不気味な地震が頻発…専門家が指摘する「割れ残り」リスク 鹿児島「5477回」、熊本「4853回」 過去10年で最も地震が多いのはここだ!【47都道府県データ】

 近年、日本各地で不気味な地震が頻発している。その度に「大災害の予兆ではないか」と不安が広がっているが、地震のリスクは今、どうなっているのか? どう備えればいいのか? 最新データをもとに「現在地」を取材した。AERA 2025年9月8日号より。

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 島に設置された防災無線が鳴る。非常事態が続いていることを実感する。

 1カ月で2千回超。鹿児島県十島村のトカラ列島近海では、今年6月21日から群発地震が続いていた。気象庁の震度データベースによれば、8月24日までに揺れを感じる震度1以上の地震が2293回発生していた。

 十島村は、屋久島と奄美大島の間にある12の島からなり、うち7島で人が暮らしている。7月末時点の人口は、わずか664人。火山の島や珊瑚礁の島、温泉の島とそれぞれに特色を持つ自然豊かな場所としても知られている。

 そんな小さな島で起きた群発地震を日本中が不安な気持ちで見守った。

「この期間は地震の警報がずっと鳴っていて、震度4以上の地震が起きれば夜中であっても島内の緊急放送が流れます。役場の公式LINEや防災メールにも絶えず情報が入り、頭のどこかにいつも地震のことがありました」

 そう話すのは、十島村議会議員の埜口(のぐち)裕之さん(48)だ。茨城県で生まれ育った埜口さんは島の魅力に惹かれ、8年前に十島村へ移住した。村で最も人口の多い中之島で島バナナなどを生産している。

■避難訓練は全員参加

 十島村では、これまでにも度々群発地震が発生していた。だが、今回は特にひどかった。被害の大きかった悪石島では、7月3日に震度6弱を観測。その後も震度5強3回、震度5弱3回、震度4が44回発生した。埜口さんは言う。

「群発地震はこれまでにも何度か起きていたので、島民たちもある程度慣れている面がありました。過去の経験から2週間ほどすれば収まると思っていたし、5強や6弱の地震が起こるまでは、『注意はしているけど深刻には捉えていない』という感じでした」

 幸い地震は少しずつ落ち着き、大きな被害も起きなかった。だが島である以上、何か起きたときに取れる選択肢には限りがある。だからこそ島民の防災意識は高い。

 埜口さんが暮らす中之島でも、年4回ほど津波や火山噴火を想定した避難訓練を実施。島民全員が参加するという。

 群発地震から2カ月が経ち、島にも日常が戻りつつある。10月には、有人の7島をめぐる「トカラ列島島めぐりマラソン大会」が例年通り開催されることも決定した。埜口さんは言う。

「風評被害というか、『島は大丈夫なのか』と心配してくださる方もいると思います。ですが、地震をきっかけにトカラの名前が広がったのだと前向きにとらえて、僕たちは元気に暮らしていることを発信したい。島にも遊びに来ていただきたいです」

■「割れ残り」に要注意

 生活と地震を切り離して考えることができないのは、トカラだけではない。近年、日本各地で不気味な地震が頻発。その度に大災害の予兆ではないかと不安が広がっている。

 日本列島は北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレートの四つのプレート上にあり、それぞれの反発やひずみが巨大地震を引き起こしてきた。だが、その地震がいつどこで起きるのかは、まだはっきりとわかっていない。

 一体どこで多く揺れているのか。見極めるためにAERAでは、気象庁の「震度データベース」と「地震・火山月報」をもとに、都道府県別に2015年1月から今年8月13日までの約10年8カ月で震度1~7の地震が起きた「地震合計回数」を集計した。

 もちろん地震回数は規模を反映しない。また都道府県ごとに面積が異なるため、単純比較には注意が必要だ。地震活動の「現在地」を知るための手がかりにしてほしい。

      

 活断層や火山・群発地震の影響を受け、鹿児島県(5477回)や熊本県(4853回)では揺れの回数が突出している。また、宮城県(2357回)、岩手県(2384回)、北海道(2382回)などプレート境界に近い地域でも地震が頻繁に起きていることがわかる。

 地震発生回数を単年で見ると、最も頻繁に発生していたのが2016年の熊本県だ。熊本地震の大きさを物語るが、日本地震予知学会会長で東海大と静岡県立大の客員教授の長尾年恭さんは、今も注意が必要だと警告する。

「熊本地震では日奈久断層帯のうち北部しか動かず、南部は割れ残っている状態です。次はそこが破壊される可能性が高いでしょう」

“割れ残り”があるのは、熊本だけではない。福岡県の北部を東西に走る活断層帯で福岡市を通過する警固断層帯も注意が必要だ。05年の福岡県西方沖地震では警固断層帯の北西部が動いたが、南東部に割れ残りがあるとされている。長尾さんは言う。

「自宅直下の地盤や断層状況を知り、正しく警戒してください。地盤の軟らかさや液状化の可能性は、自治体の公開データで確認することもできます」

(AERA編集部・福井しほ)

※AERA 2025年9月8日号より抜粋、一部加筆