保護猫に人生を注ぐ“活動家”がなぜ炎上したのか…再びカメラを向けた取材Dが語る革ジャン阪田の本質「付き合えば分かる優しさ」

●「猫の命を軽視している」という批判の矢面に

フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で10日に放送された「はぐれ者とはぐれ猫2 前編 ~命を救う革命の行方~」。革ジャン姿で傷ついた猫を救う“活動家”阪田泰志さん(41)と、そのもとに集まる“はぐれ者”の仲間たちを追った作品で、17日には「後編 ~革ジャン阪田の結婚~」が放送される。

飼育崩壊現場から20匹の犬猫を…ぶつかり合う命を救う思いと保護活動の現実、そして「革ジャン阪田の結婚」

名古屋で「花の木シェルター」を運営して保護猫活動に人生を注ぎ込み、多額の借金や赤字を抱えながら、約1万8000頭の野良猫に不妊去勢手術を施す「ねこ革命」を掲げる阪田さん。約6年前に放送された前作から、川井竜一ディレクターはなぜ今、再び彼を追うことになったのか――。

猫を抱く阪田泰志さん (C)フジテレビ

猫を抱く阪田泰志さん (C)フジテレビ

猫を救うことに異様なまでの情熱

川井Dが阪田さんと出会ったのは、10年前に別の取材で動物愛護センターを訪れた際のこと。当時から革ジャン姿だった阪田さんに“ロックミュージシャンっぽさ”を感じたが、その強面(こわもて)な見た目とは裏腹に、猫を救うことに異様なまでの情熱を注ぎ込み、“世の中を変えたい”という思いを真っすぐ口にする姿に引き込まれ、「この人の思いを伝えられたら」と取材を始めた。

当時の阪田さんはシェルター運営が慢性的な赤字で、「金銭的にかなり厳しい状況だった」というが、前回の『ザ・ノンフィクション』放送後には寄付や支援物資が集まるようになり、「なんとか首の皮一枚つながった感じでした」と危機を回避。番組が活動継続の一助になったが、阪田さん本人は決して“メディア向き”なタイプではなかった。

ぶっきらぼうで、何を考えているのか分かりづらく、初対面では距離感もつかみにくい。それでも川井Dは「かなり日数を取って、徐々に心を開いてくれました」と粘り強く向き合った。その背景には、「僕もちょっと“はぐれ者感”がある人間なので」と、阪田さんの不器用さへの共感もあったようだ。

(C)フジテレビ

(C)フジテレビ

阪田さんと問題を抱えながら生きる人たちの“群像劇”

今回、6年を経て続編を制作することになったきっかけは、「ねこホーダイ」をめぐる炎上騒動。月額380円で高齢者や単身者がシェルターの猫を譲り受けることができるというサービスで、「猫の命を軽視している」と批判が殺到した。

阪田さんはシェルターとして提携していただけだったが、メディアに露出していたこともあり、批判の矢面に立つことに。そんな状況に、川井Dは「どうしてそんなことが起こったのか」「なぜ阪田さんが炎上するのか」と、騒動を表面的に捉えるのではなく、改めてその人物像に迫ろうと再びカメラを向けた。

それだけに、今回の続編では、前作以上に“人間ドラマ”を意識。保護猫活動そのものを軸に描いた前作と比較して、阪田さんの周囲に集まる人々にも大きく焦点を当て、「阪田さんを“一本の幹”として、その周囲で揺らぎ、悩み、問題を抱えながら生きる人たちの“群像劇”」として描いた。

阪田さんのもとには、社会の中で居場所を見つけづらかった人や、不器用にしか生きられない人たちが集まってくる。そんな人たちがたとえ問題を起こしても、切り捨てることはしない。「最終的には、食い扶持まで考えているんです」といい、猫を助ける理想だけではなく、仲間たちが生活できる環境をどう作るかまで追求しているのだ。

そうした姿を見続けてきた川井Dは、阪田さんの本質を「優しい人」と表現。ただ、その優しさは分かりやすいものではない。「ベタベタしたりしないし、来る者拒まず去る者追わず」と独特の距離感だが、阪田さんの取材を始めた頃に比べてスタッフや協力者が増えているのは、「付き合えば分かる優しさがある」ことの証左となっている。

●年月を経て丸くなっても変わらぬ根本

(C)フジテレビ

(C)フジテレビ

前作から現在までの間で、阪田さん自身に変化があったといい、「丸くなった部分はありますね」と断言。以前はもっと“戦っている”印象が強かったが、今は健康にも気を使うようになり、「周りとケンカしてばかりでもいけない」という意識が芽生えているという。そこには、かけがえのないパートナーを得たことも影響しているようで、後編では結婚を考える恋人との関係性も描かれる。

ただ、それでも根本は変わらない。「ねこ革命」の認知拡大に向けた講演でも、相手によって話し方を変えることはなく、一本筋の通った姿を見せている。

「番組を見てないと思います(笑)」

前作の放送に対する阪田さんの感想も気になるが、川井Dによると「番組を見てないと思います(笑)」とのこと。恥ずかしがりな性格ゆえだが、それは『ザ・ノンフィクション』以外の出演番組も同様だそうだ。

約1万8000頭の野良猫に不妊去勢手術を施すという「ねこ革命」には、6億円以上の費用が必要とされる。理想論だと笑う人もいるが、それでも前に進み続ける阪田さんを、「今後も人生を見続けたい」と語る川井D。

炎上しても、借金を抱えても、問題を抱えた人たちが集まってきても、それでも猫を救おうとする阪田さん。彼を追い続ける理由について、川井Dは「やっぱり魅力的な人なんですよね」と静かに言葉を重ねた。

阪田さんと婚約者 (C)フジテレビ

阪田さんと婚約者 (C)フジテレビ

2時間遅刻出勤の新人、コミュニケーションが苦手な青年…保護猫シェルターの“はぐれ者”たちに視線集中

「この子を放って撮影は続けられない」石田ゆり子の“本物の動物愛”を映し出すトルコ旅 山田あかねDが明かす舞台裏

松本穂香、猫保護活動家の姿から思い新た「“人間が飼ってあげている”感覚自体が違う」

「ドキュメンタリーの時代が来たんじゃないか」『ザ・ノンフィクション』チーフPが手応え 番組30周年で橋田賞