ユニクロやGUに「ちょっといいもの」をプラス。《75歳おしゃれYouTuber》の年齢を重ねてもファッションを楽しむ秘訣

75歳、ファッション系YouTuber。

【写真を見る】しまむらの1790円スカートを素敵に着こなすロコリさんの様子

白髪のショートカットに、縁ありの眼鏡。色鮮やかなスカーフを巻き、背筋を伸ばして街をスタスタ歩く。思わず目で追ってしまうほどの存在感を放つ彼女の名前はロコリさん。

彼女が新しい挑戦を始めたのは、年金受給後だった。

69歳でマクドナルドのアルバイトを始めて、71歳でYouTubeチャンネルを開設。しまむらやGUといったプチプラ服をおしゃれに着こなす「ロコリ流ファッション」と、飾らない生き方が人気を呼び、チャンネル登録者数は6.2万人を突破している。

年を重ねながらファッションを大いに楽しむ彼女に、ロコリ流おしゃれの極意を聞いた。

明るい色を着て、気分を上げる

ロコリさんは、少年っぽさとかわいらしさが同居したとってもチャーミングな人だ。取材場所のカフェで席をとって待っていると、グラスにふたつ盛られたアイスクリームを持って現れ「ここのアイスおいしいのよ」と笑みを浮かべた。

紺色のジャケットに合わせた首元のスカーフがクールで洗練された印象を生んでいる。スカートはしまむらで1790円(税別)で購入した合皮素材のもの。一目惚れして色違いで2枚購入し、「超高見えスカート」としてYouTubeで紹介すると多くの反響が寄せられた。

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しまむらのスカート1790円(税別)。カジュアルな雰囲気だが、合皮の素材感できちんと見える。内側はボア素材で、温かく着心地が良いのもポイントだ(写真:筆者撮影)

おしゃれの極意1:明るい色を取り入れる

首元のスカーフは、フランスの古着スカートをリメイクしたもの。唯一無二のアイテムがシンプルなプチプラファッションを特別なものにしている。黒のジャケットに色鮮やかなスカーフを合わせるのもロコリ流のおしゃれのポイントだ。

「色って何百万色もあるわけだから、暗い色ばかり着る必要もないし。やっぱり明るい色を着ると、気分を明るくさせてくれるし、お顔の表情も和らいだり、イキイキしてくる」

その語りは、静かで柔らかい。

年を重ねるにつれて無難にという思いもあり、つい暗い色を選んでしまいがちだ。でも言われてみれば、色は何百万色もあるのだ。好きな色のアイテムを見つけたら、ロコリさんのようにリメイクして取り入れてみるのもありだ。

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YouTubeではしまむらの合皮スカートをベースに、いろんな色づかいで素敵に着こなし。白髪に明るい色が映えており、見ている人の気持ちも明るくさせてくれる(画像:ロコリさん提供)

年金暮らしでもファッションを楽しみたい

ロコリさんは現在はマクドナルドのアルバイトを卒業し、年金月5万円にYouTubeの収益とエッセイの原稿料、講演料を合わせた収入で暮らしている。YouTubeの収益が良い月で12万円くらいだという。「実家だから家賃がかからないのが大きい」のだとか。

おしゃれの極意2:おしゃれはサイズ感が重要

だからファッションの基本はプチプラ。ユニクロやGU、しまむら、ZARAなどでお手頃なものを丁寧に選んで使いこなしている。

値下げ商品の置かれたセール棚は念入りにチェック。レディースだけでなくメンズやキッズも見ており、固定概念をなくして自分に合うものを探せば面白いものに出会えるのだそう。「キッズは面白いTシャツやカラフルなものもあり、価格も大人より抑え目なので見て損はないです」とロコリさん。また、メルカリやヤフオクもこまめにチェックしてお気に入りを探しており、購入回数は130〜150件だという。

すてきに着こなすコツは、サイズ感。

「シニア向けの服は体の線を拾わないように上下ともにダボっとしたものが多いですよね。若い人はビッグシルエットでもおしゃれにみえますが、シニアのぶかぶかは面積が広くなり太って見えてしまいます。ほどよく余裕のあるジャストサイズを選ぶようにしています」

パンツは、短めに履くのがロコリさんの鉄則。「パンツを長くするとね、おじさんっぽくなる気がしてね、嫌なのよ」と語る。30〜40代の頃、ファッション雑誌で見たフランスの女優が履く短めのパンツスタイルに惚れ込んで以来、短いパンツしか履かなくなった。

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裾をまくったりと、足首が少し見えるようなパンツ丈に調整。軽やかな雰囲気になる(画像:ロコリさん提供)

メガネが連れてきた髪型

洋服はプチプラコーデを楽しむロコリさんだが、「ちょっといいもの」も厳選して取り入れている。眼鏡はベルギーのtheo(テオ)で6万円ほどで購入した。ほかにも、左腕には黒のApple Watchをつけ、靴は3万~6万円のドイツのWEARING ON(ウェアリングオン)のスニーカーシリーズ「ストロバー」を履いている。

おしゃれの極意3:顔まわりにはいいものを

特に、ロコリさんには「顔周りにはいいものを」との考えがある。

「顔につけるものは安っぽいものはつけたくないし、それで個性も出来上がる。メガネは大事だと思う」

以前は、洋服を買うように、メルカリやヤフオクで好きなブランドの眼鏡を買っていたが、実際に届いたものを身につけてみると、まったく似合わなかった。その失敗から、眼鏡は必ず専門店で試着して買うことにした。デザインだけでなく、重さや付け心地も重視する。

