ガンダムが大阪・関西万博に立つ意味体感 宇宙とのめぐりあい、没入感で問う人類の未来

「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」で窓の外に現れたガンダム=大阪市此花区の夢洲(門井聡撮影)(C)創通・サンライズ
「モビルスーツ」と呼ばれる巨大ロボットが宇宙や地球を舞台に戦いを繰り広げる人気アニメ「ガンダム」シリーズ。その壮大な世界観を再現したのが、バンダイナムコホールディングス(HD)が大阪・関西万博会場(大阪市此花区)へ出展してきた「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」だ。圧倒的なリアリティーとエンタメ性でファンだけでなくガンダムを知らない人も没入させ、人類の未来について考えるきっかけを与えてくれる。

パビリオンのそばにある実物大のガンダム=大阪市此花区の夢洲(門井聡撮影)(C)創通・サンライズ
まず来館者を驚かせるのが、ガンダム館のそばにある高さ約17メートルの実物大のガンダム像。左ひざを地につき、右手を天に向け伸ばしている。宇宙と未来に手を差し伸べるポーズという。10月13日の万博閉幕が近づいても、前で記念写真を撮る人が絶えない。
ガンダム館が描くのは西暦2150年の世界。来館者は、夢洲のターミナルから宇宙ステーションへと向かう全長約3万6千キロの「軌道エレベーター」に乗り込む。
エントランスから搭乗ロビーへ移りエレベーターに入ると、天井や壁の窓に流れるリアルなアニメ映像によって、青空、そして無数の星が輝く宇宙へ、吸い込まれるように猛スピードで上昇していく体験を味わえる。
途中、作業しているモビルスーツ「ザク」の巨大な顔がのぞき込んでくるなど遊び心と迫力が満載。ザクは白系のカラーでアニメシリーズのようなカーキ色ではない。川口研二館長によると「戦闘用ではなく、平和利用されているという意味合いを込めた」という。
エレベーターは宇宙ステーションに到着。窓から見渡せる宇宙空間では、何体ものモビルスーツがスペースデブリ(宇宙ゴミ)の回収にいそしむ平和な光景が広がっている。
そして緊急事態が発生。デブリの一つの中から突然、不気味なモビルスーツが現れ、ほかのモビルスーツを攻撃し始めたのだ。デブリに化け、だれかが触ったら暴れるようになっていた「MSN-X17 ジオング タイプMA」。止めようとほかのモビルスーツが挑むがかなわない。来場者は「緊急退避ポッド」への移動を強いられる。窓の外にさっそうと現れた〝救世主〟が緊急発進したガンダムだ。

軌道エレベーターでは宇宙を上昇していくリアルな体験を味わえる=大阪市此花区の夢洲(門井聡撮影)(C)創通・サンライズ
猛スピードで飛び交うガンダムとジオングの死闘の光景は、ポッドの振動とあいまって圧倒的な没入感。その結末は-。
このバトルは「いのち」を大切にする万博の重要なメッセージを伝えているといえる。どのモビルスーツも操縦しているのが人工知能(AI)で、人間同士の殺し合いは起きないからだ。
また、同行した大阪公立大の橋爪紳也特別教授は「ウクライナ・ロシア戦争に多数のロボットが投入されている現実を考えると、実はリアルな世界観だ」と指摘。「平和な世界が一瞬にして、ロボットやAIの暴走で覆るかもしれないという警鐘にもなっている」とも語った。
専門家の監修も得て高いリアリティーを実現したガンダム館。川口館長は「日本のアニメ・漫画文化を発信する上で、楽しんでもらえるエンタメ性をいかに盛りだくさんにできるかを重視した」と話す。
心が楽しめば、受け取るメッセージはしっかり心に刻まれる。未来へのメッセージを広く確実に伝えたいという万博の思いを、ガンダム館は最大限に発信してきたといえる。(山口暢彦)