ルービン天文台が誇る32億画素の宇宙望遠鏡の初画像、24日午前1時にライブ配信

Image: Rubin Observatory/NSF/AURA/B. Quint
これは要チェックです。
25年以上かけて開発されてきた最先端の望遠鏡が撮影した最初の画像が、アメリカ東部時間6月23日(日本時間23日深夜~24日未明)にライブ配信で公開されます。
日本では日付が変わってからの画像公開になりますが、歴史的瞬間を見届けたいかたは、ぜひ以下のYouTubeをチェックしてください。
32億画素のカメラが撮影した宇宙をついに一般公開
チリのアンデス山脈の頂上に建設されたNSFヴェラ・C・ルービン天文台(以下「ルービン天文台」)は、天文学用途としては過去最大のデジタルカメラを搭載しています。
アメリカ国立科学財団(NSF)とエネルギー省(DOE)が共同運用している望遠鏡は自動車ほどの大きさで、32億画素のデジカメを使用して超高解像度の画像と映像を撮影します。イベント当日は、NSFとDOEがルービン天文台の記念すべき最初の画像と、タイムラプス映像を一般公開します。
ルービン天文台によると、ライブ配信で公開される「最初の1枚」は、だいたい下の画像みたいな感じになるそうです。

Image: NOIRLab
この歴史的な公開イベントには、ライブ配信のほかにも、世界各地の博物館や大学、プラネタリウムなどで開催される公開鑑賞会などでも参加できます。
「最初の1枚」はライブ配信で発表。歴史の立会人になろう
天文台による「First Look」と題されたライブ配信は、東部時間の23日午前11時(日本時間24日午前1時)から開始されます。以下のルービン天文台によるYouTubeでライブ配信を視聴できます。また、天文台の公式ウェブサイトにあるインタラクティブマップを使えば、自宅近くの鑑賞会場を見つけることも可能です(日本は1カ所でプライベートの鑑賞会が予定されているだけですが)。
「紙ナプキンの裏のスケッチ」から始まったこの巨大望遠鏡の構想ですが(リンク先の年表の最初に紙ナプキンにラフスケッチが描かれています。建築家とかもやるやつだ、これ)、25年以上の時を経て、ついに建設も大詰めを迎えています。
ルービン天文台の宇宙望遠鏡は最強スペック
今回のイベントは、ルービン天文台による野心的な科学運用のスタート地点にあたります。今年後半には、「時空間レガシーサーベイ(Legacy Survey of Space and Time: LSST)」という、10年にわたる前例のない夜空の観測プロジェクトが始動する予定とのことです。
LSSTによって生成されるデータ量は、約60ペタバイト(6京バイト。1ペタバイトは1,000テラバイト)にのぼる見込みです。この膨大なデータは、ダークマター(暗黒物質)やダークエネルギー(暗黒エネルギー)の性質の解明や、太陽系のカタログ化、変化を続ける空の探索、そして私たちがいる天の川銀河の構造と機能の理解を深めるのに役立つと期待されています。
ルービン天文台は、口径8.4mのシモニー・サーベイ望遠鏡を使用しています。この望遠鏡は、これまで作られたなかで最大の凸面鏡を含む独自の三面鏡設計を採用しており、自動スケジュールによって宇宙を観測するそうです。
見えなかったものが見えてくる
この宇宙望遠鏡は、1回あたり30秒の露出で、満月約45個分の領域をカバーします。巨大なLSSTカメラで撮影した広視野画像をつなぎ合わせて、3夜ごとに南天の全景を作成できるといいます。
ルービン天文台で収集されたデータは専用のコンピュータ施設で処理され、空の変化を検出してから数分でその情報は世界に発信されます。天文台の観測結果は、科学者が使えるデータの量を大幅に増やすために、巨大なデータベースにまとめられる予定です。
クイーンズ大学ベルファストの天文学者であるMeg Schwamb氏が率いる研究チームは、ルービン天文台によって既知の地球接近天体(NEO: 地球の軌道に接近する小惑星や彗星)の数が約3万8000個から3倍超の12万7000個に増える可能性があると試算しています。
また、現在カタログ化されているよりも10倍多くの太陽系外縁天体(太陽系の天体の中で海王星よりも外側に存在するもの)を発見する見込みで、主に火星と木星の間にある小惑星帯(メインベルト)にある「メインベルト小惑星」についても、現在の約140万個から500万個超まで増えると予測されています。
こういった予測内容や、予測に使用されたソフトウェアプログラム「Sorcha」についてまとめた論文は、現在査読前の論文を公開するプレプリントサーバー「arXiv(アーカイブ)」で公開されています。
研究に参加したワシントン大学の天文学者であるMario Juric氏は、同大学の声明で次のように述べています。
このデータがあれば、太陽系がどのように形成されたかという教科書の内容をアップデートし、地球を脅かす可能性のある小惑星の発見と、それを回避する能力を大幅に向上させることができるでしょう。
宇宙観測が新たな時代へ
ルービン天文台は、多くの点でその名称の由来となった天文学者ヴェラ・ルービン氏の功績を受け継ぐことになります。同氏の研究は、天文学の分野にパラダイムシフトをもたらしたダークマターの存在を証明するうえで重要な役割を果たしました。
さらに、彼女は100本以上の科学論文を発表し、渦巻銀河や銀河の回転曲線に関する画期的な研究を行ない、科学分野で活躍しました。ルービン天文台もまた、ルービン氏のように天文学を新たな探索と発見の時代へと導いてくれることでしょう。
最先端の機能を備えたルービン天文台が撮影する「最初の1枚」は、きっと見る人を魅了するはずです。日本時間の23日から24日にまたがる公開イベントは、この天文台が宇宙をかつてないレベルの精密さで描き、その秘密を解き明かすという壮大な使命の最初の一歩に過ぎません。
訳者はそんなに宇宙への興味が強いわけではありませんが、昨年4月の皆既日食で不思議な光景を目にして以来、特別なイベントを多くの人と同時に経験するときにしか得られない一体感のようなものにはまってしまったので、23日は「最初の1枚」をライブで見届けようと思います。