トランプvs.ハーバード大学の対立が激化…!大統領の逆鱗に触れた「エリート大学の体質」

トランプが求めているのは「多様性」, アメリカ・エリート大学の極端な政党支持, ジェンダーに気を遣う, 北朝鮮からの脱北者もびっくり, 実力よりもマイノリティー優先, 学外インティファーダの是非

トランプvs.ハーバード大学の対立が激化…!大統領の逆鱗に触れた「エリート大学の体質」

トランプが求めているのは「多様性」

トランプ政権とハーバード大学の対立は、どんどんとエスカレートしている。

既に広く報じられているとおり、トランプ側はハーバード大学側に「多様性」「平等性」「包括性」を重視するDEI教育を行うことを見直すことや、反ユダヤ主義の活動を行った学生の処分などを求めている。要求に沿わないと大学への補助金を打ち切る姿勢を鮮明にし、既に22億ドル(3100億円)以上の補助金が凍結され、6000万ドル相当の契約を停止した。

ハーバード大学が折れる姿勢を見せないことから、トランプ政権はさらに70億ドル(約1兆円)相当の連邦資金の提供を打ち切り対象にする姿勢を見せるまでに至った。

こうした強硬な政権側の動きに、ハーバード大学はトランプ政権を連邦裁判所に訴えるに至った。

報道だけを見ていると、トランプのやり方には信じられない思いを持つのが普通だろう。

だが、その内容を詳細に見ていくと、トランプ側の主張がさほどでたらめなものではないことがわかるのではないかと思う。

トランプ政権が4月11日にハーバード大学のアラン・ガーバー学長に送った手紙の中には、「入学許可と雇用における視点の多様性」を求める内容が書かれていることに、まずは着目してもらいたい。

「多様性を否定しているのがトランプではないのか?」と首を傾げる人もいるだろうが、本当の話だ。

アメリカ・エリート大学の極端な政党支持

これについては、スペインのナバーラ大学の政治哲学の研究者であるデイビッド・サンダー氏のXへの投稿が参考になる。

サンダー氏は2018年に実施されたブルックリン大学の経営学のミッチェル・ラングバート准教授が、全米での上位校51校の終身在職権を持つ博士号保有教授8688人の政党所属を調査したところ、全教員のうち約60%が民主党か共和党のどちらかに登録しているが、そのうち90%が民主党に登録していることを明らかにした。

分野別に見ると、人類学では政党登録している終身教授の100%が民主党だ。宗教学では98.59%、社会学では97.77%、環境学では96.20%、哲学では94.59%、歴史学では94.57%、政治学では89.13%が民主党となっている。

ニュージーランドの高等教育機関のオタゴ・ポリテクニークのデイビッド・ロザド准教授も、ミッチェル・ラングバート准教授の2022年の別の調査結果を引用して、ハーバード大学では政党登録している教員のうち99%が民主党であることを伝えている。

ちなみにプリンストン大学は98%が民主党、イェール大学は97%が民主党である。

本来の大学は、右寄りの先生もいれば、左寄りの先生もいて、様々な考えに触れて揺さぶられながら、自分の考え方を磨いていくべきものではないのか。その中で特に尊敬でき、強い影響力を与えた先生がとりわけ左寄りだった、だから自分の考えも左寄りになったというのであれば、それは特に問題視すべきことではないだろう。

だが、教員の中に左翼系の先生ばかりがいて、左翼的な考え以外はもはや考えではないかのような環境の中で、そうした考えが植え付けられているのであれば、それは大いに問題があるということにならないだろうか。

だからトランプ政権は大学側に対して「視点の多様性」を求めているのである。

アメリカの一流大学を卒業して社会のエリート層としての役割を果たすことが期待される若者たちが、様々な考えに触れる中で柔軟な思考形成をする機会が奪われているのは国家的な損失であると、トランプ政権は考えているのだ。

