビジネス用途だけでなく、プライベートやクリエイティブツールとしての魅力も大きい。 広大なディスプレイは動画をより臨場感のあるビジュアルで楽しめるほか、写真撮影時もカメラプレビューが大きく表示されるため、構図の細部まで確認しながらシャッターを切れる。複数アプリの同時起動も実用的であるため、縦型動画を再生しながら横にSNSのタイムラインを並べるといった、ながら視聴も自然に実現できるのだ。
ペンで書いたラフな絵を芸術家レベルに清書してくれる「AI Painter」はSNSに自分の考えたアイデアを気軽に投稿できるし、子供に絵を描かせればそこから新たな想像力を発揮させることもできるだろう。そして翻訳系の機能はビジネスだけではなく海外旅行でもその威力を十二分に発揮してくれる。「折りたたみスマートフォンでなくてはできない機能」が満載されているのである。

大画面を活用できる(写真:筆者撮影)
ここで現在日本国内で販売されている折りたたみスマートフォンと「Find N6」を比較してみよう。サムスン電子の「Galaxy Z Fold7」は「Find N6」より薄型・軽量に仕上がっており、閉じた状態では言われなければ折りたたみスマートフォンとは気づかないほどのスリムなフォルムを実現している。マルチウィンドウや分割表示など大画面を活かした使い勝手の完成度も高い。ただし前モデルまで対応していたペン入力が廃止されたことで、手書き入力やAIと組み合わせたノート活用といったビジネス生産性の面では一歩後退したと言わざるをえない。
またグーグルの「Pixel 10 Pro Fold」は同社のAIアシスタント、Geminiの統合やカメラAIの深さで優位性があるものの、複数アプリ利用の自由度が低く、こちらもペン非対応だ。さらに重量は258gとだいぶ重い。
一方、ワイモバイルが2025年12月に発売したZTE「nubia Fold」は17万8560円と折りたたみスマートフォンとしては比較的手が届きやすい。AI機能は通話翻訳や同時通訳など実用機能が中心だ。「初めての折りたたみスマートフォン」という位置づけの製品でもあり、生成AI連携や専用ペンによる高度な生産性機能を持つ「Find N6」とは方向性が異なる製品だ。
忍び寄る「折りたたみiPhone」の陰
それではなぜ今、多くのメーカーが折りたたみスマートフォンを日本に投入するのだろうか。最大の理由はアップルの参入が目前に迫っているからだろう。市場では2026年9月にアップル初の折りたたみスマートフォン「iPhone Fold(仮称)」が登場すると予測されている。アップルが参入すれば折りたたみスマートフォンはこれまでのニッチな製品から、いよいよ大衆市場への扉を開くことになる。
しかしそれは裏を返せば、アップル参入前の今こそが各社にとってブランドと製品を浸透させる最後のチャンスとも言える。アップルが市場に参入すれば「折りたたみスマートフォンといえばiPhone」という印象が消費者の間に一気に広がる。特にスマートフォン市場でのアップルのシェアが突出して高い日本では、その傾向は他国以上に大きいだろう。
するとアップル以降に折りたたみスマートフォンに参入するメーカーは、どれだけ優れた製品を出しても「iPhoneの後追い」という印象しかなく、それがどんなに優れた製品であっても日本市場での存在感を確立するのはきわめて困難になる。2025年12月にZTEが、そしてオッポが2026年4月に折りたたみスマートフォンを日本市場に投入するのも、アップル前に出さなければ将来の市場での存在感が出せなくなるという危機感の表れだろう。

Find N6を発表したオッポの最高製品責任者、ピート・ラウ氏(写真:筆者撮影)
折りたたみスマートフォンは、世界のスマートフォン市場全体の出荷台数に占める割合はいまだ数%にとどまっている。 だがIDCによると2026年の出荷量は前年比約30%と強気の成長が見込まれており、その最大の牽引役としてアップルの参入が挙げられている。 折りたたみスマートフォンを誰もが使う、あるいは購入時に当然の選択肢として検討する時代が現実味を帯びてきた今、各メーカーは折りたたみスマートフォンを積極的に投入せざるをえない局面を迎えているのである。