まだ筋肉痛が残っている状態でも運動していいのか?

ランニングやジムでのトレーニング、スポーツなどをしてから数時間後~数日後に、激しく動かした部位が筋肉痛になることがあります。通常、筋肉痛は3日~5日ほどで完全になくなりますが、果たして筋肉痛がある時でも運動していいのかどうかについて、南オーストラリア大学で運動科学の講師を務めるハンター・ベネット氏が解説しました。

Should I exercise if I’m still sore from last time?

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そもそも筋肉痛が起きるのは、運動をすると筋肉に小さな裂傷が生じ、体がその部分を修復するために水分と栄養素を大量に供給する際に炎症が起きるからです。これは体の正常な回復過程の一部であり、結果的に筋力と筋肉量の増加を促進します。

しかし、炎症は痛みの受容体を刺激するため、運動から数日間は痛みを感じることになります。筋肉痛の程度は行う運動の種類や量によって異なり、しばらく運動していない時や新しい種類の運動をした時、または筋肉に多大な負荷をかけるウェイトトレーニングやランニングなどをした時に起こりやすくなります。一方、同じ種類の運動を頻繁に行うほど、筋肉痛を感じる可能性は低くなるとベネット氏は解説しています。

筋肉痛になるのは特に運動初心者では自然なことですが、必ずしも「筋肉痛が出たから運動に効果があった」というわけではないとのこと。筋肉痛が示しているのは、あくまで体が新しいタイプの運動や急激な負荷の増加に対応しているということだけです。

そのため、継続的に運動して徐々に頻度や負荷を増やしてきた場合、確かに体力や筋力は次第に増強されているにもかかわらず、あまり筋肉痛が出ないこともあります。たとえば、定期的にランニングをしている人は1回のランニングで筋肉痛を覚える可能性は低いものの、それでも体力は向上します。同様に定期的なウェイトトレーニングを行っている人は、普段より重いウェイトを使ってもせいぜい軽度の筋肉痛になるくらいですが、それでも筋力や筋肉量は増強しているとベネット氏は述べました。

そして、筋肉痛がその後の運動に及ぼす影響についてですが、ベネット氏は「あなたがケガを心配するか、それともパフォーマンスを心配するのかによって異なります」と主張しています。

端的に言って、筋肉痛の回復中に運動をしても害はないものの、筋肉痛がある状態だと筋力とパフォーマンスが低下するという研究結果があります。つまり、筋肉痛がある時はベストな体調の時よりも軽いウェイトしか挙げられなかったり、ランニングのペースが落ちたりする可能性があるというわけです。

いくつかの研究では、筋肉の損傷がバランス感覚に悪影響を及ぼす可能性も示唆されており、これによって転倒や足首の捻挫といったケガのリスクが高まります。さらに、筋肉痛はバスケットボールのシュート精度といったスキルのパフォーマンスにも悪影響を与えることを示唆する研究もあります。そのため、ケガを避けたかったり特定のパフォーマンス目標を達成したかったりする場合は、筋肉痛の間は運動を避けるのがベターかもしれません。

近年では「運動の間には回復のために休息日を設けた方がいい」というアドバイスもよく見られますが、これは筋力や体力の向上といった長期的な進歩にはあまり影響しないとのこと。2つのグループを対象に、同じ全身ウェイトトレーニングを「3日連続(たとえば月曜日・火曜日・水曜日)」あるいは「3日非連続(たとえば月曜日・水曜日・金曜日)」で7週間にわたって行わせた研究では、両グループで同程度の筋力と筋肉量の改善がみられました。

また、訓練を受けたサイクリストを被験者として、同じ高強度インターバルトレーニングを3日連続または3日非連続で、3週間にわたって行わせた研究でも、両グループとも有酸素運動能力とタイムトライアルのパフォーマンスにおいて同様の向上が確認されています。

ベネット氏は結論として、「筋肉痛がある状態で運動すると、動きが遅くなったり硬くなったりするかもしれませんが、体に害はなく、トレーニングの進行を妨げることもありません。ただし、怪我のリスクがやや高まる可能性があるため、激しいジャンプや着地の動作など、バランスを必要とする運動は避けた方がよいでしょう」と述べました。

また、効果は小さいもののエビデンスがある筋肉痛の回復方法としては、マッサージ水風呂などがあるとのこと。

その上でベネット氏は、激しい痛みや不快感はケガの兆候である可能性も考えられるため、自分の体の声に耳を傾ける必要があると指摘。以下の場合は医師に相談するようにアドバイスしました。

・筋肉のひどい痛みが7日以上続く。

・筋肉痛がある部位の筋肉に打撲傷のようなあざがある。

・鋭い痛みを感じる。