「『専業主婦』との結婚を希望する男性」はわずか2%…"年収を隠す女性"は結婚できない《「令和の婚活」の残酷》
コロナ禍前までは、婚活女性から「年収が高いので隠したほうがいいでしょうか」「東大卒なのですが、婚活では不利ですか」といった相談を受けることがあった。
【画像】「高年収男性」が求める《理想の女性の年収額》
しかし現在、こうした相談はほとんど聞かれなくなった。
「自立した正社員女性」を探す男性たち
マッチングアプリ「Omiai」が実施したユーザーアンケート(回答者1117人)によると、男性ユーザーの76.85%が「自分より年収が高い女性でも気にしない」と回答している。
「結婚後の働き方に関するアンケート調査」
回答者:1117人(男性795人、女性322人)
年齢:29歳以下19.9%、30代50.3%、40代19.5%、50歳以上10.3%
調査期間:2026年4月10日~12日
この数字が表しているように、実際に筆者も婚活の現場において男性の結婚観がここ数年で大きく変化していることを実感する。
「夫は『年収500万円以上』『知っている大学を卒業』『一都三県在住』で女性を検索していて、私を見つけたそうです」
そう語るのは、一昨年に結婚したITエンジニアの美香さん(29歳)だ。夫婦は20代後半、共に年収700万円台で有名私大卒である。
近年、このようなケースは珍しくない。結婚後も正社員として働き続ける女性を希望し、年収300万~400万円以上の女性を条件に探す男性が増えている。
結婚相談所IBJの「成婚白書2024」によると、年収を非公開にしている女性の成婚率が24%なのに対し、公開している女性は46.1%だった。つまり、男性は女性の年収を気にしており、それを隠そうとする女性は結婚しにくくなる。
また、年収を公開している女性の多くは、一定以上の収入を得ている。
そしてOmiaiのアンケートでは、「妻には正社員で働いてほしい」と考えている男性が多いのは20代後半~30代ということがわかった。
「専業主婦」を希望する男性は、アラサーだと2%程度で、55歳以上でも4%程度しかいない。
・ 24歳以下:14.8%
・ 25~29歳:20.6%
・ 30~34歳:25.5%
・ 35~39歳:21.8%
・ 40~44歳:8.8%
・ 45~49歳:9.6%
・ 50~54歳:15.2%
・ 55歳以上:4.4%

(図表:筆者作成)
「結婚後も正社員として働き続けたい」女性は多い
一方、女性側も20代後半~30代前半では、「結婚後も正社員として働き続けたい」と考える人が多い。
・ 24歳以下:38.4%
・ 25~29歳:47.0%
・ 30~34歳:42.1%
・ 35~39歳:31.8%
・ 40~44歳:36.9%
・ 45~49歳:30.0%
・ 50~54歳:25.0%
・ 55歳以上:8.3%

(図表:筆者作成)
興味深いのは、「専業主婦を希望する」と答えた割合が最も高かったのが24歳以下だった点だ。社会経験の浅さからくるものだろうか。
20~40代女性297人に結婚後の働き方を尋ねると、大きく3タイプに分類できた。
・ キャリア継続型:結婚後も正社員での就労継続を希望……116人
・ 仕事セーブ型:パートや専業主婦、時期を見ての再就職を希望……96人
・ 状況適応型:相手と相談、もしくはそのときにならないとわからない……85人

(図表:筆者作成)
単に働き方の希望が違うだけではなく、ライフスタイルにも特徴が見られた。
地方に「状況適応型」が多い理由
6割以上が大卒以上。過半数が1人暮らしをしている。正規雇用率は9割近く、経済的に自立している層だ。
また、子どもを希望している割合は70.6%にのぼった。
地域別では、東京在住女性の6割以上がキャリア継続型を選択している。
実家暮らしが6割以上と高く、非大卒の人が多い。正規雇用で働いている人は半数程度だった。
子どもを希望する割合は73.9%で、僅差だが3タイプの中では最も高い。
過半数は正規雇用で働いているが、実家暮らしや非大卒の割合も高い。
また、地方ほど状況適応型が多い傾向があり、特に九州、北海道、東北で割合が高かった。
背景には、現在の職場に通い続けられる場所に住みながら相手を探すことが難しいという、地方特有の事情がありそうだ。ある程度、相手に合わせられなくては結婚できないと考えていると思われる。
コロナ禍前後で「高収入男性」の意識が変わった
「女性の社会進出が進んだのだから、男性の結婚観が変わるのは当然ではないか」と思う人もいるかもしれない。
しかし、この変化は長い年月をかけて徐々に進んだものではない。
結婚相談所パートナーエージェントの協力を得て、19年と25年の男性会員の「女性に求める最低年収」を比較した。
すると、コロナ禍前の19年には「女性の年収を気にしない」と答えた男性が46.6%だったのに対し、25年には37.5%まで減少していた。

