「子どもが消える」事案が多発…今すぐやるべき事

「外国人が組織的に子どもを狙っている」は本当か, 「匿名通報」ではないほうがいい理由, 連れ去られそうになった子どもが「助かる3つの方法」, 危険の判断基準は「人」ではなく「場所・状況」, 有効な「防犯ブザー」の条件, 「派手な服装」は交通事故だけでなく犯罪者にも効果

入学や新学期シーズン、不穏なニュースが続いている(写真:Yoshi.photography/PIXTA)

京都府南丹市で小学5年生の男児が行方不明になってから、すでに2週間近くが経つ。

【写真】もしも子どもが連れ去りに遭ったら…「危険な行動」と「助かる3つの方法」

電車やバスの乗車記録もなく、防犯カメラの映像にも映っていない。捜索が続く山中で通学用のリュックサックだけが見つかり、事件なのか事故なのか、いまだ断定できない不可解な状況が続いている。

実は、行方不明になる子どもは年間で1000人を超えている。警察庁が2025年6月に発表した統計によると、24年における9歳以下の行方不明者は1035人に上るという。

そういった報道に触れるたびに、子を持つ親たちの不安が高まっているのを感じる。

SNS上では「近所の公園に外国人が乗ったワンボックスカーが止まっていた」「子どもをじっと見ていた」といった投稿が相次ぎ、「臓器売買目的で子どもが狙われているのでは」という声まで上がっている。

私は、セキュリティコンサルタントとして全国で防犯講演を行っているが、最近は「子どもの連れ去り」をテーマにした依頼が急増している。

本稿では、子どもを守るために、家庭で実践できる防犯対策をお伝えしたい。

「外国人が組織的に子どもを狙っている」は本当か

まず、SNSで頻繁に拡散される「外国人グループが組織的に子どもを連れ去っている」「臓器売買目的で狙われている」という情報について、率直に述べておきたい。

外国人が臓器売買や人身売買を目的として、組織的に日本の子どもを連れ去っているという事実は、現時点では確認されていない。

在日外国人の数が増加すれば、残念ながら不良外国人の数も比例して増える傾向があることは否定しない。

近年の連続強盗事件では、摘発された犯人に外国籍の人物が含まれているケースもあり、犯行前に下見を行うことも確認されている。その際、公園が集合場所になっていることもあるだろう。

しかし、公園や空き地に外国人グループが集まっているからといって、すべてが犯罪目的というわけではない。大半は犯罪とは無関係だ。

子どもを狙うのは外国人だけではない。SNS上の情報に踊らされることなく、落ち着いて実態を見極めたうえで、本当に必要な対策を取ることが大切だ。

「匿名通報」ではないほうがいい理由

とはいえ、怪しい車両を見かけたらどうすべきか。

まず、子どもが不審な車や人物を見かけた場合、何よりも距離をとって安全を確保することが第一だ。そのうえで、親や近くにいる大人に伝える。親がいなければ、学校や塾に戻って先生に伝えるのがいい。

親が警察に連絡する場合、緊急性が低い状況で110番を迷った場合は、「#9110(警察相談専用電話)」または管轄の警察署の代表番号に電話してほしい。

その際のポイントは、「不審な車を見かけました」と報告するだけで終わらせないことだ。名前と住所を伝えたうえで、「恐怖を感じました」などと危険性を伝え、「今後、子どもに何を注意させればいいですか」と相談事として聞くことが大切だ。

そうすることで、警察の担当者は「相談受理簿」にその内容を詳しく記録する。万が一、担当者が緊急性を感じなかったとしても、これが上長の目に触れ、パトロールや職務質問といった対応につながりやすくなることもある。

ただ報告で終わるのと、「相談事としてアドバイスを求められた」のとでは、警察内部での受け取り方が変わってくるのだ。

また、匿名でも記録はされるが、住所・名前を伝えることで情報の信頼性が上がり、対応の優先度も変わる。もちろん、緊急性の判断がつかなければ110番でも構わない。迷わず電話をしてほしい。

