周りと差がつく、ゴルフ「きれいめ」回帰を深読み

ゴルフウェアのトレンドに変化が見られるという(写真:ユナイテッドアローズ ゴルフ)
ゴルフは古くから紳士のスポーツと言われてきました。審判がおらずスコアも自己申告性で、マナーやルールに厳格。貴族の社交場として重用されてきた背景も、少なからず影響しているのでしょう。
【写真を見る】2025年春夏ゴルフウェアのトレンドを一気に見る。きれいめ回帰やブルー、ベージュなどの流行色、デザインにも傾向が。女性のトレンドは…
ただ、ここ数年の間に状況は目まぐるしく変化を遂げています。自由な働き方が推奨されるに従い“仕事着”も多様化しているビジネスシーンのように、マナーやルールが緩和されたことでゴルフウェアも着こなしの幅は過去に例のないほど広がっているのです。
ゴルフウェアの自由化は、プレーする年齢層の幅を広げることにも貢献し、着こなしを楽しむこれまでにない価値観も生み出しました。ゆえに、スコアと併せて気にかけてほしいところなのですが、そのトレンドにも変化が見られます。
徐々に大きくなってきた“クラシック回帰”の声
実際のところ、ゴルフウェアのファッション化はファン増を生むきっかけになりました。コースと街の境界線は徐々に薄れつつあり、今となってはアメカジ、モード、ストリートといった多様なテイストがゴルフウェアに反映されるようになっています。
ただ、そのカウンターとも言うべき流れが、今年から徐々に表面化してくるかもしれません。テーラーメイド アジア アパレル シニアマネージャーの加藤賢さんはこう言います。

ベーシックショートスリーブモック ¥8,800、ジップドスリットパンツ ¥14,300、ラインドバケットハット¥4,950、メッシュベルト ¥7,150/すべてテーラーメイドアパレル(写真:テーラーメイド ゴルフ)
「これまではストリート感のあるアイテム群が、ゴルフウェアのレパートリーに効果的な選択肢を生んできました。ただ、徐々に洗練されたきれいめなカジュアルに目が向き始めているように思います」
パーリーゲイツのPR担当、加来美佐生さんはファッションシーンの流れも汲みながら、クラシックへの回帰が進むのではと読みます。

左:ボーダーポロ ¥25,300、チノパン ¥30,800/ともにパーリーゲイツ、右:ボーダーポロ ¥24,200、スカート ¥24,200/ともにパーリーゲイツ(写真:TSI)
「ストリートテイストは収束傾向にあり、改めてトラッドが主流になると思います。ノームコアやクワイエットラグジュアリーというトレンド要素から普遍的なアイテムに視線が集まる今、トラッドをベースとしたチノパンやボーダーアイテムに注目しています」
現に、シューズでは過去へのオマージュともとれるモデルが登場しています。今季よりデビューするオリジナルスゴルフのPR、田中温子さんもクラシック回帰の流れを感じている1人です。

左:ブルゾン ¥22,000、チノパン ¥16,500/すべてオリジナルスゴルフ、右:プルオーバー ¥19,800、ポロシャツ ¥13,200/ともにアディダスゴルフ(写真:アディダスゴルフ)
「ゴルフシューズは、少しずつクラシカルなシルエットのものがトレンドになってきています。アパレルもこの流れにのり、レトロなスタイルへシフトしていくのではないでしょうか。それを裏付けるかのように、キルティング柄やアーガイル柄といった伝統的なデザインを反映したアイテムも目にするようになってきています」
色は「多彩なブルー」と「上品なベージュ系」が中心
着こなしを考えるうえでカラーも重要な要素です。ひと昔前のゴルフウェアは、基本的に鮮やかで華やかな色が一般的でした。そんな固定観念も徐々に薄れつつあり、モノトーンスタイルを軸とする新進気鋭のブランドも誕生しています。

