マダガスカルの国民食ロマザバ…野菜たっぷり、独特のシチュー

ヨハネスブルク支局長 笹子美奈子

 マダガスカルの国民食ロマザバは、口に入れた瞬間「体にいいに違いない」と直感する、野菜たっぷりのシチューだ。ご飯にかけて食べると雑炊のようになる。材料は家庭によって様々で、牛肉や鶏肉、魚を煮込んで 出汁(だし) が出たところにほうれん草に似た菜っ葉をたっぷり入れ、トマト、タマネギ、ショウガを加えてさらに煮る。調味料や香辛料をほぼ使わず、簡素でありながら独特の味を醸すから不思議だ。

標高1300mの首都、オフィス街の食堂で人気

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マダガスカルの国民食とされるロマザバ

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 首都アンタナナリボのオフィス街にある食堂「ル・ロマザバ」を昼時に訪れると、多くの客でにぎわっていた。アンタナナリボの標高は約1300メートルで、冬の気温は約10度まで下がる。

 「今日は寒いからロマザバが食べたくなった。週末は家で作るのだけど、仕事の日は時間がなくてね」。近くに勤務するナンテナイン・フェノアソンさん(32)は、どんぶりの汁をすすりながら語った。

キク科のハーブ・アナマラの苦み、味の決め手に

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デラ・ガエル・ラティファディハナさん

 汁を飲み込むと舌にピリピリとした苦みがしばらく残り、喉を通るとざわっとした感覚が広がる。正体はアナマラ(オランダセンニチ)だ。キク科のハーブの一種で歯痛の薬草としても使われる。「アナマラの苦みが味を左右する。苦みがきつすぎる部分を細心の注意で取り除くのが 秘(ひ)訣(けつ) 」と料理長のデラ・ガエル・ラティファディハナさん(38)は明かす。アフリカ小ナスもほろ苦さを演出する。

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アナマラの苦みを選別する人たち

 具材は地域によって異なり、アンタナナリボではマダガスカルでおなじみのゼブ牛が使われることが多い。この店では牛骨からとる「ツカ」も秘伝の出汁として加える。

 主食ではなく、小鉢でロマザバを出す店も多い。病気の時、誕生日、冠婚葬祭と、あらゆる場面で家族の思い出と共にある味だ。

富の象徴のゼブ牛

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背中にコブがあるゼブ牛

 背中にコブがある牛で、マダガスカルでは一般的な牛肉として流通している。ステーキや串焼きとして食べてもおいしい。祭事ではいけにえとしてささげられる。

主食はコメ…消費量は日本の倍以上

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ゼブ牛を引いて水田を耕す

 アフリカではトウモロコシの粉を練ったウガリなどを主食とする国が多いが、マダガスカルの主食は米だ。1人当たりの年間米消費量は約120キロ・グラム(2023年)と世界16位で、日本の約2.3倍。朝食はお 粥(かゆ) 「バリー・スサ」に始まり、昼、夜と3食、米を食べるのが一般的だ。米を炊いた鍋でお湯を沸かし、ご飯のお焦げを溶かした「ラノボラ」は、食堂で水代わりに供され、米文化が深く根付いている。

 三期作が可能で、自給自足のため水田を耕す世帯が多く、郊外には美しい棚田や、ゼブ牛を引いて水田を耕すのどかな田園風景があちこちに広がる。だが、小規模農家が中心で生産性が低いうえ、気候変動が直撃して深刻な食料危機に陥っている。

 サイクロンや干ばつの頻度が増し、マダガスカルは世界で4番目に気候変動の影響を受けている国とされ、人口の約81%(23年)が国際貧困ラインの1日2.15ドル(約316円)以下で生活している。栄養不足の人の割合は約40%で、世界で4番目に高い。

 国内外の総支局長が、地域の自慢の味を紹介します。