習い事も塾も「これをやれば完璧な子が育つ」という正解はない 佐藤ママが語る「親が待つ」姿勢の大切さとは

■まずは「とりあえずやってみる」, ■成果が出るまでに、親ができること・できないこと, ■わが家の“塾通いリレー”, ■子どもとの勉強は意外と楽しい!, ■中学受験で見えてくる子どもの個性

 親が子どもの習い事に「成果を出さねば」と気合を入れすぎてしまうと、子どもがプレッシャーを感じて楽しめなくなるのではないか――。4人の子ども全員を東大理三に合格させた「佐藤ママ」こと佐藤亮子さんはこう語ります。佐藤さんと中学受験専門カウンセラー・安浪京子さんの共著『中学受験の意義 私たちはこう考えた』から、佐藤さんの習い事や受験の考え方についてお届けします。

■まずは「とりあえずやってみる」

 わが家は浜学園に入るまえに、いろいろな習い事をしています。バイオリン、水泳、公文などです。習い事や幼児教室、塾など今はいろいろな選択肢がありますから、いつ、何を始めればいいか親御さんたちが迷う気持ちはよくわかります。講演会でも「何がいいですか」というのはよく聞かれます。

 でも、習い事にしろ、塾にしろ、「これをやれば完璧な子が育つ」「ここに通わせておけば大丈夫」という正解はないのです。

 だったら、子どもが興味を持ちそうなら「とりあえずやってみる」ぐらいの気持ちで一歩を踏み出してもいいんじゃないかと思います。

 もちろん、習い事も塾もお金がかかりますから、そんなに気楽に決められない、ということはあるでしょう。わが家の場合、4人子どもがいたので、一人一人の希望を聞く余裕はなく、全員同じ習い事をし(長女だけはピアノもやりましたが)、全員浜学園に通いましたが、もし子どもが暗い顔をしたり、嫌がるようならやめてもいいと思っていました。

 それに、親が「せっかく始めたんだから成果を出さねば」と気合を入れすぎてしまうと、子どもがプレッシャーを感じて楽しめなくなるのではないかと思います。

■成果が出るまでに、親ができること・できないこと

 新しいことを始める時は、軌道に乗るまでには時間がかかります。だから子どもが嫌と言ったらすぐやめる、というのはいい方法だとは思いません。何事もいっぺんにできるようにはなりませんから、少しずつやり、親が待つ姿勢も大事。

■まずは「とりあえずやってみる」, ■成果が出るまでに、親ができること・できないこと, ■わが家の“塾通いリレー”, ■子どもとの勉強は意外と楽しい!, ■中学受験で見えてくる子どもの個性

 それで思い出すのは、三男が3歳でスイミングスクールに通い始めた頃のことです。わが家の子どもたちは4人ともスイミングスクールに通いましたが、三男だけは水が苦手だったようで、プールに入るまでに時間がかかりました。

 いつもプールサイドで一人泣いているのです。上の観覧席からその様子を見ていて、私も最初は可哀想で胸が締め付けられる思いでした。ほとんど濡れずに戻ってくる三男を見て、「水が怖いの?」「次は入れそうかな?」と聞きたくなる気持ちをグッとこらえ、「お疲れさま!」と笑顔で迎えていました。

「どうして?」と聞いたところで自分でもなぜできないのかわからないだろうし、まして親が𠮟ってしまったらプールそのものが「嫌な場所」になってしまうと思ったからです。いつかは自分で入れるようになるまで待ってみよう、と腹を括りました。その上でどうしても入れなかったら「それでもいっか」と思ったんですね。

 毎週、他のお母さんと一緒に「今日も泣いているね」と言いながら見守り続け、結果、プールにポチャンと入れるようになったのは、4か月経った時。それからはぐんぐん上達していきました。

 塾も通い始めてから生活の一部になるまでには数か月かかるでしょう。

 ただし、三男のプールが塾とわけが違うところは、三男は当時まだ3歳だったので「そんなに急いで泳げるようにならなくてもいいか」という余裕が私の中にあったこと。もう一つはプールは親がサポートはできない、ということです。

 塾は親が待っているだけでは子どもが自然に勉強するようにはなりません。

 どんどんカリキュラムは進んでいきますし、何しろ授業の内容がわからなかったら子どもは楽しく通えないでしょう。楽しく通えないと「もう嫌だ」と投げ出したくなります。

 だからといって、「なぜできないの!」と𠮟ったところで子どもはできるようになりません(これはプールと一緒ですね)。

■わが家の“塾通いリレー”

