トランプ政権にグリーンランドが対抗?欧州に採掘許可を与える
「月の石」によく似た岩石

グリーンランド政府は5月下旬、デンマークとフランスの企業連合に30年の採掘許可を付与しました。この企業が採掘する岩石は、かつてアポロ11号が地球に持ち帰った月の石とよく似た種類の岩石だという。
アノーソサイト(斜長岩)を採掘

デンマークとフランスの企業連合、その名もグリーンランド・アノーソサイト・マイニング(GAM)は、アノーソサイト(斜長岩)という岩を採掘し、ガラス繊維産業向けに輸出することを計画している。またグリーンランドとしては、アノーソサイトからアルミニウムを製錬したい考えだという。アルミニウムの原料といえばボーキサイトが一般的だが、このボーキサイトに代わる環境負荷の低い原料として、アノーソサイトが期待できる、というのだ。そしてアルミニウムは、航空機・車両・防衛設備を生産するうえで欠かせない素材である。
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トランプ大統領への当てつけ?

ところで、北極圏の島グリーンランドはデンマーク王国の自治領であるが、米国のトランプ大統領はこの島に大きな野心を持っており、米国への併合あるいは「獲得」について折に触れて語っていた。では、このたびデンマークとフランスの企業連合に採掘の許可が出されたことは、トランプ大統領への当てつけといった含みもあるのだろうか?
大山鳴動して鼠一匹?

しかし、そう考えるのは早計かもしれない。グリーンランドの鉱物資源大臣ナーヤ・ナタニエルセンがロイター通信に語ったところによると、トランプ大統領の発言が世間を騒がせているわりに、米国による投資の動きは今のところないのだという。
EUとの対話は円滑に進展

同大臣によると、今年に入って米国の民間ビジネス代表団がグリーンランドを訪れているものの、新生トランプ政権との公式な対話はまだスタートしてもいないという。その一方で、EUやデンマークとの対話はスムーズに進んでいるのである。
米国は消極的?

「私たちはそれなりに多くの投資家たちを迎えてきました。しかし、これまで一度も、米国の資金がグリーンランドの実業界に投入されたという話は耳にしておりません」と、ナタニエルセン大臣は語っている。
長期投資の対象?

『ニューズウィーク』誌はこの点について、オールボー大学(デンマーク)のイェスパー・ウィライング・ゼウテン准教授に話を聞いている。同氏によると、トランプ大統領はグリーンランドの資源について、さっそく開発に取りかかりたいというよりはむしろ、長期投資の対象と見ており、今後に向けた鉱物を確保を願っているのだという。
グリーンランドの法律

しかし、こうした狙いはグリーンランドの法律という壁に突き当たることになるだろう。グリーンランドにおいて、鉱業免許は期限が定められている。さらに、もし免許を取得したとして、実際に採掘事業を行わなければその免許は取り消しとなる。したがって、グリーンランドに埋まる鉱物資源は、現行のルールにおいて長期投資の対象になりにくいのだ。
もしグリーンランドが米国であれば……

もしグリーンランドが米国の領土であれば、話はずっと容易かったはずだ。投資家は土地と地下資源についての権利を購入し、あとは氷が溶けてくれるのをただ待っていればいいのである。
「喉から手がでるほどグリーンランドが欲しい」

トランプ大統領が望むのは、そのような状況であるに違いない。CNNによると、国家安全保障上の理由という口実はあるものの、「我々は喉から手がでるほどグリーンランドが欲しい」とトランプ大統領は5月初めに述べており、軍事力を行使する可能性についても排除しなかった。
グリーンランド首相のコメント

トランプ大統領のこのような態度は、グリーンランド国民の神経を逆なでせずにはおこなかった。今年4月に33歳の若さで就任した新首相イェンス=フレデリック・ニールセンは、次のように述べている。
「米国はグリーンランドを得ることはない」

「はっきり言わせていただきましょう。グリーンランドが米国領になることはありません。この国は誰かのものではない。グリーンランドの未来はその国民が決めるのです」
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