日本人、全員忍者なん?「日本推しラトビア人」アルトゥルさん 来日は「推し活」のすすめ

バルト館のラトビア人スタッフで日本推しのアルトゥルさん=大阪市此花区の夢洲

《買い物カートにカゴが2つものってるなんて》《万博へ出勤する時は電車に乗るんですが、電車の中でぐっすり寝てた日本人が、自分が降りる駅に到着する1分前になったら突然起きるのなんでなん?実は日本人、やっぱり全員忍者なん?》

バルト館のラトビア人スタッフで日本推しのアルトゥルさん=大阪市此花区の夢洲

流暢(りゅうちょう)な日本語を使い、交流サイト(SNS)で外国人から見た日本の魅力や不思議を発信する大阪・関西万博のスタッフがいる。「日本推しラトビア人」を名乗るアルトゥルさん(30)。ラトビアとリトアニアの共同出展「バルトパビリオン」のスタッフを務める彼にとって、日本に来ることは「推し活」、日本でお金を使うことは「課金」だという。

来場者と会話を交わす、バルト館のラトビア人スタッフで日本推しのアルトゥルさん=大阪市此花区の夢洲(画像の一部を補正しています)

「ネタが尽きることがない。日本の人、言葉、文化と出合えて、私は本当にうれしい」。投稿を始めて約6年。X(旧ツイッター)のフォロワーは48万人に迫る。

小学生の頃、吹き替えで放送されていた「ポケットモンスター」や「遊☆戯☆王」などのテレビアニメを見て日本を知った。親戚から贈られた日本の文化や習慣が書かれた本を読み、「周囲の人をまず気遣う日本人の考え方」に興味がわいた。

日本語を学ぼうとしたが挫折。社会人になり、再びチャレンジしようとテキストを買った。「2016年の11月12日。日付も覚えています」。翌日、偶然にもラトビアを訪れていた日本人と友人になった。

「彼がいたから勉強を続けられた。本当にご縁でした」。言葉を知るほど、日本への関心もより深まった。

翌年に初めて来日して以来、2~3カ月ずつ10回ほど旅をしたが、「来るたびに感動する。都道府県ごとに名物があって、同じ場所でも季節で楽しみ方が変わる。飽きることがない」という。

エレベーターひとつにも発見がある。誰かが「開」ボタンを押し、乗り降りするときには短くあいさつを交わす。「他人であっても、人間関係を大事にする」という考え方が、やはり興味深い。そして「静かな頑張り屋さんなところは、ラトビア人も同じです」

Xではラトビアの名所やグルメについても発信している。ラトビアの面積は日本の約6分の1、人口は約200万人と小さな国だが、イノベーション(技術革新)が盛んだという。自然も豊かでビーチが美しく、短い夏に多くの国民が海を楽しむ。国土の約半分が森林だが、ほぼ平らな地形で「『海派・山派』はありません」と笑う。

ラトビアのことをもっと伝えたいと、バルト館のスタッフに応募した。来場者からは「応援しています」と声をかけられたり、大阪らしくあめをもらったりして、日々やる気を高めている。

5月中旬、館内に飾っていた万博公式キャラクター「ミャクミャク」のぬいぐるみが来場者に盗まれる事案が発生。ところが被害を知った来場者から次々とミャクミャクを贈られるという思わぬ展開をみせた。「『悲しい気持ちを少しでもやわらげてほしい』という言葉をかけてもらい、本当に感動しました」と振り返る。

今回の滞在期間は9カ月。旅行と異なり「日本の社会の一部になり、より深く日本の文化を知れる」と期待する。

ただ、日本に慣れたくはないという。街のきれいさ、ご飯のおいしさ、言葉や習慣の面白さ、ホスピタリティ-。「そうした何もかもをずっと新鮮に感じていたい。もし9カ月たっても当たり前にならなければ、永住も考えてみたい」と打ち明けた。(藤井沙織)