 わが家の場合、幸いだったのが、長男は浜学園の勉強をすごく面白い、と言っていたことです。公文に通っていて、勉強をやる習慣もついていたので、比較的すんなり塾の生活に慣れることができました。

 長男が塾の勉強が面白い、と言うので、1歳半離れた次男も当然のように「僕も行きたい」となり、三男もそれに続きました。長女は長男が浜学園に通いだした時はまだ幼稚園生だったので、説明会などに一緒に連れて行きました。余った席でお絵描きなどをしながら待っていることもよくあり、まさに小さい頃から馴染みの場所だったんですね。小3で通い始めた時は「私もやっと通うことができる」と喜んでいました。

 きょうだい間で「塾の勉強って楽しいよね」という文化が継承されたのはとてもありがたいことでした。とはいっても、全員が同じように勉強ができたわけではなく、性格もバラバラでしたから、やり方は変える必要がありました。

 今思うと、長男の時は、塾に通わせるのもとても慎重だったような気がします。とにかく子どもを潰しちゃいけないと思っていたので、下3人がまだ遊んでいる中でこんなに勉強させて大丈夫だろうか、などいろいろ思うこともあり、小4の時は最高レベル特訓(通称「最レ」)にも通わせませんでした。

 後に長男が6年生になり、大阪や兵庫で行われる浜学園の模擬試験について行った時、他の子どもたちが実に真剣で、その姿に感動しました。次第に中学受験に対して持っていた偏見が消え、「子どもたちが一生懸命勉強する中学受験っていいなあ」と改めて思ったものです。

■子どもとの勉強は意外と楽しい!

 中学受験をすると、親のサポートがいろいろ必要になることを面倒だな、と思う人もいるかもしれませんが、18年間子どもが手元にいる中で、子どもが迎える受験って平均して2回ぐらいでしょう。大学付属などに入れば1回かもしれません。

 その中で、親が最も関われるのが中学受験です。高校受験になると年齢的に親が介入するのを嫌がるでしょうし、大学受験になれば親ができることは資料整理ぐらいです。中学受験であれば、4年生ぐらいまでなら親が教えられることも多いですし、特に理科や社会は親子で一緒に勉強するのにぴったりです。

 わが家の子どもたちも、理科で星座の勉強をしている時に家族で玄関を出て星空を見たり、『るるぶ』を見ながら都道府県の農産物を覚えたりしたのは楽しかった、と今でも言っています。

 親が歳をとった時、自分の子育てを振り返ってみて、「あの時は大変だったけれど、子どもと一緒に学べて楽しかったな」と思える思い出がたくさん作れるのが中学受験です。

■中学受験で見えてくる子どもの個性

 私が子ども4人の中学受験を通してもう一つ感じたことは、子どもの性格を見極めるのにちょうどいい時期だったな、ということです。もちろん普段の生活の中でも子どもの個性や性格を見極めることはできますが、中学受験という真剣に勉強に取り組む機会の中で、4人それぞれの個性を改めて知ることができました。

 長男は正統派の解法が好き、次男は難しい問題を力ずくで解いていく、三男は自分の独自の解法にこだわる、長女は3人の様子を観察し一番無駄のないやり方を選択する、という感じで、そばで見ていて性格がよく表れていて面白かったです。

 よく、親御さんのご相談できょうだいの性格の差について質問を受けることがあります。「上の子はすぐに何でも暗記できるのに、下の子は苦手」とか、「弟は好奇心旺盛で中学受験向きだと思うのですが、お姉ちゃんは何事もゆっくりなので中学受験はやめたほうがいいでしょうか」など。

 同じきょうだいでも性格が違うのは当然です。

 物覚えが早く、真面目な子のほうが親としては嬉しいかもしれませんが、中学受験をする小学生はまだ小さいので、ゆっくりしている子どもには、時間をかけて丁寧に教えてあげればいいだけのことです。子どもはどんどん大きくなって変わっていくので、今の状態で全てを決めつけないようにしてください。それぞれの性格に対応して、小学校の学習内容を学ばせることが大事です。

 私も、子どもをありのままに受け止めて、その状態に合わせて育てることが大事だ、と中学受験を通じて改めて感じました。

■まずは「とりあえずやってみる」, ■成果が出るまでに、親ができること・できないこと, ■わが家の“塾通いリレー”, ■子どもとの勉強は意外と楽しい!, ■中学受験で見えてくる子どもの個性

※「中学受験の意義」(佐藤亮子・安浪京子著)から一部編集