20代の投資率が激増の一方で高齢者は株を手放していた…データで判明した「日本人のお金のリアル」
老いも若きも「投資家」の令和ニッポン
私たちの購買を支える「お金」は今どんな姿になってきているのでしょうか。ここでは、金融行動・意識に関する自主企画調査である「インテージ 金融行動調査MAT-kit」をもとに、この10年間でお金のあり方がどのように変化してきたかを見ていきます。全国の18歳以上・男女個人・70万人以上を対象としたインターネット調査で、例年5〜6月に実施。ここで紹介するデータは、日本全体の人口構成と齟齬のないように性・年代・居住県を軸に、ウエイトバック(重みづけ)集計を施しています。
【画像でわかる】年代別の投資率を調査した結果
2024年1月にスタートした「新NISA(少額投資非課税制度)」は国民の投資を強力にサポートする制度として大きな話題になりました。これに象徴されるように、官民を挙げて「貯蓄から投資へ」というスローガンの下に生活者のお金のあり方が変わってきたのがこの10年と言えるでしょう。アンケートでの保有金融資産の回答をもとに、10年前と最新の「投資」率を比較したのが図1です。この10年で投資に取り組む人は29.3%から38.6%と9ポイント増えていますが、注目したいのはその年代構成です。

(画像:『なぜ日本人は、それを選ぶのか?』)
10年前は年代と投資率は見事に比例しており、いわば人生経験を重ねるとともに取り組んでいくものでした。ところが、この10年で若年層がその比率を大きく伸ばす一方で、60代ではほとんど増えず、70代以上に至っては7ポイントも減少しています。
この結果、今では(若干の高低はあるものの)どの年代もほぼ同様に投資に取り組む、いわば「全世代総投資時代」といってよい状況になっています。なお、ここでの「投資」とは「株式、債券、投資信託、外貨預金、ラップ口座、NISA、iDeCo、その他投資性商品のいずれかを保有していること」と定義しています。
投資熱を持つ若者たち、後景に退くシニア
投資率を一気に高めた20代ですが、どんな金融商品が受け入れられたのでしょうか。図2を見ると、投資率の伸びがNISAの伸びと軌を一にして17年以降伸び続けていることがわかります。

(画像:『なぜ日本人は、それを選ぶのか?』)
「投資のすそ野の拡大」というと、冒頭で触れたように24年1月の新NISAがきっかけになったと思いがちですが、実はそのはるか前から若年層の投資熱は着実に伸びてきていたのです。特に大きな伸びを記録したのは20年→21年となっています。今では記憶も薄れつつあるかもしれませんが、これはコロナ禍を機に「巣ごもり消費」「巣ごもり投資」が話題になったタイミングです(図3参照)。

(画像:『なぜ日本人は、それを選ぶのか?』)
生活・消費にさまざまな変化をもたらしたコロナ禍ですが、投資にも同様のことが言えそうです(このことはもう少し後でもまた触れます)。なお、NISA・iDeCoは投資支援優遇制度のことであり、厳密には個別の金融商品ではなく、その「枠」内で個々の金融商品を運用する仕組みですが、ここではいったん同列に扱っていきます。
ただ、先の図1で見たように、この投資熱の高まりは年代による差が大きく、60代以上では横ばいないし若干の低下傾向にあります。この傾向は、特に株式投資で顕著に見られました。各年代ごとの株式保有率を表したのが図4です。

(画像:『なぜ日本人は、それを選ぶのか?』)
20〜40代では右肩上がり、50代はほぼ水平、60代以上では右肩下がりになっていることがはっきりわかると思います。一般的には、高齢者イコール「持てる者」で、株式投資も盛んな属性というイメージですが、その直感的なイメージとは異なる結果です。これは、一つには(減少傾向にあるとはいえ)やはり今でも年齢が高い方が保有率は高いということ、もう一つはこれが「投資金額」ではなく人をベースにした「保有率」であることに注意する必要があります。
マス層でも半数近くが投資に取り組む
また図5は、投資率を資産階層別に見たものですが、まずはマス層とそれ以上を境に投資率が大きく異なることがわかります。
アッパーマス層以上(金融資産3000万円以上)では約8〜9割が投資をしており、ごく当たり前の行為となっています。
一方、世の多数派=マス層で投資に取り組む人は、10年前は3分の1強(33.4%)でしたが、現在では半数弱(45.4%)の人が取り組むようになっています。若年層だけでなく資産階層から見ても、この10年間で投資が大きくすそ野を広げてきたことがわかります。

(画像:『なぜ日本人は、それを選ぶのか?』)