「保守もリベラルも互いを尊重し、補い合おう」参院選41カ所取材、心に残った3つの言葉

(左から)チームみらいの峰島侑也氏、無所属の山尾志桜里氏、経済評論家の三橋貴明氏(奥原慎平撮影)

20日投開票の参院選の期間中、東京都内を中心に約41カ所の選挙会場を取材した。心に残った場面を3カ所紹介したい。

「分断あおらず、誰もおとしめない政治家こそ国政へ」35歳の訴え

「何か今、日本で起きている課題について犯人探しする雰囲気を感じている。でも、それでは日本は良くならない。分断をあおって社会を作っても、5歳の息子が安心して暮らせる日本になるのか」

「チームみらい」の峰島侑也氏=15日、東京都港区

政治団体だった「チームみらい」が東京選挙区(改選6、補欠1)に擁立した峰島侑也氏は15日、JR品川駅前でこう声を張った。

峰島氏は35歳。東京大を卒業後、外資系金融機関を経て、スタートアップ企業に転身した経歴を持つ。政治経験は乏しいとみられるが、生成AIを活用した社会づくりなどを力強く訴えた。

無所属の山尾志桜里元衆院議員=5日午後、東京都新宿区

他との違いを念頭にしているのか、力点を置いたテーマはチームみらいのポリシーについてだった。

「尊重すべきは尊重し、戦わせるべきは議論を戦わせる。しかし、最も大切なのは社会を前に進めていく、希望を持てる社会を作り出すことだ」

「チームみらいのように分断をあおらない、誰かをおとしめない。そういう考え方を持つ政治家を国に送るべきだ」

峰島氏は約25万票を集めたが落選した。ただ、チームみらいは比例代表で1議席を獲得した上、得票率2%超を確保し、政治団体から国政政党に転じる結果となった。

経済評論家の三橋貴明氏がサポートした参政党の塩入清香参院議員=12日、東京都葛飾区

「左右のパッケージ、国民は求めていない」憲法9条改正、女性天皇訴え

同じく分断をあおらない姿勢をアピールしたのが無所属で東京選挙区に立候補した山尾志桜里元衆院議員だった。

「保守はリベラルから弱者への温かいまなざしを学ぶべきだ。リベラルは保守から国家像を学ぶべき」

「この国の未来を守るのに、保守もリベラルもお互い尊重し合い、足りないものを補い合い、新しい政治作ろうじゃありませんか」

山尾氏は5日、JR新宿駅前でこう訴えた。

「女性天皇を認めた先に女性がもっと生きやすい国になる」

「自分の国は自分で守る。その当たり前を国民の意思で憲法に書くことが日本を戦争から遠ざけ、平和を守ることだ」

国民民主党公認を撤回され、無所属で臨んだ山尾氏は安定的な皇位継承や憲法改正を声高に唱えた。

「憲法改正をいえば左の票を失い、女性天皇をいえば右の票を失う。本当にそうか。左、右のパッケージ、国民はそんな枠にとらわれていない」

獲得票は10万票で、東京選挙区の当選ラインには大きく及ばなかった。一方、周囲には「政治家をやる覚悟ができた参院選だった」と振り返っている。

「差別、差別言うなら自民党に言え」外国人技能実習生の苦境訴え

既存政党が苦戦を強いられるなか、令和2年に設立された参政党が「台風の目」となった。掲げた「日本人ファースト」はリベラル層を中心に「排外主義」の可能性を指摘され、街頭でアンチの人々が「レイシスト」「外国人差別だ」など抗議の声を上げる。

「さや」名で臨んだ参政党の塩入清香氏が12日、JR亀有駅前で行った演説会にもアンチが駆け付け、ギスギスした雰囲気が漂っていた。

さや氏をサポートする経済評論家の三橋貴明氏は選挙カーに上がると、平成5年に導入された外国人技能実習制度を巡る外国人実習生の苦境を説明し出した。

「デフレが続き、企業は賃金を引き下げ、それだけでは人が足らず、外国の方々を技能実習生として日本に入れた」

「彼ら彼女らは日本人の7割の給料で奴隷的な労働を強いられた。転職もできない」

三橋氏は「この政策を経済界の要望によって、推進したのが自民党だ」と指摘すると、アンチの人々の方角に向かい、こう声を荒らげた。

「差別、差別言うなら、自民党に言え。お前ら」

「俺は日本人として恥ずかしい。外国人の方々を安く働かせて。その恩恵をわれわれが受けてきたわけだ。もうやめよう。日本で、きちんと日本人の所得が上がって、生産性が上がって、外国の方々に優しくできる。ちゃんとした日本を取り戻そう。これが参政党の言っている日本人ファーストだ」

参政党の政策や主張を巡っては「外国人差別だ!」と非難される一方、三橋氏は日本で暮らす外国人の実情をこう問題視していた。外国人実習生を取り巻く状況について、参政執行部は実際、どう考えているのだろうか。(奥原慎平)