NASA有人月ミッション「アルテミスII」カウントダウン開始 打ち上げは日本時間4月2日午前

アメリカが主導する有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」で初めての有人ミッションとなる「Artemis II(アルテミスII)」。その歴史的な打ち上げに向けたカウントダウンが、いよいよスタートしました。

NASA(アメリカ航空宇宙局)によると、アメリカ東部夏時間2026年3月30日16時44分(日本時間翌31日5時44分)、フロリダ州のケネディ宇宙センターにてArtemis IIミッションのカウントダウンクロックが動き始めました。打ち上げはアメリカ東部夏時間2026年4月1日18時24分(日本時間翌2日7時24分)から120分の時間帯(ウィンドウ)に予定されています。

【▲ ケネディ宇宙センター39B射点にあるArtemis IIミッションのSLSロケット。2026年3月30日撮影(Credit: NASA/Joel Kowsky)】

最終レビューは全会一致で“GO”

カウントダウン開始に先立ち、NASAは打ち上げ予定日の2日前となる現地時間3月30日に記者会見を開催しました。会見では、ミッションマネジメントチーム(MMT)による最終レビューが完了し、予定通り現地時間4月1日の打ち上げに向けて全会一致で「Go(進行)」の判断が下されたことが語られました。

レビューでは、大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」や有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」をはじめ、地上システム、飛行ハードウェアの全項目が点検され、打ち上げをさまたげるような重大な懸念は存在しないことが確認されました。

また、ウェットドレスリハーサル(推進剤の充填を伴う打ち上げリハーサル)で課題となっていた極低温推進剤の漏洩については、逆止弁の設計変更やシールの改良が施され、地上テストでも良好な結果を得ているとしています。

カウントダウン開始後、打ち上げチームは飛行ハードウェアの電源投入や通信リンクの確認を進めており、打ち上げの約10時間前からはSLSへの極低温推進剤の充填が開始される予定です。

天候は80パーセントの確率で良好な予報

打ち上げの可否を左右する気象条件について、NASAの気象チームは、現地時間4月1日の天候が打ち上げ基準を満たす確率は80%と良好な予報を出しています。

主な懸念事項として雲の広がりや局地的な強風が挙げられていますが、2時間という比較的長い打ち上げウィンドウが設定されているため、気象条件を満たすチャンスは十分にあると見込まれています。気象チームは引き続き、厳密な気象基準に基づいて安全性を評価し続けるということです。

アポロ計画以来となる歴史的な有人飛行へ向けて

Artemis IIは、月着陸こそ行わないものの、1972年12月の「Apollo 17(アポロ17号)」以来およそ半世紀ぶりに有人で月周辺を飛行するミッションです。

NASAのReid Wiseman宇宙飛行士ら4名のクルーは、打ち上げの約4時間前にOrion宇宙船へ搭乗し、歴史的な打ち上げの瞬間を待ちます。打ち上げられたOrion宇宙船は一旦地球を周回する軌道に投入された後、地球と月を囲む「8」の字を描く自由帰還軌道を飛行し、約10日後に地球へ帰還する予定です。

【▲ ケネディ宇宙センターに到着したArtemis II(アルテミスII)ミッションのクルー。左から:CSA(カナダ宇宙庁)のJeremy Hansen宇宙飛行士、NASAのChristina Koch宇宙飛行士、NASAのReid Wiseman宇宙飛行士、NASAのVictor Glover宇宙飛行士(Credit: NASA/Kim Shiflett)】

【▲ Artemis II(アルテミスII)ミッションの概要図(Credit: NASA)】

NASAによれば、このミッションの過程でOrion宇宙船は地球から約25万2799マイル(約40万6800キロメートル)の距離に達し、1970年4月の「Apollo 13(アポロ13号)」以来となる「人類が地球から最も遠く離れた記録」が更新される可能性があります。ただし、NASAの担当者らは記者会見において、記録更新は副産物に過ぎず、最優先事項はあくまでもクルーの安全な帰還と各システムの技術実証であると強調しています。

Artemis IIミッションの成功は、アメリカが主導する将来の有人月面着陸や持続的な月面探査、そしてその先の火星探査へ向けた大きな一歩となります。目前に迫った歴史的なミッションの成功と、4名のクルーの無事な帰還を心から願います。

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典

・NASA - NASA's Artemis II Launch Mission Countdown Begins

・NASA - NASA's Artemis II L-2 Countdown Status News Conference (March 30, 2026) (YouTube)