大混雑の万博、目をつぶって歩いてみました

Photo: 小野寺しんいち
これさえあれば、目の見えない人でも万博を楽しめる。
誰でも体験できる、未来の歩行補助ロボット、万博で試してきましたよ。
AIスーツケースが、広くて混んでる万博の移動を支える?

Photo: 小野寺しんいち
スーツケース?と見違うこれは、視覚障がいのある方向けに開発されている自律型ナビゲーション・ロボット、その名も「AIスーツケース」です。
センサーやモーターが備わっており、人や障害物を避けながら、目的地まで使用者を連れていってくれるんです。
万博ってとにかくめっちゃ広い。それに、毎日10万人から15万人もの人が訪れていて、常に人でごった返してます。
そんな環境で、目の見えない方も行きたい場所に行け、人混みでも歩ける状況をつくるのは、意義深い取り組みですよね。
握るだけで動く、離すだけで止まる
実際に、筆者も体験してみました。今回は目をつぶって使ってみます。
AIスーツケースが置かれている「ロボット&モビリティステーション」から、大屋根リングの下へ。さて、連れて行ってくれるかな?

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連携しているスマホに入った独自アプリから目的地を設定したら、いざ出発!
これ、ハンドルを握るだけで動くんです。というのも、ハンドルの下にセンサーがついていて、握ることで始動、離すと停止してくれます。目を瞑っていても、直感的に使えていい感じ。
急に止まらないといけない時、あるいは転倒時などに、手を離す一瞬の動作でロボットもちゃんと止まってくれるのは安心です。
地図データとLiDARセンサーで、リアルタイムに向かうべき道を判断

Photo: 小野寺しんいち
動き出したロボットは、グググッと自律的に私を引っ張ってくれました。真っ直ぐ、時に左右に曲がりながら、障害物を避けて進みます。
事前に取り込まれた万博会場の地図データをベースに、リアルタイムで読み取った前方の状況も組み合わせてルートを判断。前に壁があっても、本体に複数取り付けられたLiDARセンサーで最大50mの距離を測定し、ぶつからないよう最適な道筋を見つけてくれます。

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進行方向は、ハンドル表面に取り付けられた回転式の方向指示器で教えてくれるのがまた安心ポイントです。使用者は、ここに親指を置いておけば、方向指示器の上に突起した線の向きで、自分がこれからどの方向へ進むのかわかるんです。
目を閉じていると、これからどこに連れて行かれるのか不安を感じますが、これがあることでとても心が落ち着きました。
移動補助だけじゃない、音声入力にも対応
さらに便利なのが、AIスーツケースと音声入力でやり取りできること。骨伝導式のヘッドセットから、近くのパビリオンについてたずねたり、行き先を変更したりすることができました。
まだ万博関連の応答に限られていましたが、これから改良が進んでChatGPTのボイスモードのようにあらゆることを教えてくれる存在になったら、すごく便利になりそうですよね。
人混みでもちゃんと頼れるパートナー

Photo: 小野寺しんいち
そしていよいよ、たくさんの人が行き交う大屋根リングの下にやってきました。前から後ろから左右から、人が通り過ぎていきます。目を瞑っている状態だと、かなり怖い...。
しかしAIスーツケースは、人が近づくたび止まって、安全を確保してくれました。内蔵のRGB-D(深度)カメラが歩行者を認識し、停止、あるいは避けて進んでくれます。

Photo: 小野寺しんいち
リアルタイムで状況を捉え、安全なルートを導き出していくのは、マシンにとっては超高負荷作業。ただ、使用者の安全に関わることなので、高速かつ高精度で処理していかなければなりません。
こうした難しいチャレンジを解決しているのがAIスーツケース内蔵のGPUです。膨大な画像データを高速処理するプロセスが常に走っているのですね。
目をつぶって味わった安心感と万博の"意義"

Photo: 小野寺しんいち
今回、目をつぶって体験したことで、かなり安心して使えると感じました。AIスーツケースはゆっくりと無理のない速度で、着実に進んでくれる。AIによる音声ガイドも含め、まさに頼れるパートナーです。そしてその重厚さが、不思議なほど信頼感を生んでいました。
また目をつぶることで、視覚に頼れない人がこうした場所を移動する際の困難さを理解できたのが何よりもよかったです。
万博では、高齢の方や足が不自由な方の移動を支援するパーソナルモビリティなど、さまざまな最新テクノロジーを体験できます。こうした技術に気軽に触れられることは、さまざまな立場の人の視点に気づくきっかけにもなります。
国や文化の違いを超えて、多様な人々の立場について考えることができる──まさに、今回の万博のテーマ、「いのち輝く未来社会のデザイン」にぴったりの体験。体験でした。

Photo: 小野寺しんいち
現在はまだ、事前にデータ化できているエリアでの使用に限定されていましたが、これからさらに進歩していけば、目の見えない人にとってもっと世界がひらけていく素晴らしいマシンになると思います。
ちなみに、会期中にも随時万博内の地図データは拡大しているようで(あるパビリオンのマップを作成中とのことでした)、万博内でももっと使いやすくなるのかも。
さまざまなロボットの実装・実証を行う取り組み「ロボットエクスペリエンス」の一環として開催されているAIスーツケースの体験は、誰でも参加できます。
もし参加される際は、是非目をつぶって体験してみてください。そうすることでこのマシンの素晴らしさに気づけるはず。
予約はこちらから。(ちなみに東京にある日本科学未来館でも体験可能です)

8月12日の時点ですでに1700組ほどの人たちが体験しているそう。大規模なパビリオンもいいですが、こうした"手触り感のある未来"も、なかなかワクワクする体験になりますよ。
Source: 日本科学未来館