連れ去られそうになった子どもが「助かる3つの方法」

では、実際に危険に遭遇したとき、どうすべきだと子どもに伝えるのか。3つの方法を伝えたい。

1:「まず逃げる」が最優先、声は出なくてもいい

よく、危険を感じたら「大きな声で助けを呼びなさい」と言われる。しかし、現実では恐怖で声が出ないことがほとんどだ。恐怖を感じたとき、人間の体は固まる。それは意志の問題ではない。

だから私は、「声が出なくてもいいから、とにかく逃げること」と伝えている。最優先は、犯人と距離をとることだ。

また、「助けて!」「やめて!」という叫び声は、残念ながら悪ふざけや親子げんかと聞き間違えられることがある。もし声が出るのであれば、「この人知らない!」「警察を呼んで!」という具体的な言葉のほうが、周囲に状況が伝わりやすい。

2:逃げる先は「自宅」より「人がいる場所」

「危ないときは自宅に逃げ込みなさい」「民家に駆け込みなさい」と教えている親も多いが、正しい反面、注意も必要だ。

よく、性犯罪などの例で、不審な人につけられた場合、自宅を知られないためにもすぐに自宅には入らないほうがいいと言われることもある。しかし緊急性が高く、さらに子どもの場合は、そのような余裕はないことが多いだろう。

その意味では、自宅に逃げ込むのは正解なのだが、それは犯人と十分に距離がある場合だ。そうでなければ、カギを施錠している間に、もしくはピンポンを押して家族がドアを開ける前に連れ去られてしまう危険性もある。

もし、両親が共働きで家が無人の場合、鍵を施錠したはいいが、開けた瞬間に家に押し込まれるというリスクもある。これは女性が性犯罪の被害に遭うケースでも実際に起きているパターンだ。

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鍵を開けている間に襲われたり、開けた瞬間に押し込まれる危険性もある(写真:polkadot/PIXTA)

確実に家に逃げ込める時間や距離的な余裕がある場合、そして家族が必ず在宅しているなら自宅に帰るのがいい。しかし、その判断に迷う場合は、自宅に限らず人目のある場所・大人がいる場所を優先してほしい。コンビニやガソリンスタンド、「子ども110番」の家などだ。

3:1軒に狙いを定めるよりも、「ピンポンダッシュ方式」で逃げる

ただし、住宅街で助けを求めようとする場合、不審者に追われている状況では、どこか1軒、民家のインターホンを押して開けてもらうのを待っていると間に合わない。

「ピンポンダッシュ方式」でひたすらインターホンを押しながら走り抜けるほうが、複数の家に気づいてもらえる可能性があり、現実的だ。

危険の判断基準は「人」ではなく「場所・状況」

ここからは、危ない目に遭わないためにできる、防犯について書きたい。

防犯の基本中の基本は、「家庭内で日常的に防犯について話し合うこと」だ。

防犯講演では必ず最初に「いざというときの対処法を、あらかじめ子どもと共有しておいてほしい」と伝えている。特別なことをする必要はない。

子どもと過ごす夕飯や風呂の時間に、「もし怖い人に声をかけられたらどうする?」「怖い目に遭ったらどこに逃げる?」といった会話を、日頃からしておくだけでいい。

緊急時には頭が真っ白になる。しかし日常の会話で繰り返し話した内容は体が覚えているものだ。いざというときに動けるかどうかは、この積み重ねにかかっている。

また、危険の判断基準は「人」ではなく「場所・状況」で教えることが重要だ。

「怪しい人についていかないように」という教え方は、子どもには難しい。優しそうな女性でも危険なことはある。それよりも「嫌な感じがする場所からはすぐに離れる」「暗い路地には近づかない」という、場所・状況ベースの判断を身につけさせてほしい。

そうすれば、危険人物が子どもを狙っている場所には近づかなくなるし、近所の優しそうなお兄さんやお姉さんであっても、「危なそうな場所」に連れて行かれそうになったら逃げる、という判断ができる。

次にお願いしたいのが、「子どもと一緒に通学路を実際に歩くこと」だ。

地図を眺めるだけでは気づかない「死角」が、実際に歩くと見えてくる。確認してほしいポイントはこうだ。

「防犯ブザーを鳴らしても、どの家からも見えない場所はどこか」

「人目が途切れる場所はどこか」

そうした死角を発見したら、「ここで何かあったら、あの角まで走ってから声を出そう」「あの大通りに出れば人がいる」といった具体的な行動計画を、子どもと話し合いながら決めておく。

