早い・安い・うまい「讃岐うどんチェーン」の魅力

香川でうどんを食べるなら「こだわり麺や」がおすすめ(筆者撮影)
もし、あなたが出張で香川に行くことになったとき、何を食べるべきか。
答えは一つ。「こだわり麺や」(以下、「麺や」)のうどんである。
【画像を見る】チェーンから山奥の通好み店まで。奥深く底知れぬ魅力を持つ《讃岐うどん》の世界はこんな感じ
「麺や」は香川県内で出店を広げるチェーン。
「え、出張なのにチェーンって……?」と思ったあなた。侮るなかれ。
この「麺や」、ありとあらゆる点で最高なのである。
思い出の「麺や」
祖父母が住んでいて、幼い頃からよく香川に行っていた。家に着くなり祖父母は「麺やに行こうか」と言う。地元民の御用達なのだ。観光客もあまりいない。そのためか、すぐにうどんにありつける。

よく通った「麺や」。これは丸亀田村店。ここが1号店(筆者撮影)
いつも頼むのは、400円のぶっかけうどん。妙に美味しいタレに、コシのある麺が絡む。香川ではうどんを「飲む」。なぜなら、本当の讃岐うどんは「飲める」からだ。するっと喉の奥に入ってしまう。その感覚を初めて体験したのは「麺や」だったかもしれない。
メニューはぶっかけうどん以外にも、定番のかけうどんやしょうゆうどん、釜玉うどんからカレーうどん、しっぽくうどん(たくさんの野菜が入った、けんちんうどんのようなもの)まで幅広い。家族やグループで行っても、おのおの好きなうどんを食べることができる。
これも見越して祖父母は「麺や」に私を連れて行ってくれたのだろう。
ひょんなことから、今私は香川・丸亀と東京で二拠点生活をしている。ある意味、丸亀が地元の一つになったわけだが、やはりそんな立場でも「麺や」にいつも通っている。
地元民御用達なので、混まない!
こうやって「麺や」のエピソードを思い出すと、「麺や、出張で行くのにめちゃくちゃちょうどいいのでは……?」と思えてくる。そう思った理由を3つにまとめてみた。
① 混みすぎていない
② 立地がいい
③ 値段・味・メニューのバランスがちょうどいい
まずは、「混みすぎていない」ことだ。
メディアの影響もあって、ここ30年ぐらい、ずっと讃岐うどんは「ブーム」になっている。そんな中、有名な個人店には観光客が押し寄せ、土日はおろか、平日でもランチタイムは長蛇の列になる。

坂出にある「日の出製麺所」。昼の1時間しか営業をしないため、行列ができている。他の有名うどん屋もこれぐらいはザラだ(筆者撮影)
観光で行くならば、この列に並んでうどんを待つのもいいだろう。多くの店が店頭でうどんを打っているから、並ぶだけで楽しい気分になる。
しかし、出張でやってきたビジネスマン(これをお読みのみなさん?)は、そうはいかない。バタバタと忙しい仕事の合間、ちょっとした時間しか食事の余裕はない。悠長に列に並んでなどいられないのだ。
そんなとき、「麺や」は最高。
私の祖父母も通っていたように、そこは完全なるローカルチェーンで、地元民しかいない。だから観光地のように長蛇の列になることはなく、すぐにうどんが食べられる。店内で列を作っていても、うどん屋の回転はとても早いので、ほとんど待つことはない。

麺やの中。オーソドックスなセルフ式うどんチェーンだ。昼時は並ぶこともあるが、そこまで待つことはない(筆者撮影)
「麺や」はどれくらい地元民密着なのか。
丸亀・宇多津を中心とした情報が掲載されている「マルータ」という雑誌がある。この雑誌が2025年9月号に、読者を対象としたうどんアンケートを実施した。その中で「良く行くうどん屋は?」という質問項目があるのだが、ここで第1位に輝いたのがほかならぬ「麺や」である。本当に多くの県民が「日常」として足を運ぶわけである。
観光民に侵食されていなくて、スピーディーに、かつ気楽にうどんを食べることができる。出張にもってこいなのだ。
とても行きやすいところにある
次に、立地である。
麺やは香川県内に14店舗を構えている。高松、丸亀、坂出、宇多津、観音寺、善通寺と香川の主要都市には大体ある。その多くが郊外の大きな国道沿いにあったり、ショッピングモールの中に入っていたりするので、比較的行きやすい。

麺やフジグラン丸亀店。ショッピングモールの中にあるので、行きやすい(筆者撮影)
有名な香川うどん屋の中には、車でも行きづらい場合がある。住宅街の中、家業としてうどん屋を営むところも多いから、住宅の中をかきわけて行かなければならないこともあるのだ。こうなると、出張の合間にふらっと……とはなりづらい。
しかし、麺やならその心配はない。
また、高松駅の近くにも「高松店」と「サンポート高松店」の2つがある。なんなら、車がなくても行けるのだ。特にサンポート高松店は高松駅のすぐ裏手にあり、出張の帰り際にちょっと寄ることが可能である。
すぐ行けて、すぐ寄れる。もう、出張の人のためのうどん屋といっても過言ではない。
お値段お手頃、味最高
とはいえ、いくら出張に都合がよくても、味やメニュー、値段が伴っていなければならない。
しかし、「麺や」はそこがもう、パーフェクトだと思う。
まず、値段。あ、大前提としてなのだが、全国チェーンのうどん屋に比べて、香川県内の讃岐うどんは、サイズが大きい。特に男の人など「俺は結構食べるから『中』でいいかな〜」などと言うと、意外と後悔する人も多い。「小」でも、他のチェーンよりかなり大きいのだ。
それを踏まえて、ここからの値段の話は聞いてほしい。
まず、麺やのかけうどん(温)は税込320円である。これでかなりお腹いっぱいになる。このインフレ時代に、もはや奇跡としかいいようのない値段である。

