ハンマーで遠慮なく叩ける!「アンビル」の使い心地が想像以上だった

●思いっきり叩きたい時、どうする?, ●とりあえず小型のアンビルを買ってみた, ●小さな金属部品を扱うなら「ミニレールアンビル」, ●工具のメンテやカーブを利用した整形に「金床」, ●力の伝わり方が明らかに違う!

 ハンマーといえば、釘を打つというのを真っ先に思いつきますが、ノミやポンチといった工具へ力を伝える道具としてもよく使われます。また、組み立て時に直接部品を叩いて押し込む、軽く叩いて位置の調整を行う、といった用途もあります。

 どの場合でもそうですが、力を安定して伝えるには、叩く対象の下に置く作業台が大切。柔らかいものの上では力がうまく伝わらず、何度も叩いて傷つけてしまったり、逆に力を入れ過ぎて対象を壊してしまうこともあるからです。また、何も置かずに作業すると、台替わりにした机や床を傷つけてしまうこともあります。

 適当な木材を下に置くだけでも結構違いますが、木材だとまだ柔らかく、とくに小さな金属部品などを扱うには不向き。軸にギアを取り付けたいのにめり込んでしまう、バネ口金にビスを打ち込みたいのにバネ口金が木材に刺さる、といった失敗はありがちでしょう。

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手芸用のバネ口金。端にビスを打ち込んで止めますが、台がないと結構大変

●思いっきり叩きたい時、どうする?

 こういった時の作業台として便利なのが、アンビル(金床)。イメージとして思い浮かぶのは、刃物の鍛造といった金属加工で使うものですね。真っ赤に加熱した鋼を叩き伸ばしたり、形を整えたりするときの台として使用します。ゲームのアイテムとして出てくることも多いので、実物は知らないけれど名前は知っている、という人も多いでしょう。

 アンビルはほぼ鉄の塊ですから、とにかく重たくて硬いのが特徴。ハンマーで叩いても簡単には動かず、安定して作業できる台となってくれます。もちろん鍛冶用としてだけでなく、金属管の端を叩いて潰す、凹みを直す、リベットを叩く、緩んだ接合部を叩き締める、製品分解時にプラケースを叩き割るなど、様々な用途で活躍してくれます。

 大きくて重たいものほど使いやすいですが、かといって、数十キロのアンビルを手に入れるのは考えもの。移動するのが大変ですから、不使用時にしまっておきたいならなおさらです。

 そこで、1キロくらいのホビー用アンビルを試してみようと製品を探してみたのですが、ここでふと思いました。突き出したツノの部分、あまり使わなさそうですよね。ということで、ツノのないコンパクトなレール型のアンビルから選んでみることにしました。

●とりあえず小型のアンビルを買ってみた

 いろいろな製品があるのですが、とくに気になったのが約400g、長さ70mmという軽くてコンパクトな「ミニレールアンビル/DR-70」(実売価格1072円)。土牛産業の製品で、製造中止となってしまっていますが、まだAmazonなどで入手可能です。

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ミニレールアンビル。アンビルの中ではかなりコンパクト。実売価格1072円

 もうひとつは、同じく土牛産業の製品で、シンプルに「金床」という名前がついている100mmサイズのものです(実売価格3362円)。こちらもレール型のアンビルですが、角が丸められていたり、角度が付けてあったりするのが特徴です。

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100mmサイズの金床。角が丸められ、側面に角度が付いています

 本来の用途は、カンナの裏出し(刃の裏にある凹みを叩き出す作業)や、ノコギリのアサリ(刃を左右に振って角度を付ける)用ですが、この形が金属部品の凹みを直したり、角度を付けたりといった整形・加工に便利そうだと思い、選んでみました。

 ということで、この2つのアンビルを試してみましょう。

●小さな金属部品を扱うなら「ミニレールアンビル」

 ミニレールアンビルの魅力は、なによりそのサイズ感。実測で約70(幅)×50(奥行き)×50(高さ)mmとコンパクトで、手のひらに乗るほど小さいです。

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まさに手のひらサイズ、という感じでカワイイ

 このサイズであれば、工具箱などにしまっておくのも余裕。それでいて約400gとずっしりした重さがありますから、小さい部品を扱うのにかなり便利です。作業台としてはもちろんですが、材料の仮押さえとか、ズレないように使う重しとしても活躍してくれます。

 当然、大きな材料や部品を扱うのには向いていませんが、棒材の端を潰して抜け止めにする、潰し釘を作る、ピンを打ち込む、叩いてカシメ直すといった細かい作業であれば、かなり実用的に使えます。

 コンパクトなアンビルといえば板状の製品もありますが、こちらは高さがあるのが強み。高さがあるとL字やコの字状のものを扱えるほか、端を使った曲げ加工もやりやすくなります。

