大学受験の費用はどれくらい? 国立大と私立大に進学した場合を、具体的にシミュレーション

大学受験には受験料や塾代など、想像以上の費用がかかります。この記事では、現役高校教員でキャリアコンサルタントとしても活動する筆者が、実際のデータや事例を用いてその詳細を解説し、費用のシミュレーション事例をご紹介します。家計への影響を事前に把握し、後悔しないための準備を始めましょう。

目次

  • 1.大学の受験費用の平均相場は30万円前後
  • 2.大学の受験費用のシミュレーション
  • 3.大学に入学するためにかかる受験費用以外の費用
  • 4.大学入学にかかる費用をおさえるコツ
  • 5.賢い準備で安心の大学スタートを

1.大学の受験費用の平均相場は30万円前後

日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査」によれば、子ども一人あたりの平均的な受験費用(受験料 + 交通費・宿泊費)は30万3000円で、国公立大学が27万7000円、私立大学文系は31万3000円、私立大学理系は32万2000円とされています。

ただし、これらはあくまで平均値です。実際は試験の数や内容、受験する場所によって大きく変動します。例えば、併願校が増えればそれだけ受験料は膨らみますし、遠方受験であれば宿泊や地域間の交通費によってさらに負担が増すこともあります。ご家庭の状況に合わせて、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。

(1)受験料

大学の受験料は、試験によって1受験あたりの金額が異なります。

大学入学共通テスト 3教科以上:1万8000円
大学入学共通テスト 2教科以下:1万2000円
国公立大2次試験 約1万7000円
私立大一般入試(※) 約3万~3万5000円
私立大共通テスト利用入試(※) 約1万5000円

※医学部・歯学部以外

上記からわかるように、私立大学の一般入試は1回の受験で3万円から3万5000円と最も高額です。多くの受験生は複数校を受験するため、例えば私立大学を5校受験すると、一般入試なら15万円以上、共通テスト利用入試でも7万5000円程度の受験料がかかります。

また、国公立大学を目指す場合は、共通テストの受験料に加えて各大学の2次試験料もかかるため、併願数によっては私立大学と変わらない費用負担になることも。受験校を選ぶ際には、学力面だけでなく、このような費用面も考慮して計画的に出願することが大切です。

(2)交通費・宿泊費

大学受験では、試験会場までの交通費と遠方受験の場合の宿泊費が受験費用の一部を占めます。

自宅から試験会場が近ければ交通費のみで済みますが、自宅から離れた地域の大学を受験する場合は、新幹線や飛行機、高速バスなどの長距離移動費に加え、宿泊費が必要です。一般的には試験日前日に宿泊する1泊2日が基本ですが、試験が連日続く場合や、移動に時間がかかる場合は2泊以上になることもあります。宿泊に伴い、現地での食事代なども別途考慮する必要があります。

注意したいのは、受験シーズンは交通機関も宿泊施設も繁忙期にあたり、料金が通常期よりも高く設定されていることが多い点です。また、人気のホテルはすぐに満室になることもあります。したがって、受験する大学と日程がある程度固まったら、必ずその受験日に合わせた具体的な金額で交通費や宿泊費を検索しましょう。

旅行サイトなどで一般的な時期の料金だけを見て予算を組むと、実際の費用との間に大きな差が出てしまう可能性があります。早めに調べて予約することで、受験生向けパックプランなどの割引料金を利用できたり、選択肢が広がったりすることもあります。料金だけでなく、試験会場へのアクセスが良いか、安心して過ごせる環境かなども含めて検討することが大切です。

2.大学の受験費用のシミュレーション

実際の受験パターンに応じて、具体的な費用がどれくらいになるのか見ていきましょう。

なお、これはあくまで一例であり、受験する大学・学部、利用する交通機関や宿泊施設、お住まいの地域によって金額は大きく異なります。自身の状況に合わせて、余裕を持った予算を組む際の参考にしてください。

(1)ケース①

東京都在住・国公立大学と私立大学3校を受験・宿泊なしの場合

東京都在住で国公立大学(前期・後期)と私立大学3校(一般入試)を受験、宿泊なしの場合、受験費用は約16万5000円ほどになるでしょう。

受験料
大学入学共通テスト(3教科以上) 1万8000円
国公立大学2次試験(前期) 1万7000円
国公立大学2次試験(後期) 1万7000円
私立大学一般入試(3校) 10万5000円(3万5000円×3)
交通費
自宅⇔試験会場(6往復分) 8000円
合計
16万5000円