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テオの眼鏡をかけたロコリさん(写真:筆者撮影)

このお気に入りの眼鏡が、新たな出会いを生んだ。

ロコリさんは真っ白の髪にパッツン前髪がトレードマークだ。以前は美容室でミルクティー色に髪を染めていたが、お金の事情で染めることをやめた。母親ゆずりの白髪が、今のトレードマークになった。

そこから白髪にパッツン前髪スタイルが生まれたのは偶然だった。行きつけの美容室の予約が取れず、以前から気になっていた美容室へ出かけてみた。テオの眼鏡をつけていたロコリさんに、美容師さんが言った。「そのメガネに似合う前髪にしましょう」。ハサミを入れてもらうと、鏡に映っていたのは、パッツン前髪の新しい自分だった。

「感性の合う、いいひとに巡りあったなと思います」とにっこりと笑う。ひとつの選択が、今のロコリさんスタイルを連れてきた。

おしゃれとは、自分のスタイルを持つことなのかもしれない。

膝の痛みから解放してくれた靴

また、健康への投資は大事にしている。ロコリさんが、百貨店の無金利セールやメルカリを利用して10足ほど揃えたというのが、ドイツ製のWEARING ONだ。1足3万〜6万円くらいするが、もうこれ一択なのだそう。

おしゃれの極意4:健康には投資を

若い頃から膝が弱く、立ち仕事をしながらも、膝の痛みでまともに歩けなくなることもあったというロコリさん。彼女を痛みから解放してくれたのが、友人が紹介してくれたこのドイツの健康靴だった。

予算はやや高めだが、身体の痛みは何ものにも代えられない。WEARING ONを履くようになってからは膝が痛くなることはなくなり、救世主のように感じたという。

デザインも品があり、コーディネートを格上げしてくれる。「昔は靴を買っても足に合わなくて結局履かない、ってことが結構ありました。WEARING ONにしてからは靴選びに悩まなくなりましたし、きちんとした雰囲気でコーディネートがぐっと締まる気がします」

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かかとが減ったら修理したり、ソールを取り替えたりと、メンテナンスしながら大切に愛用している(写真:筆者撮影)

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「Apple製品が大好き」と語るロコリさん。Windows7のパソコンが動かなくなって初めて手に入れたのがiPadだった。今ではYouTubeの動画編集に欠かせない。その後、念願のApple Watchも購入。マクドナルドでバイトをしていたとき、Apple Watchをつけるロコリさんを見て「僕も買いました」という男子学生がいたそうだ(写真:筆者撮影)

お金がないから感性を磨いた

ロコリさんのおしゃれの感性はどこで磨かれてきたのだろう。

「その服どこで買ったの?」と聞かれては、「これユニクロ」と答える。ロコリさんが500円で買った服に友だちが驚き、「あなたが買う服をいっしょに買っといて」と頼まれることもしばしば。昔から「見つけるのうまいよね」と言われてきた。

だが、最初から“プチプラおしゃれ”を意識していたわけではない。お金がないからプチプラばかり買っており、限られた予算で選び抜く中で磨いてきた感性がロコリ流おしゃれの原点だ。

ファッションに目覚めたのは、高校生のとき。書店で手にとったハイファッション誌の世界にあこがれを抱いた。

「VANやアイビーシスターっていうブランドがあって、そこの洋服が欲しくて、バイトして洋服を買ってた。その服を着て小倉の街に出かけてた」

ビートルズが流行るなか、アメリカのテレビドラマに出てくるザ・モンキーズにはまった。みんなと同じものではなく、自分の「好き」を選ぶ感性はこの頃からあった。音楽好きの少女は、街のディスコに通った。音楽はいつもそばにあった。

歩んできた道のりは、決して華やかなものではなかった。でも、おしゃれへのアンテナだけはずっと立っていた。

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(写真:筆者撮影)

暮らしはギリギリでも、譲れないこと

センスが詰まったYouTubeの動画は、1本作るのに撮影だけで2〜3日かかるという。コーディネートを組んで着替えて撮影し、動画で確認しては「ソックスの色が違う」とやり直す。

着たり脱いだりの繰り返しで、ぐったり疲れる日もある。編集もすべて自分ひとりでiPadで行う。

現在の収入は年金月5万円にYouTubeの収益とエッセイの原稿料、講演料。YouTubeの収益が良い月でも12万円ほど。

「時々本当にすっごい赤字になる月とかあって、また預貯金減るやんって。もう青くなりながらやってる。もうギリギリ」

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YouTube撮影がしやすいように築50年の自宅の壁を自分でDIY。壁の色は服が映えるグレーをチョイス(画像:ロコリさん提供)

笑いながらそう語る彼女だが、YouTubeの広告案件を受けたのはこれまで2度だけ。自分が使って納得したクレンジングオイルと読んで面白かった書籍だ。健康食品など様々な案件の依頼が届くが、すべて断っている。ギリギリでも、ここは譲らない。

取材の終盤、ロコリさんが私のGジャンに目を留めた。「そのジャケットかわいいね。どこで買ったの?」。ネットショップで買ったことを伝えると、「買い物上手ね」と言ってくれた。一張羅を着て行ってよかった。

YouTubeの視聴者からは、「年相応の呪縛から解かれました」「私も赤いスカート購入しちゃいました」という声が届く。1790円のスカートに一目惚れして2色買いする75歳。靴はこだわりの一択。顔周りには5万円の眼鏡。その自由さが、見るひとの背中を押している。

YouTuberロコリはどのようにして生まれたのだろう。後編では、彼女の歩みをたどる。