カラートリム パフォーマンス ポロシャツ ¥23,100、ストレッチ ジャージー プルオーバー ¥26,400/アール エル エックス ゴルフ(写真:ラルフローレン ジャパン)
とはいえ、開放感が魅力の1つでもあるゴルフですから、春夏ともなればやはりカラフルな色が注目されるのは昔も今も変わりません。そこで昨今、トレンドを牽引してきたのがくすみのあるスモーキーカラーです。
それにより、品性をわきまえつつ色味を取り入れる提案がなされました。昨年はグリーンがその中心を担っていましたが、今年はちょっとした変化がありそうです。ビームスゴルフのディレクター、伊藤雅人さんは多彩なブルーを1つの候補に挙げます。

左:麻混ニットポロシャツ ¥24,200/ビームス ゴルフ(写真:ビームス)、右:スフィダンテ ギンガムチェックシャツ ¥20,900/ビームス ゴルフ(写真:ビームス)
「ビームスらしいユニークさと、夏のゴルフ場でテンションが上がる配色のウェアを今季は展開します。例えば、モノトーンベースの着こなしにティファニーブルーやライトブルー、ターコイズブルーを差し込むといった具合でしょうか」
ユナイテッドアローズ ゴルフのPRを担当する辻典秀さんも、ブルーを取り入れた着こなしに目を向けます。

ハーフジッププルオーバーシャツ ¥16,500、ショーツ¥18,700/ともにユナイテッドアローズ ゴルフ、キャップ ¥8,800、シューズ ¥29,700/ともにコールハーン×ユナイテッドアローズ(写真:ユナイテッドアローズ ゴルフ)
「今季はさまざまなグレーの色味に着目し、それをベースにくすんだブルーなどをアクセントカラーとしたスタイルを提案します。さり気なく変化を加えただけでも印象はだいぶ変わると思いますね」
もう1つ、カラーで注目されるのがベージュです。

左:ニットベスト ¥26,400円、ポロシャツ ¥25,300円、ショーツ ¥24,200円/すべてジェイ リンドバーグ(写真:グリップインターナショナル)、右:チノパン ¥30,800/パーリーゲイツ(写真:TSI)
ジェイ リンドバーグのPR、石田侑林さんは「グリーンは昨年までの定番から少し落ち着き、ベージュが台頭してくるかもしれません」と話し、加来さん(パーリーゲイツ)は「春夏らしいネイビーやホワイトもいいですが、チノパンなどに見られるベージュも視野に入れておきたいところです」と先読みします。
ファッションシーンでもここ最近、春夏の主力カラーとして認知度を高めているベージュですから、その余波がターフにまで及んだとしても不思議ではありません。
さりげなくを「グラフィック」と「織り柄」で
ゴルフウェアでは、鮮やかな配色同様、ド派手な総柄も主流ではありました。ただ、モノトーンが1つの選択肢として浸透し、シンプルなデザインを希望するプレーヤーも増えているように感じます。
とはいえ、単なる無地というのも味気なく、ブランドとしてのカラーも霞んでしまいかねない。そこで今季、より多く登場しそうなのが身頃と同系色の色で表現したグラフィックや、ジャカード織りにも代表されるような織り柄による個性出しです。

T-ICE BD ショートスリーブポロ ¥14,850、グラフィックバイザー¥4,950/ともにテーラーメイドアパレル(写真:テーラーメイドゴルフ)
「さほどコントラストの強くない、“抑制されたグラフィック”が引き続き人気を獲得するでしょう。それに追随するように、生地表面にほんのりデザインを落とし込むアイテムも散見されるようになってきました。織り柄などによるさりげないデザインは今後も注視していきたいですね」
ファッションの最先端を目の当たりにしてきた辻さん(ユナイテッドアローズゴルフ)も、この意見に賛同します。

ポロシャツ ¥19,800、ショーツ¥20,900/ともにユナイテッドアローズ ゴルフ(写真:ユナイテッドアローズ ゴルフ)
「機能的な素材は変わらず人気を博すでしょう。それに加え、メッシュやジャカードのように、一見無地と思わせながらさりげなく視覚的変化を促す生地にも可能性を感じます」
女性のトレンドは華やかさに加えスタイルアップがカギ
ゴルフの楽しさが再び見直されるようになった1つの要因に、女性からの支持も挙げられます。SNSではゴルフ関連の写真や動画も多数アップされ、スコアのみならずファッションも楽しんでいる女性の姿をよく見かけるようになりました。