このケースでは宿泊を伴わないため、総費用は比較的抑えられます。しかし、私立大学の一般入試を3校受験しているため、受験料が大きな割合を占める結果となります。特に併願校を増やすと受験料がかさむ点に留意が必要です。

(2)ケース②

地方在住・東京の私立大学を3校受験・宿泊ありの場合

地方(仮に仙台市)在住で、東京の私立大学を3校受験(共通テスト利用2件、一般入試3件)、一般入試で2回上京し各1泊の場合、受験費用は約22万4000円ほどになるでしょう。

受験料
大学入学共通テスト(3教科以上) 1万8000円
私立大学共通テスト利用入試(2件) 3万円(1万5000円×2)
私立大学一般入試(3校) 10万5000円(3万5000円×3)
交通費
自宅⇔共通テスト会場(往復) 1000円
仙台⇔東京 新幹線(往復)×2回 4万6000円
都内移動費 4000円
宿泊費
ホテル代(1泊)×2回 2万円
合計
22万4000円

こちらのケースでは遠方(東京)での受験を2回含んでいるため、交通費・宿泊費が総費用に占める割合が大きくなります。特に宿泊費や航空券、鉄道チケットの手配時期によって金額が変動するため、早めの準備と見積もりが重要です。

3.大学に入学するためにかかる受験費用以外の費用

1.大学の受験費用の平均相場は30万円前後, 2.大学の受験費用のシミュレーション, 3.大学に入学するためにかかる受験費用以外の費用, 4.大学入学にかかる費用をおさえるコツ

画像はイメージです(出典: Getty Images)

受験費用以外にも、大学入学にはさまざまな費用が必要となります。特に入学後の初年度にかかる費用は大きく、保護者や学生にとって大きな負担となることが多いです。学校納付金や引っ越し費用といった支出は、事前の計画がないと思わぬ経済的負担を招く場合もあります。

ここでは、大学に進学する際の受験費用以外の具体的な項目と平均相場について詳しくご紹介し、注意すべきポイントを解説します。

(1)学校納付金

大学への入学が決まった際に、まず必要となるのが「学校納付金」です。これは、入学手続きときに大学へ納める費用の総称で、具体的には入学金、初年度の授業料、施設設備費などが含まれます。

特に注意したいのが、多くの大学で入学手続き時に、入学金だけでなく初年度の授業料(前期分あるいは通年分)も併せて納付する必要がある点です。合格発表から納付期限までが短いケースも多いため、事前にまとまった資金を準備しておくことが肝心です。

以下、学校区分ごとの平均相場をご紹介します。

①国立大学の学校納付金の平均相場

【国立大学の場合】(2023年度平均)

入学料:28万2000円

授業料:53万5800円

※参照:国公私立大学の授業料等の推移丨文部科学省

国立大学の授業料と入学料は全国一律の基準で設定されているため、基本的にはこの金額となります。しかし、例外として「特別コース」や「専門職学位課程(法科大学院など)」の場合、授業料がさらに高額に設定されることがあります。また、国立大学の中でも、医療分野に関連する学部(医学部・歯学部など)は、通常学部に比べて授業料が高額になる傾向が見られることもあります。

②公立大学の学校納付金の平均相場

【公立大学の場合】(2023年度平均)

入学料:37万4371円

授業料:53万6191円

※参照:国公私立大学の授業料等の推移丨文部科学省

公立大学の大きな特徴として、入学金が大学の設置自治体の「地域内出身者」か「地域外出身者」かで異なる場合が多い点が挙げられます。授業料は国立大学と同程度の水準ですが、医学・芸術系学部などの場合、大きく上昇するケースがあります。進学する大学や学部によって負担額が変わるため、詳細な費用を事前に調べておくことが重要です。

③私立大学の学校納付金の平均相場

【私立大学の場合】(2023年度平均)

