「クモの巣」作戦を成功させ、トランプ政権に再考を促すウクライナ
ロシアばかりか米国まで驚かせたウクライナ

トランプ米大統領はウクライナについて、ロシアの軍事力に対抗する能力などないとの見方を公然と示してきた。ところが、ウクライナは思いがけない奇襲攻撃を成功させてロシアに一矢報い、トランプ政権にも揺さぶりをかけることとなった。
ロシア領内で実施されたドローン攻撃

2025年6月1日、ウクライナはロシア領内でかつてない規模のドローン攻撃を実施。CNN放送によれば「クモの巣」作戦と名付けられたこの作戦はロシア軍の航空機をターゲットとしたもので、ウクライナがドローンをこれまで以上に積極的に活用するようになったことを示しているという。
画像:By Ssu.gov.ua, CC BY 4.0, Wikimedia Commons
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洗練された攻撃

今回のドローン攻撃はこれまでにウクライナが実施した作戦としてはもっとも大胆かつ洗練されたものであり、ウクライナ軍の敵地攻撃能力とその意思を証明したと言える。
ゼレンスキー大統領のコメント

ゼレンスキー大統領はX上で「クモの巣」作戦の成功を報告。「計画や組織化など、詳細に至るまですべてが完璧に準備されていました。これは他に類を見ない作戦だったと断言できます」とコメントした。
ロシア国内に仕掛けられた117機のドローン

ゼレンスキー大統領はさらに、この作戦ではロシア国内に密かに仕掛けられた117機のドローンが用いられたことを明かした。これはロシア側が軍事的な損害に加え、心理的な打撃まで被ったことを意味する。
不意を突かれたプーチン政権

これだけ大規模な奇襲が正確に実施されたことでロシアの国防態勢には疑問符がつき、ウクライナにとっては自国の実力を国際社会にアピールする絶好の機会となったのだ。
FSBとは目と鼻の先の距離で活動

「ロシア領内でわが国が実施した作戦の『事務所』は、ある州のロシア連邦保安庁地域本部のすぐ隣でした」
ロシア側が被った損害の規模

CNNはウクライナ保安庁の発表として、今回のドローン攻撃で損傷を受けたり破壊されたりしたロシア軍の航空機は40機あまり、その中にはTu-95やTu-22M3をはじめとする戦略爆撃機や早期警戒機A-50が含まれていたと報道。
画像:By Gleb Osokin - Russian AviaPhoto Team - Gallery page Airliners.net/photo/Russia---Air/Tupolev-Tu-22M, Wikimedia Commons
ロシア各地で同時に攻撃

また、この作戦はフィンランドとの国境に近いオレニヤ空軍基地やシベリアにあるベラヤ空軍基地を含む5ヵ所で実行されたとのこと。『ガーディアン』紙が報じている。
一人称視点(FPV)ドローンを使用

報道によれば、ウクライナ軍のドローンはトラックに積み込まれた移動式の木箱に隠されており、ロシア国内にあるターゲットの近くから発進したとされている。
画像:By АрміяInform, Wikimedia Commons
ゼレンスキー大統領が直々に計画を承認

ゼレンスキー大統領いわく、奇襲作戦の立案には18ヵ月を要し、同大統領自身が直々に計画の承認を行ったという。
ロシア軍が被った損害はおよそ70億ドル

ウクライナ保安庁は今回のドローン攻撃によってロシアが保有する戦略爆撃機のうち34%が破壊され、推定70億ドルの損害が発生したと主張している。
画像:By Ssu.gov.ua, CC BY 4.0, Wikimedia Commons
戦略爆撃機120機のうち40機を撃破

ウクライナの軍事アナリストのセルヒー・クザン氏いわく:「こういった戦略爆撃機はわが国に対して長距離攻撃を行う能力があります…… その数はわずか120機ですが、ウクライナはそのうち40機に打撃を与えました。これは信じられない数字です」
「テロ攻撃」だと主張するロシア

一方、CNN放送によれば、ロシア側は今回の作戦を「テロ攻撃」と呼んで非難。ターゲットとなった空軍基地のうち2ヵ所については被害を受けたことを認めた。
トラック運転手を拘束

また、ロシア国防省は3ヵ所の空軍基地で攻撃を阻止したと主張。ロシア当局は作戦に関与したとみられるトラック運転手を拘束したという。
直接協議への影響

「クモの巣」作戦が実行されたとき、イスタンブールではウクライナとロシアによる直接協議が行わることになっており、ウクライナ側はウメロフ国防相の率いる代表団が現地入りしていた。
1時間ほどで打ち切られてしまった協議

ところが、6月2日に開催された両国による協議は大きな進展もないまま、1時間強で打ち切られてしまったという。BBC放送が伝えた。
和平交渉がまとまる見込みはなし

両国は限定的な捕虜交換を行うことで合意したが、ウクライナ側がもとめていた無条件の停戦はロシア側によってふたたび拒否されてしまった。
諦めない構えを見せるウクライナ

とはいえ、「クモの巣」作戦によって、ウクライナにおける軍事技術の向上やロシア領を攻撃する意思が明確になったと言える。これは国際情勢がロシアへの譲歩へと傾くのを防ぐことにつながるかもしれない。
国際社会に対するメッセージ

トランプ米大統領はウクライナがすでに敗北したとの見方をちらつかせ、ウクライナ支援は無意味だと示唆していたため、このタイミングでウクライナが作戦を成功させたことは大きな意味を持つことになるだろう。
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