電柱のカラスの巣撤去に奔走…作業中、親ガラスが猛スピードで襲ってくることも
5時間停電したケースも
電柱にカラスの巣を見つけたら、すぐに連絡を――。カラスが巣を作るシーズン(2~6月頃)に合わせ、電気を家庭や会社などに届ける一般送配電事業者「中部電力パワーグリッド岐阜支社」(岐阜市)が、電柱に作られた巣の撤去作業に奔走している。過去には、カラスの巣が原因で5時間以上にわたる長時間停電を起こし、市民生活に大きな影響があったケースもある。(沢村宜樹)

カラスの巣の撤去作業(4月、岐阜市で)
カラスの巣の撤去は、神経をとがらせる作業の連続だ。高所作業車で電柱に近づいた社員が、「ヤットコ」と呼ばれるマジックハンドのような特別な工具で巣をつかむ。そして、木の枝などの営巣材を落下させないよう営巣除去用ネットを合わせて使い、慎重に約10メートルの高さにある巣の除去作業にあたる。
巣の撤去時には、ゴーグル、マスクの着用はもちろん、親のカラスが猛スピードで襲ってくることもあるため、周囲の様子を確認しながらの作業となる。

万が一、親のカラスが戻ってきたら、「背を低くして、素早くかわす」を合言葉に危険と隣り合わせの作業を続ける。
繁殖期の春先に巣作りを本格化させるカラスにとって、配電設備のある電柱上部は巣を安定して“設置”できる絶好の子育て場所だ。しかし、巣の材料となる木の枝や針金のハンガーなどが配電設備の充電部に接触すると、停電が発生する恐れがある。実際に2021年度には、5時間44分の停電も起きている。
「ハンガーを屋外に放置しないで」
同支社では、社員が手分けして、電柱などの配電設備をパトロール。営巣を発見した場合には、電力供給に支障があるかどうか慎重に見極め、必要に応じて撤去している。
岐阜県内では24年度、約3200個の巣を撤去し、停電件数は14件。巣は1~2日で作られてしまうため、全体的に巣はなかなか減らないのが実情だ。
しかも、撤去時には、高所作業車を出動させ、交通整理の警備員を配置して、計5人ほどで作業する必要がある。交通量が多い通りの場合は夜間に作業するなど、一仕事だ。
現時点で即効性のある対策は見当たらない上、鳥獣保護の観点から、卵がある巣は撤去するか慎重に判断している。担当者は「巣の材料になるハンガーを屋外に放置しないようにしてほしい」と呼びかけている。

撤去されたカラスの巣(4月、岐阜市で)
巣を発見した場合の連絡は、中部電力パワーグリッド(0120・985・232)へ。