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高さがあるので、L字の部品もそのまま叩けます

 真価を発揮するのは、やはり小さいものを加工するとき。試しに0.5mmのアルミ板を丸め、1.5mmのステンレス棒に巻いてヒンジっぽいものを作ってみましたが、わずかな力加減もしっかりと伝わり、非常に作業しやすく感じました。

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アルミ板を軽く丸め、棒にフィットするよう叩いて調整。こういった細かい作業に便利でした

 また、台へと取り付けられる穴があいているのもポイント。大きな木材にネジなどで止めてしまえば、動いたり、ひっくり返ったりといったことが激減します。小さいのが特徴とはいえ、作業中に動いてしまうと困るだけに、うまく活用しましょう。

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木材などに固定すれば安定し、作業しやすくなるのでオススメ

●工具のメンテやカーブを利用した整形に「金床」

 ミニレールアンビルは小ささが魅力ではありますが、力を入れて叩くのであれば、さすがに小さすぎます。より大きな部品や素材を扱うのであれば、もう少し大きなサイズを検討する方がいいでしょう。

 こういった目的にちょうどいいのが100mmサイズの「金床」。実測約100(幅)×120(奥行き)×115(高さ)mmで、重量約3300gという製品です。ミニレールアンビルと比べると、重量比で8倍以上、作業面の広さも3倍以上と、かなり大きくなっています。

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ミニレールアンビルと並べると作業面が広く、サイズも大型

 通常のアンビルと違うのが、角が丸められているうえ、側面辺りが浅い角度でカットされていること。この形を上手く利用すれば、平面だけでなく曲面加工をしたり、特定部分に力を加える、というのがやりやすくなります。

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片方の端が丸められ、側面も片側だけ浅い角度が付いています

 ステンレスのボウルをハンマーで叩き、凹ませた部分を戻してみましょう。凹み部分にアンビルを当て、樹脂ハンマーで叩き出してみました。

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ステンレスのボウルに凹みを作ったところ。ハンマーで叩きました

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樹脂ハンマーで叩き出し、直したところ。思ってたより簡単に戻りました

 目論見通り、角の丸みがいい感じに凹みにフィットし、結構簡単に叩き戻すことができました。表面に凹凸の跡は残っていますが、機能的には元の形状にまで直ってくれています。

 続いて0.5mmのアルミ薄板を小さなハンマーで軽く叩き、曲面が作れないか試してみました。金属で曲面を作るのは難しそうだったのですが、やってみれば結構できるものですね。打ち跡が残るので、見た目はあまりよくないですが。

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左右だけでなく、前後も緩やかなカーブを付けてみたところ。こういった加工もできました

 とはいえ、より急な角度で曲げたい場合には不向き。この場合は、素直に角付きのアンビルを選ぶ方が向いているでしょう。

 まあ、そもそもの話として、アルミ薄板の曲面加工をするなら、柔らかくて素材を傷付けにくい木材を台にする方が向いていたりもしますが……。

 ちなみに、角の丸みや角度付けがいらないというのであれば、「レール床」(実売価格3400円前後)という加工されていないアンビルもありますから、そちらを選ぶといいでしょう。

 さすがに3キロを超えるアンビルは安定感があり、アルミリベットを叩いても音の響きや振動が少なめ。そのおかげか、ミニレールアンビルよりもリベットが潰れやすく感じました。しっかり叩きたいのであれば、重くて大きいアンビルが正義です。

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重量のある台に支えられ、力がしっかりリベットに伝わります

●力の伝わり方が明らかに違う!

 私はこれまで、軽く叩くだけだから……と、これといった作業台は用意せず、机の上や適当な木片の上で叩いていました。

 しかし今回、アンビルを使ってみてびっくり。明らかに力が伝わりやすく感じ、跳ね返りやズレなども減って、作業しやすいです。また、力が逃げにくいため、叩く力の微調整がしやすいというのもメリット。プラケースを割って分解するというときでも、内部へのダメージを最小限に抑えられるでしょう。

 細かな加工をしたい場合はミニレールアンビルでも十分ですが、同じ作業でも、より大きく重たい100mm金床の方が安定感がありました。最終的には個人の好みですが、とにかく小さいのがいいならミニレールアンビル、作業のしやすさや使いやすさを重視するなら、100mm金床を選ぶとよさそうです。

●お気に入りポイント●

・高さがあると立体物の加工がしやすい

・ミニレールアンビルは細かい金属加工に◎

・力を入れて叩ける100mm金床の安定感がすごい

■関連サイト

  • 製品情報
  • 土牛産業

この記事を書いた人──宮里圭介

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 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。

  • みやさとけいすけ(twitter)