【特集】気候変動にどう立ち向かう?コメどころ新潟暑さへの挑戦《新潟》

5月には県内でも広く田植えが始まります。価格が注目される一方で近年大きな課題となっているのが暑さへの対応です。

おいしいコメを届けるために、“コメどころ”の責任を果たすために、行政や研究機関は対応を迫られてます。

◆最短2か月で栽培!新施設を建設

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そこは7階に位置する研究室。新潟大学の一角でコメが実りの時期を迎えているというので案内してもらいました。

〈新潟大学 農学部 山崎 将紀 教授〉

「これは栽培を始めたのが12月ですね。温度をかけてあげて大きくして栽培した結果3月に収穫できるというものになります」

新潟大学農学部の山崎将紀教授です。暑さに強い特徴を持つ品種を掛け合わせて新たに暑さに強くおいしい品種を開発するため研究を続けてきました。

インキュベーターという特殊な機械で日照時間や温度を管理することで、わずか3か月で収穫できるまでに育てられるといいます。こうした機械を使用しても、新品種の開発には本来10年以上かかります。

しかし、いま気候変動は待ったなし。2023年の夏は県内各地で猛暑に……県産コシヒカリの1等米比率は過去最低レベルの4.3%となりました。

2025年の夏も記録的な渇水となった上越市では水不足でイネが白くなるなどの被害がありました。年々厳しさを増す暑さにすぐに対応できる品種の開発にはスピードが求められます。

そこで、新潟大学は2026年度、最短2か月でイネを栽培する施設を建設する予定です。山崎教授は施設のセンター長を務めます。

〈新潟大学 農学部 山崎 将紀 教授〉

「コシヒカリは暑さに強くないのが現状なので、暑さに強い品種は作っていって、新潟県の稲作をなんとかしていきたいと考えています」

「IRICE(アイライス)」と名付けられた施設では暑さや乾燥など気候変動に強いイネの開発や温室効果ガスを減らす栽培方法などが研究されるということです。大学の敷地内に建設され、2026年度中のお披露目を目指しています。

◆北から南まで 暑さに強いコメの台頭

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いま、新潟のコメは厳しい状況に置かれています。

2026年2月に発表されたコメの食味ランキング。県内で最高ランクの特Aを獲得したのは魚沼コシヒカリのみ。過去3年、他の地域のコシヒカリは特Aを取れていません。

一方、お隣・山形県では主力品種の「つや姫」や新品種の「雪若丸」など選出された品種のほとんどが特Aに。どちらも暑さに強いコメです。

北陸地方の福井県でも県内で開発された暑さに強い品種「いちほまれ」が例年通り特Aに。

さらに、より温暖な西日本でも。九州の中でも南に位置する鹿児島県ではオリジナル品種「あきほなみ」が3年連続の特Aとなりました。

〈鹿児島の買い物客〉

「すごくおいしい。全然違うなって味とか、甘みとか、ふっくらしている感じとか」

〈JA鹿児島県経済連 農産事業部 新村 浩二 部長〉

「鹿児島県も特Aというおいしいおコメができる地域なので、県民の皆さんには“あきほなみ”を食べていただきたい」

全国各地で台頭が目立つ暑さに強いコメ。こうした流れにどう立ち向かうのか……

新潟大学は約20年かけて暑さに強い品種「新大コシヒカリ」を開発。暑さに弱いコシヒカリを突然変異させることで、暑さに強い特性を持たせました。生産者からの期待は大きい一方で、まだ研究の途上であることなどから県の奨励品種にはなっていません。

新潟県も暑さに強いコメを開発しています。2017年に本格デビューした「新之助」です。コシヒカリよりも収穫時期が遅い晩生で暑さに強い特徴があります。

しかし、一等米であることやタンパク質や水分の含有量が一定の基準を満たしていないと「新之助」と名乗れないなど、栽培にはハードルがあるのです。

◆新潟で誕生した“暑さに強いコメ”

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そうした中、県は2026年、新たな品種「なつひめ」の一般栽培に乗り出します。

「なつひめ」はこれまで「新潟135号」として県が開発してきたコメです。8月中に収穫できる極早生品種で夏の暑さに強く、食味も「こしいぶき」並みにおいしいなどの特徴があります。

県は「なつひめ」と「新之助」を対(つい)になる存在として売り出したいとしています。

〈花角知事〉

「極早生から晩生(おくて)までラインナップを順次そろえてきているので、あと中生(なかて)のコシヒカリの高温耐性化を急いでいますが早く市場に出せるようにしていきたい。いずれにせよコメと言えば新潟米と。すべての時期において強いという評価をいただきたいと思います」

◆“コメどころ”のプライド 研究者たちの挑戦

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気候変動に対応できるコメの開発を急ぐ新潟大学。

研究室で実っていたコメをよく見ると粒の半分の色が違います。粒の半分を切り、

そこに別の品種の花粉を付ける“交配”を行ったあとです。

〈新潟大学 農学部 山崎 将紀 教授〉

「これについては暑さに強いもの同士をかけ合わせようと思っていて。2026年も暑い予想が出ているので、やはり暑さ対策は不可欠だと思っています」

目指すのは県と同じ気候変動に対応したコメを開発することです。

〈新潟大学 農学部 山崎 将紀 教授〉

「新潟はコメどころで、新潟だけではなくて日本全国から期待も大きいので、新潟での技術を使って、イネを通じて、皆さんにも新潟大学含めて、新潟県って頑張っているんだと見せていければと思います」

年々、厳しさを増す気候にスピード感をもって立ち向かう。コメどころとしてのプライドを胸に研究者たちの挑戦も続きます。