ガラガラの万博定期船、割高感否めず苦戦 桟橋利用料が「押上げ要因」の声も…対策模索

夢洲から淡路島に向かう定期便に乗船する利用客=5月22日、大阪市此花区

大阪・関西万博の会場・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)と周辺を結ぶ船便が苦戦している。水都・大阪の魅力発信も兼ね、最新技術の船舶を導入するなど準備を進めてきたが、定期便の乗客が定員の10分の1に満たないケースも見られる。船便は万博会場への交通手段の一つとして期待されながら、マイカーとバスを乗り継ぐ「パーク・アンド・ライド(P&R)」と同様、割高な運賃が課題として浮かぶ。

夢洲に設置された桟橋=5月22日、大阪市此花区

5月下旬の昼過ぎ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)近くの船着き場「ユニバーサルシティポート」(大阪市此花区)から出発した定期便。最大定員150人に対し、乗客は10人に満たない。船はストレスなく約30分で夢洲の桟橋に到着したが、男性客は「USJから移動するならいいが、値段がネックだな…」とぼやいた。

客足が伸び悩んでいる原因の一つに「割高な運賃」を挙げる声は多い。大阪市内の2カ所と堺旧港(堺市堺区)、淡路島(兵庫県淡路市)を結ぶ定期便は片道一般で2800~3800円。混雑や渋滞を避けられるとはいえ、会場に直結する大阪メトロ中央線の運賃などと比べると高額だ。

万博会場への船便は、水都ならではのアクセス手段として準備が進められ、開幕直前に夢洲北岸の東西2カ所に桟橋を設置。阪急十三駅近くの淀川には今年3月、新たに船着き場も整備された。しかし、採算性や条件に合致する船舶の運航が困難などの理由から定期便は3路線にとどまり、淀川の新たな船着き場にも定期便の姿はない。

ある船便の事業者は、発着場所となる夢洲の桟橋利用料が「運賃を押し上げている要因の一つ」と指摘。日本国際博覧会協会(万博協会)の担当者は「大阪港周辺の料金を踏まえ、管理費などを考慮している」と説明するが、駐車場の利用が1~3割程度と低迷するP&R(最大7500円)と同じく割高感は否めない。

万博に合わせ、岩谷産業は二酸化炭素(CO2)を排出しない水素燃料電池船「まほろば」を投入するなど、運航各社はPRを図るが、想定ほどの誘客に至っていないのが実情だ。このまま会期末を迎えるわけにはいかないと、次なる対策を打つべく模索する。

大阪市内や堺旧港との間で定期便を運航する「ユニバーサルクルーズ」の担当者は「朝の便は比較的利用者が多いが、午後や夕方が少ない」と分析。現在の最終便は午後8時半発だが、「(午後9時ごろ開始の)ドローンショーを見終わってから乗船できる便がない状況を何とかしたい」と述べ、出航時間の変更も検討するとした。(秋山紀浩)

淡路島へ向かう定期便から眺める大屋根リング。船便ならではの光景の一つだ=5月22日、大阪市此花区