また、住宅街を歩くときは漫然と通り過ぎるのではなく、「今、あの家は庭で洗濯物を取り込んでいる。在宅しているはずだ」「あの角に『子ども110番』のステッカーが貼ってある」「あの店はいつも何時頃まで開いている」といったことを観察しながら歩く習慣をつけてほしい。

何かあったときに助けを求める場所を、普段から把握しておくことが、いざというときに生きてくる。

有効な「防犯ブザー」の条件

周囲を観察し、警戒しなくてはいけないのは、エレベーターに乗る際もそうだ。

25年8月、神戸市のオートロックマンションで住人の女性が殺害される事件があった。

鍵を開けた他の住人とともに入ってくる「共連れ」で加害者はオートロックを突破し、被害者とエレベーターで2人きりになった状況で犯行に及んだ。そしてその時刻は午後7時半前と、決して遅い時間ではなかった。

オートロック=安全ではない。「共連れ」で侵入されるリスクは常にある。

子どもには「同じマンションの住人であっても、2人きりになりそうならエレベーターに乗らない」という習慣をつけさせてほしい。

大袈裟であっても、そういった警戒心を見せることそのものが、犯人のターゲットから外れることにつながる。

「外国人が組織的に子どもを狙っている」は本当か, 「匿名通報」ではないほうがいい理由, 連れ去られそうになった子どもが「助かる3つの方法」, 危険の判断基準は「人」ではなく「場所・状況」, 有効な「防犯ブザー」の条件, 「派手な服装」は交通事故だけでなく犯罪者にも効果

エレベーターなどの密室で、知らない人と2人きりにならないことは鉄則である(写真:y-fac/PIXTA)

よく「防犯ブザーは有効ですか?」という質問を受ける。もちろん答えは「有効」だ。

これから購入するという場合には、可能であれば「音量が110デシベル以上のもの」を選んでほしい。これはパトカーのサイレンと同等の音量だ。音が小さいと、周囲の雑音にかき消されてしまいかねない。

また、多くの小学生がランドセルに防犯ブザーをつけているが、正しく使えている子どもは意外と少ないのが現実だ。

必ず自宅で一度鳴らしてみて、止め方まで練習すること。いざというときに「確実に鳴らす」ことができて、万が一、間違ってしまった場合には「どうやって止めるんだっけ」と慌てないためである。

騒音が気になり、買うだけ買って練習はしたことがないという人が多い。布団を被ってやるなど工夫してみてほしい。

電池切れや水濡れによる不具合も起きやすいので、定期的な点検も忘れずにしたい。

「派手な服装」は交通事故だけでなく犯罪者にも効果

ブザーの位置も重要だ。ランドセルの底に入れていては意味がない。

「すぐに手が届く肩ひもや上部に装着しておくこと」。このように目立つ位置に防犯ブザーがついているというだけで、悪意ある人物のターゲットから外れる可能性がある。

「外国人が組織的に子どもを狙っている」は本当か, 「匿名通報」ではないほうがいい理由, 連れ去られそうになった子どもが「助かる3つの方法」, 危険の判断基準は「人」ではなく「場所・状況」, 有効な「防犯ブザー」の条件, 「派手な服装」は交通事故だけでなく犯罪者にも効果

「いつでも鳴らせる」という姿勢を見せて歩くことが重要だ(写真:kawa_xxx/PIXTA)

「明るい色の目立つ服装や、通学バッグに反射材をつけること」は、交通事故の防止だけでなく、犯人にも「目立つ=連れ去りにくい相手」という印象を与える。

周囲に気を配る姿勢もそうだ。イヤホンをしたり、スマホやゲームなどを見ながら下を向いて歩いている子と、周囲をしっかり見回しながら歩いている子では、悪意ある人物の目にはまったく違って映る。

「周りをよく見ながら歩くだけでも、狙われにくくなる」ということを、子どもに伝えてほしい。

子どもの安全を守るために必要なのは、特別な装備でも過剰な監視でもない。日常の中に防犯の視点を取り込むこと、そして子どもとの会話を続けることだ。その1つひとつが、いざというときの大きな差になる。