ポロカラー セーター ¥30,800、プリ―テッド スコート ¥34,100/アール エル エックス ゴルフ(写真:ラルフローレン ジャパン)
では、ウィメンズのゴルフウェアトレンドの最新とは。そのポイントを、加藤さん(テーラーメイド)はさまざまなレイヤードを見越したアイテムに見出します。

フルジップショートスリーブジャケット ¥17,600、ニューモックベースレイヤー ¥11,000、ダブルプリーツスコート ¥17,600、リボンバイザー¥5,500、オーバーニーソックス¥3,300/すべてテーラーメイドアパレル(写真:テーラーメイドゴルフ)
「ウィメンズにおいては、半袖アウタージャケットに注目していますね。インナーアイテムとのレイヤリングコーディネートも人気になるのではと予想しています」

GM プリーツスカート ¥34,100、フリルブラウス ¥29,700/ともにレザレクション(写真:アルティザンネスト)
これまでは、色使いにせよシルエットにせよ、女性らしさが1つの指針となっていました。レザレクションのPRを担当する嶺村綾さんもその流れは今季も軸となると予想します。
「夏ゴルフは快適に過ごせる“素材”が重要です。ただ、素材感を重視しながらも女性らしさは必須。動くたびに可愛らしくフワッと動くプリーツスカートや、普段のおしゃれ着と見間違えてしまいそうなフリルブラウスなど、涼しくて女性らしいウエアが夏のゴルフを盛り上げてくれます」
ただ、昨今ではスタイルアップを誘導するアイテムも視野に入れておいた方がいいかもしれません。石田さん(ジェイ リンドバーグ)も、その流れを推す1人です。

シーズン柄リブ襟ハイネックシャツ ¥17,600/ジェイ リンドバーグ(写真:グリップインターナショナル)
「よりシルエットの美しさが重視される傾向にあります。昨年までのビッグシルエットから一転、今季はきれいに着こなすことが注目されるのではないでしょうか」
田中さん(オリジナルスゴルフ)もまた、「スタイリッシュなアイテムもぜひ注目したいですね。ノースリーブワンピースやプリーツスカートはおすすめです」とその声に同調します。

ジャージー ¥22,000、ワンピース ¥17,600、サンバイザー¥5,500/すべてアディダスゴルフ(写真:アディダスゴルフ)
機能的でファッション性も併せ持つ小物も
そして最近、目を見張るのが小物の充実です。とくに、暑熱対策はもはや回避できない課題ゆえ大きな助けとなるはずです。

左:ニットチューリップハット ¥14,300/レザレクション(写真:アルティザンネスト)、右:ビッグロゴアイスバッグ ¥3,960/ビームス ゴルフ(写真:ビームス)
しかも「それどこの? と聞かずにはいられない個性的でかわいいヘッドギアは、着こなしのアクセントにはうってつけです」と嶺村さん(レザレクション)が話すように、機能的でありながらファッション性も併せ持つアイテムが目白押しゆえ、日常使いとしてもきっと重宝してくれるでしょう。
ここ数年で、より多くの層がゴルフへアプローチできる環境が整い、アイテムのデザインや着こなしの幅が広がりました。今後、街や日常とリンクしたアイテムも増えていくでしょう。
ただ、一方では品位が下がっているとのご指摘も。ビジネスシーンでは仕事着のカジュアル化が進んでいますが、その反動でスーツをビシッと着る大人の格好よさも再認識される動きがあります。
ゴルフウェアも同様に、きれいに、美しく着るといった流れが今年からより顕著に見られるかもしれません。それらを意識しながらウェアを選んでいただければ、フェアウェイを気持ちよく、胸を張って歩いていただくことができるのではないでしょうか。