北欧の家が居心地いい理由。LED電球の選び方が鍵でした
料理家としてだけでなく、インテリアデザイナーとしても活躍している行正り香さん。東京国立博物館のアンバサダーとして、館内のカフェ・レストランのインテリアをサポート。数々のリノベーションも手掛けています。また、北欧渡航歴30年以上、デンマーク親善大使に選ばれたりするなど北欧との縁が深い方としても知られています。
そんな行正さんが改めて、日本の私たちが北欧のインテリアに惹かれる理由は何なのかを伝えたいと、新刊『照明と家具からはじめる 北欧インテリア』を上梓しました。今回は、本書から「LED電球の選び方」についてのページをご紹介します。

北欧の家が居心地いい理由。【LED電球の選び方】が鍵でした
白いLED電球のままはもったいない。北欧の家に学ぶ“やさしい照明術”
「停電しているのかな?」冬のコペンハーゲンに仕事で訪れたとき、不思議に思いました。ホテルのフロントにもカフェのテーブルにもキャンドルが灯され、どこを見回しても照明が頼りないのです。懐中電灯でも持っていないと誰が誰だかわからない。初対面の相手の顔なんて、想像で話しかけるしかないくらいです。でも、誰も困っていません。それどころか、みんなリラックスしています。
不安な気持ちでロビーで待っていると、現地のCM制作プロデューサー、マーチンが登場。とびきりの笑顔で「太陽のないデンマークへようこそ」と笑いかけてきたのです。この状況は停電なのかと聞いてみると、なんでも「これが普通」と。会社でもレストランでもキャンドルを灯し、暗さの中で長い冬と共存しているのだそうです。
当時の私はといえば、広告代理店で朝から晩まで働いて、蛍光灯の下で資料を仕上げる毎日。明るければ明るいほど効率が上がると信じて疑わなかったのです。だから、「暗さの中でキャンドルを楽しむ」という考え方はカルチャーショック。というより、私の人生をまるごとひっくり返す衝撃の体験でした。
北欧ならではの“美しい暗さ”を知ると、家の光を「ぬくもりのある、やさしい黄色にしたいな」と感じる方も多いはずです。でも、これまではそれが簡単ではありませんでした。その理由のひとつが、LEDです。
LEDは省エネ効果にはすぐれていますが、以前は調光で暗くしても白っぽい光が残り、くつろぎの雰囲気をつくるのが難しかったのです。ところが最近のフィラメントLED電球の登場で、状況は変わりました。白熱電球に近いあたたかみのある光をLEDでも再現できるようになったのです。
家の空間を心地よくしたいと思ったら、電球を替えることから始めてみてはいかがでしょうか。まず確認するのは、照明器具の口金サイズ。多くのご家庭は E26 か E17 が一般的です。次にネットで「リモコン付きフィラメントLED電球・60W相当」と検索してみましょう。リモコン付きなら電気工事は不要。届いたその日から、20~60Wの光を自分で調節できます。
光の色には「色温度(単位はケルビン:K) 」という目安があります。キャンドルは 1800K、白熱電球は 2700K、学校やオフィスでよく使われる蛍光灯は 3000~5000K ほど。リモコンがあれば、昼間は5000Kの白い光、夜は2200Kのやさしい黄色へと、簡単に切り替えられます。
ヒュッゲな空間づくりの第一歩はシンプルです。まずは白い色の光をぬくもりのある色の光に変えること。電球を替えるだけで部屋の空気は驚くほど変わります。
「夜には、夜の光」を。そんな意識であなたの家の照明を見直してみてください。
*新刊『家具と照明からはじめる 北欧インテリア』では、部屋ごと(リビング、ダイニング、トイレほか)の照明術、ペンダントライトを吊るす「正しい位置」などもご紹介しています。
行正り香
ゆきまさりか/料理家、インテリアデザイナー。福岡県出身。UCバークレー卒業。デンマーク親善大使に選ばれるなど、北欧のインテリアに造詣が深く、インテリアコーディネーターやリフォームプランナーとして多数の家作りに携わる。30冊を超える料理本のほか、家作りに関する著書『行正り香のインテリア』『行正り香の家作り』もロングセラーとなっている。探求学習・英語スピーキング学習教材「なるほど! エージェント」の開発も手掛ける。2023年、東京国立博物館のアンバサダーに就任。館内のレストラン・カフェの照明ディレクションもサポート。
文/行正り香
撮影/富野かりん
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