【特集】理系進学率が26%から41%に、充実の理数・サイエンス教育…光英ヴェリタス

  光英VERITAS中学校・高等学校 (千葉県松戸市)では、2023年度の理系進学率が41%と、その前年度の26%に比べ15ポイント上昇した。21年度の共学化以降進めてきた新しい教育によって、生徒に進路に対する大きな「気づき」の機会が生まれているためだという。大野正文副校長と理科担当の小磯康平教諭、科学部の生徒たちに、特色ある同校の教育、理系の学びについて聞いた。

多様な学びから「自分の関心事」に気づく

「文理のバランスが取れ、理系選択者の増加に結びついた」と語る大野副校長

 4年制大学の理系分野への進学者が41%となった23年度は、高校の「共学化1期生」が大学受験に挑んだ年度だった。それまで4分の1程度で推移していた理系進学者が、一気に半数近くまで躍進した理由について、大野副校長は次のように分析する。

 「本校は共学化に伴い、探究的な学びを核として、『理数・サイエンス教育』『英語・グローバル教育』の教科活動、さらに学校行事や部活動、外部との連携を巻き込み上昇させていく『ヴェリタス・トルネード・ラーニング』を推し進めています。多様な学びの中で、興味を引かれるもの、将来社会に貢献するために学ぶべき分野に気づく機会が増え、生徒たち自らが選択を行っています。その過程で文理のバランスが取れ、理系選択者の増加に結び付いたと考えています」

 同校の進路指導は、生徒自身の学びたいことが学べる大学を目指す「第1志望進学」を重視している。「例えば探究の授業で街づくりについて調査した場合、行政や経済に目を向ける生徒もいれば、環境問題や建築などを意識する生徒もいます。それぞれが最もやりたいことを見つけ、それが実現できる大学を第1志望として選択していく。この考えが浸透してきたことも、文理のバランスがとれてきた理由の一つでしょう」

放課後の「だれでもサイエンス」実験に約70人参加

実験の楽しさを生徒に伝える小磯教諭。「理科の魅力に気づいてくれれば」

 充実した理科授業も、生徒たちが理科の楽しさ、面白さに目覚めるきっかけになっている。同校には理科・化学・生物が各2教室、物理が1教室と計七つの理科教室があり、授業では年間約40件の実験が取り入れられている。理科の小磯教諭は、「教室では、なぜその実験を行うのか考え、結果を予測し、成果を発表するという流れを取り入れています。小学校では理科が得意ではなかった生徒も、実験によって理科の魅力に気付くことがあります」と言う。

 授業には、校内で「酸化しているものを探す」、天気にまつわる「地域の言い伝えを調べる」といったプロジェクト学習も含まれている。数学、英語などとのクロスカリキュラムも導入していて、家庭科では酵母が発酵する仕組みを学びながら、パン作りにも挑戦した。「酵母の違いが味に影響することを自分で確かめることで、理科についても家庭科についても理解がより深まったはずです」

 また、放課後に中高の希望者を集め、「だれでもサイエンス」という実験活動を年に5回ほど実施している。マイナス196度の液体窒素を使って生花やゴムボールを凍らせるなど、普段の授業では行うのが難しい実験に取り組むので、生徒の関心が高く、毎回50~70人ほどの参加者がある。

 連携協定を結んでいる東京理科大学の学生が、こうした課外活動をサポートすることもある。また逆に、中高の科学部員が理科大・野田キャンパスの学園祭にブースを設けてガラスを溶かす実験を行ったりするなど、交流活動も広がっているという。

2万匹の養蜂に挑戦する科学部

校庭の養蜂箱で約2万匹のハチを飼育し、観察を続けている科学部員

 理系の学びの楽しさについて、科学部の生徒たちに聞いた。科学部員は42人(昨年度)。普段は週1回の実験を中心に活動しているという。

 中2(当時)の進藤 夢融(ゆめと) 君は、「小学校のときには理科は好きではなかったのですが、アニメの影響などで興味を持つようになり、中学では絶対、科学部に入ろうと思いました。科学部では、水素と酸素を混ぜて火をつける実験など授業ではやらないようなことも、安全に注意しながら行っています」と話す。

 23年度からは養蜂の活動も始めた。校庭に養蜂箱を設置して約2万匹のハチを飼育し、どの季節に何の花の蜜を集めてくるかなどを観察している。「生態の研究もしています。ハチは頭が良い生き物で、大群で動いているように見えて、それぞれ役割を持って活動しているのです」と進藤君。大きなガラス瓶がいっぱいになるほど蜜が集まったので、文化祭などで販売することも考えているそうだ。

「青少年のための科学の祭典」で活動する生徒たち

 高1(当時)の 青景(あおかげ)崇介(しゅうすけ) 君は、「決められたことをやるのではなく、自分たちがやりたいことを実現させることができる、自主性を重んじる部です。後輩たちから頼まれたらアドバイスしますが、まずは自分たちの力で活動してもらうようにしています」と言う。薬学部志望という青景君。「これからさらに実験を重ね、科学の大会やコンテストに出場することで、大学進学に向けた実績を築きたいと思っています」と抱負を語った。

 科学部副顧問を務める小磯教諭は、「こうした生徒たちの活動を見ていると、年を追うごとに成長しているのを感じます」と評価する。「理科大の学園祭への参加や、『青少年のための科学の祭典』への出展といった経験が、理系への関心を高めることにつながっているようです。先輩が築いたものを、自分たちが受け継いでいかなければという責任感も育ってきました」

 大野副校長も「やりたいことを見つけ、それに向かって突き進む生徒たちの姿に、確かな手応えを感じています」と語る。「すべては、人・社会・自然に貢献する、地球を守る自覚と実践力のある『次世代リーダー』を育てることにつながっています。生徒たちには今後も、不透明な時代を生き抜くのに必要な自己省察力、先を見すえる構想力、困難を乗り越える課題克服力を身につけていってほしいと思っています」

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:光英VERITAS中学校・高等学校)

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