ジェンダーに気を遣う

日本においても歴史を中心に左翼系の偏向教育が問題視されてきたが、実はアメリカの偏向教育は日本をはるかに上回る。

麗澤大学国際学部のジェイソン・モーガン准教授はアメリカの出身だが、日本の歴史教育が左派系に偏向していることを認めながらも、その偏向ぶりはアメリカと比べたら遥かにましだと語っている。

モーガン准教授は、大学にやってくる学生たちの中にはもともといろんな人がいるのは当たり前だし、いろんな人たちがそれぞれ抱える細かな違いをいちいち気にしたりしないのが当然ではないかと考えている。

そうした中には性的少数者とされる同性愛者、トランスジェンダーなどもいるだろうが、授業を行うにあたって誰がどうなのかなんてことに関心を払う必要もないものだろう。

だが、アメリカの教育ではそういったことをわざわざ気にしなければならなくなっていて、そういうことを全く気にしない対応を取ると、少数派に対する配慮のない「差別主義者」だとされてしまうのだ。

差を全く気にしない、差を見ようともしないというのは、究極の平等的な取り扱いではないかと私には感じられるが、アメリカでは逆に「差別主義者」扱いになってしまう。

だから例えば、生物学的には男性だが、当人の意識では女性だという学生に対して、自認の性別に対する十分な「配慮」をせずに he を使って表現してしまうと、大学から追い出されることにもなりかねない重大問題として扱われてしまうのだ。これが今のアメリカの大学の空気である。

北朝鮮からの脱北者もびっくり

脱北して苦労してアメリカに渡り、名門コロンビア大学に入学したパク・ヨンミという女性がいる。彼女は大学のオリエンテーションで、「高慢と偏見」などで知られるジェーン・オースティンなどの古典文学が大好きだと、大学のスタッフに話した。そうしたらその大学のスタッフから、そうした作家たちは植民地的思考を持つ人種差別主義者で、あなたは無意識のうちに洗脳されているのだと言われたという。

授業が始まると、先生たちもクラスメートたちも北朝鮮を上回るほどの反米プロパガンダに感染していることに気づいて、彼女は驚いた。

彼らは自分たちがいかに抑圧されているかについて語るが、体制を批判するような自由な言論が許されず、餓死する人たちも多くいることを幼い頃から見てきた北朝鮮出身の彼女には、それが実に奇妙に感じられた。

彼らの中には餓死者が出ているわけでもないし、トランプを独裁者だとどれほど口汚く批判しても、過激な暴力行為に走らない限り、逮捕されることもない。

本当に抑圧され、本当に自由がないとはどういうことなのかを、幼い頃からの体験として身を持って知っているパク氏からすれば、彼らは自由の尊さを理解しないどころか、自ら洗脳されることを選びながら、そのことが理解できないということになる。

かつての日本にも、過激な学生運動が広がった時期があった。主として現在の70代、80代の人たちが学生運動世代ではないかと思うが、当時学生運動に走っていった人たちは、良識のある人間であれば、左翼的な考えを持つのは当たり前だと、少なくとも当時は考えていたことだろう。

そんなかつての日本以上に左翼系の考え方に染まっているのが今のアメリカの大学の実際で、パク・ヨンミ氏に言わせれば、「アメリカは北朝鮮よりも狂っている」ということになる。

実力よりもマイノリティー優先

さて、トランプ政権がハーバード大学への手紙の中で大学改革の内容として求めている別のことに、「実力主義の入学制度改革」というものがある。

DEI路線のもとで進められているのは、男性より女性、女性よりトランスジェンダーのような性的マイノリティ、白人よりヒスパニック、ヒスパニックよりも黒人やネイティブアメリカンを優先させるために作り上げられた、逆差別プログラムとも呼ぶべき入試選考だ。

アメリカではかつて黒人を奴隷として扱うなどの差別の歴史があったことがその背景にあるとされるが、私はその理屈の根拠も薄いと考えている。

というのは、アメリカにおいて歴史的に差別されてきたアジア系も、白人同様に逆差別を受けているからだ。

アジア系の人たちは小さい頃からよく勉強する傾向が強いが、そういう傾向にある以上、成績のみに従って大学受験の合否を決めると、上位校に占めるアジア系の割合が、人口比で考えると当然高くなる。それは避けるべきこととして、アジア系は大学入試で差別的な扱いを受けているのである。