文系理学部

入学料:22万3867円

授業料:82万7135円

施設設備費:14万3838円

理科系学部

入学料:23万4756円

授業料:116万2738円

施設設備費:13万2956円

医歯系学部

入学料:107万7425円

授業料:286万3713円

施設設備費:88万566円

その他学部

入学料:25万1164円

授業料:97万7635円

施設設備費:23万1743円

※参照:令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について丨文部科学省

私立大学の学費は、学部や専攻ごとに大きな差があります。特に文系学部は比較的費用を抑えられる傾向がある一方で、理系学部は設備投資が必要なため授業料が高くなる傾向があります。さらに医学系学部では、臨床実習や専門的な機器の利用料を含むため、その費用は他学部と桁違いの高額になります。

さらに国公立大学と異なり、入学金・授業料の他に、「施設設備費」が別途かかるのが一般的です。また、一部の私立大学では、学校運営のための寄付金を入学時に依頼されることがあります。これは任意ではありますが、事実上の「追加費用」となる場合もあるため、入学前の説明会などで確認が必要です。

(2)入学しなかった大学への納付金

入学しなかった大学への納付金とは、入学辞退をした際に返還されない入学金などのことです。

大学に合格した場合、その後一定の期日までに入学金などを支払う必要があります。この期日までに支払いが済んでいない場合、入学資格がなくなってしまいます。

一方で、大学入試において、受験生は複数の大学に出願することが一般的です。受験する大学によっては、併願校の合格発表→併願校の支払いの締切日→本命校の合格発表といったスケジュールになる場合があるでしょう。

そのため、本命校の万が一の結果に備え、合格した併願校の入学金を支払ったものの、結局本命校が受かったので併願校の入学を辞退することにした、というケースが出てきます。

しかし、入学を辞退した大学に対して支払った入学金などは、多くの場合返還されません。これが「入学しなかった大学への納付金」です。

日本政策金融公庫によれば、この費用の平均金額は表のとおりです。

国公立大学:10万8000円

私立大学文系:9万9000円

私立大学理系:10万円

※参照:令和3年度教育費負担の実態調査 p.5丨日本政策金融公庫

複数の大学に合格し、そのほとんどが本命の大学の合格発表より前であれば、この費用が複数発生して平均相場を大きく上回る可能性もあります。受験戦略を立てる際には、こうした「入学しない可能性のある大学への納付金」も予算に含めて考慮しておきましょう。

(3)引っ越し費用

自宅から大学へ通学できない場合は、アパートやマンションなどを借りて一人暮らしを始めることになります。家賃や敷金・礼金などの初期費用は、自宅通学よりも大きな負担となることが一般的です。以下に、2023年度の平均相場をご紹介します。

【自宅外通学者の住居費用】(2023年度平均)

家賃(月額):6万9700円

敷金・礼金:24万9600円

※参照:私立大学新入生の家計負担調査 2023年度 p.7丨東京私大教連

上記の家賃は月額の平均ですが、初期費用としては前家賃(1〜2カ月分)+日割り家賃が必要になる場合があります。

敷金・礼金の合計額は家賃の数カ月分になることが多く、初期費用としてまとまった金額(家賃を含めると30万円~50万円程度)が必要になることがわかります。

これらの金額はあくまで平均であり、地域(特に都市部か地方か)や物件の立地、設備、築年数などによって大きく変動します。都心部の人気エリアや新築・築浅物件では、これよりも高額になる傾向があります。

また、上記はあくまで住居の契約に関わる費用であり、実際の引っ越しには、これに加えて引っ越し業者への支払いや、家具・家電・生活用品の購入費用なども必要になります。

(4)その他、入学時にかかる費用

上記で紹介した費用以外にも、以下のような費用が発生することがあります。準備段階で見落としがちな項目もあるため、あらかじめ予算に組み込んでおくことが大切です。

①教科書・教材費

大学の授業で使用する教科書、専門書、参考書、辞書などの購入費用です。また、学部によっては実習着、実験器具、製図用品、画材など、専門的な教材が必要になる場合もあります。

学部や履修する科目によって大きく異なりますが、年間で数万円〜十数万円程度は見込んでおくとよいでしょう。特に、医学・歯学・薬学・看護系や理工系、芸術系の学部では、専門書や実習器具が高額になる傾向があります。

