新大久保で大行列の「ドバイもちクッキー」って何? 一過性のバズを超えて拡大する「ドバイチョコ」第2次ブームの全貌

「即完売」「行列必至」──。そんなニュースとともに2024年末ごろから日本でトレンドになったドバイチョコ。ちまたでは一過性のバズで終わるのではないかとみる向きもあったが、結論からいえばそうではなかった。いま、第2次ドバイチョコブームともいえる状況が拡大しているのだ。

【写真あり】餅なのか、クッキーなのか? 「ドバイもちクッキー」の断面はどうなってる? 第2次ブームを写真で徹底解剖

26年春、日本で「ドバイもちクッキー」をはじめとするユニークな展開が進行中。ドバイチョコはよりカジュアルに進化し、姿を変えて存在している。

まず、ドバイチョコとは何かを整理しておきたい。ドバイチョコはドバイで生まれた板チョコレートで、ピスタチオクリームとカダイフ(中東の極細麺)を組み合わせた、ザクザクとした食感が特徴。視覚・聴覚・味覚を刺激する「体験型」のチョコとして、SNSをきっかけに世界的にブレークした。

日本では24年末ごろからトレンドとなり、まずは元祖に近い「高価な板チョコ」として受け入れられた。さまざまなメーカーがドバイチョコを作ったが、25年春にはリンツが日本で「ドバイスタイルチョコレート」を発売。高価格帯にもかかわらず、短期間で完売して話題となった。

ドリンクとアイスで広がった裾野

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ゴディバカフェで25年6月20日~8月26日に販売された「ドバイチョコレート パフェ」(現在は終売)(写真:筆者撮影)

続いて、ドバイチョコはドリンクやアイスなどに発展。25年6月には、ゴディバがドバイチョコレートにインスパイアされた「ドバイチョコレート パフェ」「ドバイチョコレート ショコリキサー」を発売した。

同年9月には、リンツが「ドバイスタイルチョコレートドリンク」の販売を始めた。ドリンクやパンに仕立てることで、ドバイチョコ特有のザクザク食感や濃厚さをカジュアルに楽しめるようになり、いずれもヒット商品となった。

25年夏には、思いがけない場所にも登場していた。私は回転寿司チェーンのくら寿司でドバイチョコのケーキを味わったことがある。

同年12月〜26年1月にはセブン-イレブン限定で、ドバイチョコテイストのアイスクリームが販売された。コンビニという身近なチャネルに乗ったことで、「気になっていたけれど未体験」だった層が動いた。ほかにもドバイチョコは多くの業態に取り込まれ、商品化された。

新大久保で沸騰する「ドバイもちクッキー」現象

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新大久保で買ったさまざまな「ドバイもちクッキー」(写真:筆者撮影)

そして今、最新動向として注目されるのが「ドバイもちクッキー」だ。韓国発のトレンドで、東京・新大久保を中心に爆発的な人気となっている。

街を歩けば「ドバイもちクッキー」「DUBAI MOCHI COOKIE」といった看板があちこちで目につく。まるで「街の名物がドバイもちクッキーなのか!」と感じるほどの、お祭り的光景が広がっている。

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新大久保では「ドバイもちクッキー」「DUBAI MOCHI COOKIE」といった看板があちこちで目に入る(写真:筆者撮影)

ドバイもちクッキーはもともと韓国で流行した菓子で、新大久保という韓国カルチャーの入り口から火がついた。人気店では週末に行列ができ、「ソールドアウト」の看板も。きな粉や紫芋といった日本風のフレーバーもある。

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生のイチゴが丸ごと1粒入りタイプ(写真:筆者撮影)

個人的には、中に生のイチゴが入った、イチゴ大福風タイプが気に入った。ころんと丸くて餅っぽく、店先でスマートフォン片手に頬張る女性たちの姿は、どこか和菓子を楽しんでいるようにも見える。

「クッキーなのに餅なのか?」と思うかもしれないが、実際は「もちっとしたクッキー」だ。

韓国発の「チョンドゥク(ジョンドク)クッキー」(チョンドゥク=もちもち食感)がルーツで、そこにドバイチョコの要素をかけ合わせた。つまり「餅」ではなく、「もちっ」とした食感があり、多くは薄いマシュマロで包まれている。

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ドバイもちクッキーの断面。ココアパウダーがまぶされている(写真:筆者撮影)

見た目はおまんじゅうのようでも、ザクザクともちもちの食感が重なり、日本人の私には未知の食べ物に出会った感がある。

新大久保からブームがじわり拡大

ドバイチョコ第2次ブームの奔流は新大久保だけにとどまらない。

ナチュラルローソンでも「ドバイスタイルもちもちクッキー チョコ」の販売が始まった。4月12日付の公式インスタグラムには「韓国で話題のお菓子が登場」と投稿されている。先日は、プラチナ ドン・キホーテ白金台店の店頭でも発見。流通の広がりが見られる。

大ヒットしているパンもある。TruffleBAKERY(トリュフベーカリー)の「ドバイチョコデニッシュ」は、店頭に並ぶやいなや、すぐ売り切れるほどの人気ぶりだ。

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TruffleBAKERYの「ドバイチョコデニッシュ」(税別498円)。パリっとしたクロワッサン生地がザクザク感を引き立て、温めるとバター風味が広がる(写真:筆者撮影)

「25年夏から一部店舗で販売していましたが人気が高まり、今年2月から全店で販売しています。焼き上がりは1日数回ですが、すぐに完売してしまうため、購入はお1人1点に制限させていただいている状況です」(トリュフベーカリー広報の茂木玖美さん)

本場ドバイで現地取材してきた私からすると、日本で起きているこれらの現象は面白い。元祖とはかけ離れた姿で広がっているからだ。

もともとドバイチョコは、チョコレートやピスタチオといった高価な素材を使った板チョコで、魅力的な商品ではあるものの、輸入品が多く、価格も高め。日常的に楽しむにはややハードルが高かった。

それが、今では「ドバイもちクッキー」なら500円前後が中心で、ワンコイン感覚で手に入る。形を変えることでボリューム感を保ち、より多くの人に届く存在へと変化した。このような「手に取りやすさ」が第2次ブームを支えているのだろう。

ピスタチオとチョコの風味、ザクザクとした食感、見た目の楽しさといったドバイチョコのエッセンスを抽出し、パンやドリンク、菓子へと転用することで、コストを抑えながら体験価値も維持している。原材料費が高騰する中、共通要素を生かして展開しやすい点は、提供する側にとってもメリットだ。

SNSと動画が後押しする拡散力

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抹茶味のドバイもちクッキーも人気だという(写真:筆者撮影)

SNS上では「ドバイもちクッキー」関連の投稿が増え、拡散が加速している。YouTubeでもショート動画や実食コンテンツが再生数を伸ばし、「一度食べてみたい」というライト層の関心を押し上げている。私自身も面白さにひかれ、やはり写真や動画を撮ってしまった。

日本におけるドバイチョコの流れを整理すると、第1段階は「体験型の高級チョコとしての受容」、第2段階は「カジュアル化によるドリンク・アイス・パンへの拡張」と「韓国発スイーツとの融合」といえるだろう。

味のみならず、食感や体験をも内包した「ドバイチョコ」というフォーマットは、インパクトがあり、五感を刺激する大きなポテンシャルがある。今後もドバイチョコはフォーマット化して、思いがけない新ジャンルと結びつく可能性がある。予想外の広がりがこの現象の面白さだ。