第二次世界大戦では日系人は私財を没収されたうえで、強制収容所に隔離された。当時は日本はアメリカの敵国だから仕方がないとの見方もあるだろうが、ドイツ系やイタリア系の移民たちは日系人のような強制隔離をされたわけではないことからすれば、やはり日本人(あるいはアジア人)に対する差別意識があったのはまちがいないだろう。

さらに当時は、日系人ばかりの兵士からなる442連隊が形成され、とりわけ厳しい戦線ばかりに投入された。連隊員たちは戦闘で重傷を負っても、傷が癒えると連隊に復帰し、戦い続けた。442連隊ののべ死傷率は314%にも達するが、こんな過酷な死傷率を経験した連隊は史上例を見ない。

この死傷率の高さは、彼らがいかに並外れて勇敢だったかを示すものでもあるが、彼らに対する扱いがいかに乱暴なものであったかも示すものでもあり、それは彼らの命がどれほど粗末に扱われていたかを示すものだとも言えるだろう。

そうした歴史的な差別を差別としてひがむことなく、持ち前の勤勉によって運命を切り開いていった日系人たち、アジア系の移民たちは、その努力によって社会から優遇されるどころか、今なお差別されているのだ。随分とひどい話ではないか。

インド系のビジャイ・チョカリンガム氏は、インド系であることを正直に申告して出願すると、入試で合格するのは無理だからと、地黒であることを利用してアフリカ系であると偽って、医学部に進学できたことを、正直に語っている。彼は医者の家庭で育ち、経済的な苦労はなく、本来のDEIの理念からすれば、むしろペナルティを課されるべき側にあったのではないかとさえ思っている。

だが、そんなことよりも出自こそがものをいうのがDEIの実態だと、チョカリンガム氏は指摘している。

それはともかくとして、DEIを理由として、性的マイノリティや黒人たちをなぜか優遇することを正当化するのはおかしい、それをやめろというのは、私は当然のことではないのかと考える。

教員が「リベラル」派に偏っているのは、もともと金儲けが嫌いな人たちが大学に残りやすいということもあるだろうが、「リベラル」派勢力が自分たちの勢力拡大を狙って意図的な努力を長年にわたって継続してきたことのほうが、大きな影響を与えているのではないかと思う。

学外インティファーダの是非

さて、トランプ政権がハーバード大学の非課税資格の取り消しにまで動こうとしているのはさすがにやりすぎだと思っている人もいるだろう。

だが、高等教育機関が本来の役割を果たさず、国家や現体制を打倒の対象と考える左翼的な人間を養成する機関として機能するなら、それはもはや国家が求める教育機関ではなく、政治活動団体に過ぎないという判断にも、一理あることは理解できるのではないか。

今から1年前に、コロンビア大学のハミルトンホールが親パレスチナ・反イスラエル系の学生によって武装占拠された。彼らは民衆蜂起を意味するインティファーダをスローガンとして掲げていたが、大学側はこうした学生たちのまともな処分を行わずにいた。

このまま放置すれば、総額4億ドル相当の助成金と契約を取り消すとトランプ政権が伝えたことから、ようやく学内の委員会が動いたというのが実際だ。

これを「コロンビア大学はトランプ政権の圧力に屈した」とだけ報道するのが、主流派マスコミなのである。

ハーバード大学においても「インティファーダ・レボリューション」を掲げて、学内キャンプの動きが広がった。

こうした過激な運動を自らの責任で取り締まるのは、大学で「自治」を語る以上、前提ではないのか。それができてないがゆえに、こうした政府の介入を招いていることには、私は大学側の責任が重大だと考える。

トランプ大統領が極端な関税政策で世界を混乱に陥れ、「カナダを51番目の州にする」などのとんでもない主張も行っているのは事実だが、やること全てを否定的に取るのではなく、是々非々で理解したいものだ。