抗生物質不足に陥る米国:トランプ関税による身から出たサビ?
医薬品が不足する米国

さいきん米国で、抗生物質のアモキシシリンが不足してきている。原料の多くを中国に依存していたため、米中貿易戦争の影響を受けた可能性が指摘されている。トランプ関税によって国際経済が打撃を受ける中、サプライチェーンの再構築が求められているのかもしれない。
アモキシシリンの原料を中国に依存

『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙も指摘するように、この事態は世界的な医薬品供給網の脆弱性を浮き彫りにしている。原料の供給を中国に大幅に依存していることもこの問題を深刻にしている。
原料の8割を中国が握る

CNNによると、アモキシシリンなどの抗生物質を製造するのに必要な原料のうち、およそ80%を中国が握っているという。
米国の弱点?

医薬品原料の供給を1カ国に依存していることは、国家にとって大きな脆弱性となり得る。特に、中国との貿易戦争が続く米国ではその問題は深刻だ。
紛争が激化した場合のリスク

米中間で政治的・経済的紛争が激化した場合、命に関わる医薬品の米国内での供給が大幅に制限される恐れもあると警告する専門家もいる。
破滅的な事態もあり得る

米国内で唯一アモキシシリンを製造している「USAntibiotics」社のリック・ジャクソンCEOはCNNの取材に対して、中国との取引が断たれた場合、細菌感染症の流行が起きたら「破滅的」な事態になり得ると述べている。
問題はひとつの医薬品だけではない

医師などからなる団体「Americans for Safe Drugs」が集めたデータによると、米国はほかにも数多くの医薬品原料を輸入に頼っているのだという。
中国が輸入元トップ

医薬品原料に関する2021年の統計では中国が輸入元トップで、全輸入量の23%(重量ベース)を占めていたという。
米国のイブプロフェンの95%が中国由来

具体的には、米国のイブプロフェンの95%、ヒドロコルチゾンの91%、アセトアミノフェンの70%が中国由来だったという。この数字は、現在の政治状況を考えると懸念を呼ぶものだ。
市販薬の価格にも影響

実際、トランプ政権が中国からの輸入品に関税を設定したことで、抗生物質や鎮痛剤などの市販薬はすでに値上げが見込まれている。
低所得層への影響が懸念される

医薬品はこれまでも不足していたところ、関税のせいでさらにその問題に拍車がかかると専門家は警告している。また、値段が上昇することで特に低所得層に大きな影響が及ぶことも懸念されている。
対中関税は今後どうなる?

ロイター通信も報じているように、米中貿易戦争は一時停戦の様相を呈しており、トランプ政権が打ち出した非常に高い関税率は90日間停止されている。だが、この期間の後、関税政策がどうなるのか、先行きは不透明だ。
国内製造を強化

「USAntibiotics」社はアモキシシリンの国内需要を満たすため、2021年から3,800万ドルをかけてブリストルやテネシーに工場を建設してきていたという。『WSJ』紙が報じている。
外国製品との価格競争には勝てない

だが、新たに工場を建設しても、低コストな外国製品との競争には勝てておらず、政府からの援助がなければ18ヶ月以内に閉鎖を余儀なくされるという。今回のアモキシシリン不足問題は米国における医薬品供給網をどう構築するか、再考を迫る課題と言えるだろう。
原料の供給を外国に依存するのは危険

専門家らは、基本的な医薬品をすべての国民が安価に入手可能な状態を維持するためには、原料の供給を外国に依存することは危険だと指摘している。
トランプ政権下ではより重要なアドバイス

そういった指摘は一般論としてもうなずけるが、トランプ政権が実質的に全世界を相手として貿易戦争を挑んでいるような現在の状況では、なおさら無視できないものだろう。
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