麺やのかけうどん(筆者撮影)
その他、ぶっかけうどん、釜揚げうどん、しょうゆうどん、ざるうどん、冷やしうどんなどの定番メニューはすべて税込400円。ワンコインでおさまる。
かけうどんなら、うどん3玉(!)分の「大」でも税込550円で、そこに天ぷらやらおでんやらおにぎりやらを付けても、1000円に行くか行かないか。「うどんを飲む」香川県民だと「大」でもするっと食べている人を散見するが、出張で来た人にとってそれは至難の業。小、あるいは中で十分なはずだし、お会計は1000円にいかないはずだ。
いろんなメニューでみんな楽しめる
値段は申し分ない。では、メニューはどうか。これも、特に讃岐うどん初心者には優しい。かけうどんやぶっかけうどんなどの定番はもちろんのこと、店舗によってはカレーうどんや、しっぽくうどん(たくさんの野菜が入った、けんちんうどんのようなもの)など幅広い。

麺やのしっぽくうどん。野菜がごろごろで優しいお味。びっくりするぐらいお腹いっぱいになる(筆者撮影)
有名店だと、その店ごとに売りにしているうどんが違って、初見だとわかりづらいことがある。あるいは、1種類しか提供していないこともある。好みが分かれるグループで行くと、だれかが満足できない、ということが起こりがちだ。
しかし、麺やはメニューの幅が広いから、どんな人でも自分の好みが見つかる。実際、私が麺やに行って周りを観察してみると、人によって頼んでいるものはバラバラ。
ちなみに私のおすすめはカレーうどん。これ、本当においしい。普通のカレーうどんは「カレースープ」のように、わりあいスープがさらっとしているのが特徴だと思うが、麺やのカレーうどんは、ほぼ「カレールーそのまま」。どろっとしたルーにコシの強い麺が対決し、口の中で和解する。食べたくなってきた。

麺やのカレーうどん。ドロっとカレーにコシの強い麺が対峙します(筆者撮影)
さらに、麺やのうどんはすべてが打ちたて・ゆでたてである。新鮮な麺をそのまま食すことができるのだ。味も、本場讃岐うどんの非常にスタンダードな味である。その意味でも、出張では、まず麺やに行っておけば間違いない。
店内ではお土産用のうどんも販売している。この味が気に入ったら買って帰るといいだろう。私も東京にいる人のためによく買うが、なかなか評判がいい。出張帰りのお土産までをも用意してくれる、この上なく出張向きの店舗なのである。
「麺や」から香川のいろいろなうどん屋をめぐってみよう(今度は観光で!)
というわけで、麺やの素晴らしさについて語ってきた。
さらに私が強く主張したいのは、「出張で麺やに行ったら次は観光で香川のうどんを食べに来てほしい!」ということだ。
麺やで自分がどんなうどんが好きなのかを知れば、次に観光で香川にやってきたとき、その次に行く店の見当をつけることができるはず。
コシのある麺が好きだ、というなら「がもううどん」や「谷川米穀店」のような昔ながらの有名店がいいだろう。新しい店では、「よしや」もすべての工程を手で行っている珍しい店で、とてもおいしい。

よしやのうどん。手打ち・手切りなので、麺がいい具合に縮れていて、タレがよくからむ(筆者撮影)
釜玉うどんが好きならば「なかむら」、さらに釜玉発祥といわれている「山越うどん」がいい。変わり種の釜玉うどんであれば「うどんバカ一代」の「釜バターうどん」が最高だ(ただ、この店の裏の帝王はかけうどんを冷やした「冷やかけ」だと思っている)。

なかむらの釜玉うどん。まじで全食べ物の中で一番ぐらいに好きかも(筆者撮影)
釜揚げうどんが好きであれば、間違いなく「長田 in 香の香」に行くべきだ。

「長田 in 香の香」の釜揚げうどん。光り輝く麺に、いりこが効いただしが最高すぎる。「丸亀製麺」の釜揚げうどんが好きな人は、ぜひ食べてほしい(筆者撮影)
肉うどんは「綿谷」。ボリュームと値段、味を兼ね備えた秀逸な味である。
また、コシの中に柔らかさのある新世代の麺を求めるなら「瀬戸晴れ」なんかは、新しい食感で衝撃を受けることだろう。
さらに、セルフうどんではなく、フルサービスでゆっくりうどんを味わいたい人は「うどん本陣 山田家」に行こう(こちらは地元ビジネスマンが接待でよく使う)。
やっぱり「麺や」は最高のチェーン店
いずれにしても、そのすべての始まりとして「麺や」は最高だ。
出張に行かれた際には、ぜひ、のぞいてみてはいかがだろうか。