②パソコンやタブレットの購入費

現代の大学生活において、パソコンはレポート作成、オンライン授業の受講、情報収集、研究活動などに不可欠なツールです。大学によっては、推奨スペックが指定されていたり、必携とされていたりする場合もあります。

一般的にパソコン本体だけで10万円〜20万円程度必要です。タブレット端末やプリンター、ソフトウェアなどをそろえると、さらに費用がかかる可能性があります。

4.大学入学にかかる費用をおさえるコツ

1.大学の受験費用の平均相場は30万円前後, 2.大学の受験費用のシミュレーション, 3.大学に入学するためにかかる受験費用以外の費用, 4.大学入学にかかる費用をおさえるコツ

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大学入学にかかる費用は、多くの家庭にとって大きな負担となることがあります。しかし、計画的に準備を進めることでコストを抑えることが可能です。

ここでは、費用をおさえるための具体的なコツを三つのポイントに分けて紹介します。

(1)受験計画で無駄をなくす

受験費用や入学しない大学への納付金を抑えるには、受験計画が鍵です。

受験費用の削減では、共通テスト利用入試や全学部統一入試、各種割引制度を利用する方法が挙げられます。交通費・宿泊費を削減するために、オンライン出願を積極的に活用するのも一つです。入学しない大学への納付金も、スケジュールを考慮して併願校を慎重に絞り込めば削減できます。

各大学の入試日程や納付金締切日を把握し、資金計画を立てて、予期せぬ出費を防いでいきましょう。

(2)モノは中古・セール・譲渡・レンタルでそろえる

教科書やパソコン、一人暮らし用品など、入学準備費用は工夫次第で抑えられます。

教科書は新品にこだわらず、生協や中古、先輩からの譲渡などを活用しましょう。パソコンは大学推奨スペックを確認し、必要十分な性能のものを学割やセールを利用して購入します。一人暮らしの家具・家電は、最初から完璧を目指さず、中古品やフリマアプリ、レンタルなどを活用してミニマムにスタートするのが賢明です。

計画的な情報収集と比較検討が節約につながります。

(3)奨学金やローンなどの支援制度をフル活用する

費用をおさえる方法ではありませんが、費用の負担を軽減するものとして、各種支援制度の活用があります。

返済不要の給付型奨学金や貸与型奨学金(JASSO、大学独自、自治体など)は早めに情報収集し、申請準備を進めましょう。国の教育ローンや民間教育ローンも選択肢です。国の修学支援新制度(授業料減免・給付型奨学金)や大学独自の特待生・減免制度の対象かどうかを確認するのもよいでしょう。

利用可能な制度を漏れなく活用するため、早期からの情報収集と計画的な行動が不可欠です。

5.賢い準備で安心の大学スタートを

1.大学の受験費用の平均相場は30万円前後, 2.大学の受験費用のシミュレーション, 3.大学に入学するためにかかる受験費用以外の費用, 4.大学入学にかかる費用をおさえるコツ

画像はイメージです(出典: Getty Images)

大学入学は、子どもの成長における大きな節目であり、大きな喜びである一方、経済的な負担が大きいことも事実です。受験料から始まり、入学金、授業料、そして新生活の準備まで、多岐にわたる費用が必要となります。

しかし、本記事でご紹介したように、事前の情報収集と計画的な準備、そして利用できる制度を最大限に活用することで、その負担は確実に軽減できます。併願校の選定や受験方法の工夫、教科書や生活用品の賢い購入、奨学金や教育ローンの検討など、打てる手は数多くあります。

各家庭に合った方法で準備を進めることで、安心して子どもを大学へと送り出せるようにしていきましょう。

1.大学の受験費用の平均相場は30万円前後, 2.大学の受験費用のシミュレーション, 3.大学に入学するためにかかる受験費用以外の費用, 4.大学入学にかかる費用をおさえるコツ

武田さゆり

武田さゆり

私立高校国語科非常勤講師。金融機関勤務、育児期間を経て2006年より現職。NPO法人xTReeE理事。国家資格キャリアコンサルタント。全国の小中学校へキャリア教育の授業を開発、実践中。NPO法人は2024年度経済産業省キャリア教育アワードで奨励賞を受賞。

(編集協力 スタジオユリグラフ・藤平泰徳)