中学生昆虫博士が埼玉県の荒川河川敷で採集したキバネツノトンボの採集記を語る
「講談社の動く図鑑MOVE」の中学生研究員しんごがレポート! 生きもの好きの命であるフィールドワークで季節の生きものを観察。第7回は、荒川河川敷でキバネツノトンボの採取へ。子どもの好奇心を育む自然観察のヒントが満載!

昆虫から化石まで! 研究者顔負けの観察眼を持つ中学生がレポート!
工藤真悟……「講談社の動く図鑑MOVE」の中学生研究員、工藤真悟(くどうしんご)です。昆虫や化石、鉱物など、生きものと自然が大好きなボクにとって、「フィールドワーク」は命! 今回は、レッドリストに指定されている珍種の美麗種「キバネツノトンボ」の採取を目的に、埼玉県の荒川河川敷へ。
昆虫採集は、事前のリサーチや工夫が成功を左右します。「キバネツノトンボ」が生息できる河川敷の環境や、雄雌の違い、面白い生態を記録した実体験のレポートをお届けします。
第1回(ハラグロオオテントウ)、第2回(ギフチョウ)、第3回(マルタンヤンマ)、第4回(ミヤマカラスアゲハ)、第5回(昆虫集団越冬)、第6回(大型の蛾)に続き、MOVEラボ研究員助手しんごがレポートしています。
▼こちらからチェック!
https://cocreco.kodansha.co.jp/tags/ボクの、観察・研究日記
「キバネツノトンボ」を見つけに荒川河川敷へ
4月27日、僕は埼玉県の荒川河川敷にキバネツノトンボを見に行きました。キバネツノトンボは翅が黒と黄色の2色でとてもカラフルな虫です。

ツノトンボ科にはほかにもオオツノトンボ、ツノトンボなどが属し、その中でも屈指の美麗種です。また、16の都道府県でレッドリストに指定されている珍種でもあります。キバネツノトンボは、メリケンカルカヤなどの春に立ち枯れた状態の草に産卵するので、草が豊富に生えていないと生息できません。しかし、河川改修が入るとメリケンカルカヤがなくなり繁殖できなくなります。また、森と河川敷を往復するという生態を持っているため、河川敷の隣に森があるという環境が必要で、そのような環境が減っていることもレッドリストに入った理由だと考えられます。山の中にある小さな草原でもキバネツノトンボが発生することがあるそうですが、僕は見たことがないです。
そんなキバネツノトンボはなんとトンボの仲間ではありません。では何の仲間かというとウスバカゲロウ(アリジゴクの成虫)の仲間なのです。幼虫はヤゴではなく蟻地獄のような見た目をしているというのですが……僕はまだ見たことがありません。
観察記
4月27日 埼玉県荒川河川敷 最高気温25度 晴れ
この日は良く晴れていて、長袖では暑いくらい暖かかったです。当日、10時くらいに本命の河川敷につきました。すると、早速キバネツノトンボが飛んできました。案外飛ぶのが早かったですが、無事にネットイン。腹部の端に輪っかがあるのが雄です。採集した個体は雄でした。キバネツノトンボは雄が雌をその輪っかで捕まえて交尾するという面白い生態を持っています。しかし交尾は見られませんでした。

12時くらいから本格的に個体数が増え始め、雌も出てきました。雄の数に対して雌が異様に少ないので採集に苦労しましたが、雄に比べて大きく飛んでいても見分けられるので1匹来たら捕まえられると思います。

また、朝のうちは摂食している個体が多かったのでそれを観察するのも面白いです。トンボのように空中で飛んでいる蚊のような小さい虫を捕食しています。
雌より先に雄が発生するらしく、僕が行ったときは雄の発生ピークだったようなので産卵や交尾を見るにはもう少し遅い時期のほうがよいかもしれません。2026年は多くの虫の発生が早いようなので例年よりも早めに行っても多くのキバネツノトンボが羽化していると思います。
時期が合えば大量のキバネツノトンボが飛んでいるのでものすごく楽しいと思います! また、キバネツノトンボがいるような河川敷はかなり環境が良く、生息地が限られているギンイチモンジセセリや多くのハムシ、ナガタマムシ、オトシブミなども観られるので採りに行くとキバネツノトンボがいなくてもかなり面白いと思います。
採集結果
キバネツノトンボ ♂2♀1
ギンイチモンジセセリ ♂1♀1
アオバアリガタハネカクシ
クロホシツツハムシ
ヤツボシハムシ
ムネアカナガタマムシ
ダンダラチビタマムシ
ナミガタチビタマムシ
ヤツボシツツハムシ
オトシブミ
ムシクソハムシ
など小さい甲虫たくさん

雄

雌
写真・文/工藤真悟