(図表:筆者作成)
特に顕著なのが高年収男性である。
年収1000万円以上の男性では、19年時点では57.4%が「女性の年収を気にしない」と回答していた。ところが25年には32.2%まで減少した。
つまり、年収が高く、情報感度も高い層ほど、女性選びの基準を変えているのである。
さらに東京在住男性だけを見ると、19年時点で「女性の年収を気にしない」は37.6%だったが、25年にはさらに低下。東京の婚活男性の41.2%が「年収300万円以上」でパートナーを探している。
今後、「キャリア継続型」の女性を求める男性は、さらに増えていくだろう。
「アラサー男性」が最も女性の年収を気にしている
とはいえ、現在でも「女性の年収は気にしない」という男性がいなくなったわけではない。
では、どのような男性が女性の経済力を重視するのだろうか。
昨年、結婚相談所で知り合った女性と結婚した30代半ばの裕司さん(大卒・大手企業勤務)は、相手を「正社員女性」に絞って探していた。
「転勤の可能性もあるので、最初は専業主婦希望でも構わないと思っていました。でも、同年代の既婚の友人たちはみんな共働きですし、将来設計や金銭感覚が合う人を考えると、自然と正社員女性を探していました」
確かに、調査でも年齢別に見ると、最も女性の年収を気にしていたのはアラサー男性だった。

(図表:筆者作成)
20代前半に「こだわりなし」が多いのは、まだ社会人経験が浅く、現実的な生活コストを実感していないためかもしれない。
一方、40代、50代になるほど、女性の年収を重視しない男性は増える。ただし、年齢が高くなるほど男性は若い女性を希望する傾向が強まり、別の意味で婚活難易度が上がっていく。
好条件の男性は「同レベルの女性」を選ぶ傾向
さらに20~40代の婚活男性について、年収別に「相手に求める最低年収」を調べると、男性は自身の年収が高いほど、女性にも一定以上の経済力を求めていた。

(図表:筆者作成)
・299万円以下 12.9%
・300~499万円 40.4%
・500~699万円 54.0%
・700~899万円 54.4%
・900万円以上 56.1%
年収500万円以上の男性では、半数以上が「女性も年収300万円以上」を希望している。一方、自身の年収が低い男性ほど、「女性の年収にはこだわらない」と答える割合が高かった。
つまり、好条件の男性と結婚するには、自分も同じレベルにならないと難しいということだろう。
コロナ禍を経て、社会は大きく変化した。
16年にヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』では、実家暮らしの派遣社員女性が、京都大卒エンジニア男性と契約結婚する設定だった。当時、あの設定に違和感を持った視聴者はさほどいなかったのではないだろうか。
不透明な時代、「支え合える相手」が求められている
しかし10年が経った26年の婚活市場では、「非正規雇用の女性が高学歴・高収入男性と結婚する」というケースは、以前ほど一般的ではなくなっている。
現在、同じような設定のドラマが放送されれば、違和感を持つ人も多いのではないだろうか(もちろん、「逃げ恥」ファンは多いので、同ドラマの続編であれば歓迎されると思うが……)。
婚活の現場を見ていると、高年収男性の多くは、同じく安定した収入を持つ正社員女性と結婚していく。
背景にあるのは、物価高、家賃高騰、教育費上昇など、日本社会の先行きへの不安だろう。独身のビジネスパーソンたちは、「親世代と同じ生活水準を維持するには、共働きが前提になる」と現実的に考えているのだ。
社会の変化とともに家族のあり方が変わっていくのは自然な流れである。
ただ、その変化への適応を女性側にばかり求める風潮には、どこか不公平さも感じる。