人気声優・小林千晃 挫折を乗り越えたから「今の自分がある」

アニメ『マッシュル -MASHLE-』のマッシュ・バーンデッドや、『葬送のフリーレン』のシュタルクなど、多くのアニメ作品で人気キャラクターの声を担当する、今注目の声優・小林千晃さん。そんな小林さんに、現在出演中のアニメ『光が死んだ夏』の魅力と、声優という職業への思いを“アニメ・声優オタク”の私、伊藤遼が伺いました。

■三重弁に「ネーティブにしゃべれるかなという不安も」

小林さんが主人公・辻中佳紀を演じる、アニメ『光が死んだ夏』 (C)モクモクれん/KADOKAWA・「光が死んだ夏」製作委員会 日テレNEWS NNN

小林さんが出演するアニメが『光が死んだ夏』。三重県のある集落で暮らす高校生・辻中佳紀と、幼なじみの“光”と同じ姿をした“ナニカ”が織りなす、青春ホラー作品です。小林さんは主人公の辻中佳紀を演じています。

――アニメ『光が死んだ夏』の見どころは?

僕は横浜出身なので、“田舎の風景”や“田舎の夏”っていうものに、そこまで精通しているわけではないんですけど、『光が死んだ夏』は三重県の架空の村を舞台にしているんです。それがアニメーションになったときに、じわじわした日照りやセミの鳴き声、あと村人たちのちょっとしたやりとりとかで、“日本の村の夏”感というものが、行ったことないのに、体験したことないのに、すごく臨場感を味わえるところがすごいなと思いました。

――出演が決まったときの気持ちは?

うれしさもあったんですけど、三重が舞台なので。僕は神奈川出身なので、三重弁というものをネーティブにしゃべれるかなという不安も同時にありました。「〇〇やに」とか、あまり他の関西圏でも使われないような方言が多いように思いますね。

――演じる上での苦労は?

(同じ言葉でも)シチュエーションによっても使い分けなきゃいけない部分とかもあって、“これは大変だぁ・・・”って。英語をしゃべるのに近いかもしれないですね。別言語というか。アフレコをやっていて、感情的には「すごく今、ノってやれたなぁ」って思っても、「小林さん、すみません。アクセントが違いました」ってこともありました。

■挫折を乗り越えたら「ポジティブの芽が育つ」

小林さんが語る“声優の奥深さ”とは 日テレNEWS NNN

元々は俳優を目指していたという小林さんですが、なかなか評価されず挫折を経験。夢を諦め、別の道へ進もうとしていたときに、ふと見たアニメ映画から、日本のアニメーションの技術に感動を覚え、声の芝居にトライしようと声優を志したといいます。

――声優の楽しさはどんなところに感じますか?

まったく違うキャラクターを、声の表現で表すというところにやりがいを感じています。俳優の表現だと、持つものや目線やしぐさ、表情など、すべてを使って演じるんですけど、声優はそのすべてを、声だけの情報量でやらないといけないので、聞いている人が目を閉じても、(例えば)「“冷たいもの”を“近い距離”で、“うれしい”という感情で触れているんだ」というものを伝えなきゃいけないって、お芝居一つとっても深みがより出るというか。探求しても探求しても飽きがこないです。

――夢を追いかける人たちへメッセージを送るとしたら、どんな言葉を伝えますか?

僕も俳優だった頃の挫折だとか、それ以外にもたくさん大変な思いだとか、当時はすごく苦しんだことがあります。それがすごく人生の糧になっているというか。今にして思うとそれがあったから、それを乗り越えられたから、今の自分があると思います。

みんな、やっぱり皆人生に壁はあるし、でもそれを乗り越えたときに自分の中で自信が生まれる。あの苦労を乗り越えたんだから、これぐらいの逆境へっちゃらだとか。ポジティブな芽がすごく育つと思います。壁にぶち当たったりとか、挫折している方は、今すごく苦しいと思うんですけど、それを乗り越えた先には自信やポジティブの芽が育つと思うので、逆境に負けずに壁を乗り越えていただきたいです。

インタビューを終えた、伊藤遼アナウンサーと小林千晃さん 日テレNEWS NNN

【小林千晃 プロフィル】

神奈川県出身。6月4日生まれ。『マッシュル -MASHLE-』のマッシュ・バーンデッドや、『地獄楽』の画眉丸、『葬送のフリーレン』のシュタルクなどの声で知られる。2024年にはフォトブックを発売するなど、マルチに活躍中。第十五回声優アワードで新人男優賞を受賞。

【お話を聞いて一答遼談!(編集後記)】

挫折経験はなかなか振り返りたくないものですが、小林さんは時折、笑顔も見せながら自身の過去について教えてくれました。悔しい経験を乗り越え、今の自分の糧にしている証しだと思います。小林さんの声は普段からまさにイケボ。端正なお声です。インタビューの受け答えすべてがまっすぐクリアに届きます。声だけの情報で表現することに向き合い続けている小林さんだからこそ、日常の会話でも聞いている人を幸せにするお声が出るのだと感じました。

企画・取材:日本テレビ 伊藤遼