【解説】トランプ大統領“交渉カード”なく会談に?中国側、台湾めぐり「適切な対応」迫る

およそ9年ぶりに中国を訪れているアメリカのトランプ大統領は、習近平国家主席と首脳会談を行いました。今回の米中首脳会談から両国の狙いなどについて、見えてきたことはあるでしょうか。アメリカ側、中国側それぞれの立場から解説します。

まず、アメリカ側を取材している山崎大輔・NNNワシントン支局長に聞きます。

■「台湾について話したか」質問にトランプ氏答えず

会談終了後、中国側は会談の内容を発表したのですが、これまでのところアメリカ側から内容についての発表は一切ありません。

今回、中国側は会談の最中にもかかわらず、習主席が台湾問題の対応を誤れば衝突に発展する可能性があると、圧力をかけたことを中国メディアを通じて発表しました。アメリカメディアは「会談が終わる前に発表された台湾に関する発言は、友好ムードに水を差すものだった」と指摘しています。

会談後、トランプ大統領は習主席と世界遺産の天壇公園を訪問した際に記者団から「台湾について話をしたか」と質問されたものの答えませんでした。

中国側とアメリカ側、対照的な対応となっています。

■日米外交筋「唯一の不安材料はトランプ大統領」

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――対応の違いについてどのようなことが考えられるのでしょうか

トランプ大統領の方が弱い立場であることのあらわれと言えます。

トランプ大統領としては、11月の中間選挙に向けて中国との貿易やビジネスを拡大して、経済面での成果を国内向けにアピールするのが今回の会談の最大の目的です。イラン情勢を落ち着かせることができないまま中国を訪問したのも、それだけ追い詰められていると言えます。

いわば中国に足元をみられる状況で会談に臨んだと言えます。

交渉カードを持たないトランプ大統領が、アメリカ産の農産物や製品を買ってもらう代わりに台湾問題で譲歩をすることが懸念されています。

アメリカ政府高官は「アメリカの台湾政策を変更する ことはない」と話しています。しかし、日米外交筋は「トランプ政権の事務方は台湾問題で譲歩してはいけないことを分かっているので心配ない。唯一の不安材料はトランプ大統領だ」と指摘しています。

台湾問題でトランプ大統領がどのような発言をしたのか。今のところ、明らかになっていません。

■“異例”友好ムード 習氏の権威高めたい狙い

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中国側について、柳沢高志・NNN中国総局長に聞きます。

――会談から、中国側のどのような思惑が見えてきましたか?

強く印象に残ったのは、中国側の異例とも言える友好ムードの演出です。

習近平主席が笑顔でトランプ大統領を迎えた歓迎式典は、中国国営テレビなどで大々的に生中継され、習主席が身ぶり手ぶりを交えて何かを説明する姿をあえて数分間、映し出すなど、両首脳の親密さを強調していました。

こうした演出の背景にあるのが、国内向けのアピールです。中国では来年の秋に5年に1度の共産党大会を控えていて、ここで習主席が4期目に入ることを目指しています。

両首脳の緊密さを見せることで、中国がアメリカと並び立つ超大国になったとして、習主席の権威を高めたい狙いがあります。

■“台湾について譲歩得られるなら安いもの”

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――会談では、台湾問題について、進展はあったのでしょうか?

中国側の発表によりますと、習主席は、かなり強い言葉で、台湾問題について「適切な対応をするように」とトランプ大統領に迫りました。

ある中国共産党の関係者は、「中国にとってのビッグディールは台湾だ。台湾問題でトランプ大統領から中国寄りの発言を引き出したい」と話していました。

中国としては、今回の会談では、トランプ大統領が中間選挙に向けて成果を出すことを焦っていて、中国の方が優位な立場にいるとみています。

そのため、アメリカが売り込みたい大豆も飛行機もいくらでも買っても良い、それで台湾について譲歩が得られるのであれば安いものだということで、強気の姿勢で会談に臨んでいるとみられます。

15日も、中国側が台湾問題について持ち出す可能性はありそうです。