「小泉びいき」の維新・吉村洋文代表は連立入り見えて上機嫌 2度ダメ出しされた「大阪都構想」もついに実現か

日本維新の会代表の吉村洋文大阪府知事が上機嫌だ。
理由のひとつは維新が推進してきた大阪・関西万博が終盤になって盛り上がり、来場者数が急増していることだ。万博協会は9月27日に来場者数が2500万人を超えたと発表した。これを受けて吉村氏は自身の動画サイトで、うれしそうに語っている。
「総来場者数2500万人超えて、いま、大体(毎日)20万人、間違いなく来ている。というか、もう予約で埋まって入られへん状態になってるから、それ勘定したら(閉幕までに)2800万人いきます」
万博の誘致段階から目標として掲げてきた来場者数「2820万人」が見えてきたからか、吉村氏の口調もなめらかだ。
維新の大阪選出の衆院議員A氏は、こう話す。
「万博ではさんざん批判されてきたから、吉村さんは見返してやったという思いでしょう」
もっとも、「総来場者数」には万博の運営スタッフやメディア関係者などの人数が含まれている。チケットで入場した一般入場者数は9月28日までに約2221万人で、愛知万博(2005年)の約2205万人は超えたが、閉幕の10月13日までに一般入場者が目標の2820万人に達するのは難しいペースだ。
■目の前に迫っている連立入り
吉村氏の上機嫌の理由はもうひとつある。前出のA氏が言う。
「自民・公明との連立入りで政権参加が目の前に迫っていることです。嬉しくてたまらないのでしょう。連立入りをいちばん推進しているのは吉村さんですから」
自民党総裁選では、吉村氏と蜜月な関係にある小泉進次郎農林水産相がリードしているという見方が強い。吉村氏は会見などで、新総裁から連立協議の話があれば応じると話しており、看板政策である「副首都構想」と「社会保険料引き下げ」の実現を条件に、連立入りする可能性が高い。
「万博を視察にきた小泉氏を長時間アテンドしたのは吉村さん。あれ以来、すっかり小泉びいきです。小泉氏と一緒に連立を組みたいという思いをひしひし感じます」(A氏)

■副首都の要件に入れた「特別区」設置
維新は9月30日に、「副首都」構想を具体化する法案の骨子をまとめた。これを受けて吉村氏は記者団に、「東京一極集中ではなくて、首都圏と伍するような経済成長するエリアをつくり、日本経済を引っ張っていく」と、副首都について“一般的”に語ったが、先のA氏は「副首都の場所」について、こう話す。
「そんなもん、大阪に決まってますよ。維新は大阪から生まれた政党なので、大阪ファースト。他の地域の議員には悪いですが、衆院選で大阪の小選挙区をすべてうちがとっている。大阪でしっかり牙城を築けばいい。名古屋や福岡に副首都なんてありえない」
まとまったばかりの「副首都機能の整備に係る立法措置 骨子」の「副首都機能を整備すべき道府県」の要件を見ると、こう書かれている。
〈大都市地域における特別区の設置に関する法律による特別区の設置が行われていること〉
どういう意味か。9月に維新から離党(後に除名処分)した守島正衆院議員は、この骨子について、SNSに次のように投稿した。
〈私が維新にいた時に内部では副首都と都構想は切り離し、まずは直に大阪の副首都指定を目指すべきと訴えておりましたが、やはり副首都申請の要件の中に特別区の設置「都構想実現」が入ってきましたね〉
維新はかつて大阪府と大阪市の二重行政を解消するため、大阪市を廃止して特別区にするという「大阪都構想」を目玉にしていたが、住民投票で2度否決された。そこで新たに「副首都構想」を掲げたのだが、「副首都」の要件に「特別区の設置」を入れたということは、「副首都」は「都構想」の実現を前提としていることになる。住民投票でダメだった都構想を、連立入りによって法律化して実現させようという意図が明白なのだ。骨子には、国会が承認すれば、「都」に名称変更できるとも書かれている。
A氏も認める。
「住民投票では大阪都構想は2度もダメ出しされた。住民投票などでかかった関連費用は100億円ともいわれ、3度目の大阪都構想は正直、府民や市民には受け入れられないと思う。それなら、連立与党入りして、国の法律で大阪都構想を実現しようという流れだ」

■「公明党には納得してもらう」
一方、総裁選真っただ中の自民党幹部一人は、維新との連立は既定路線だと話す。
「新総裁が10月4日に選出され、10月14日前後に首班指名があり、自民党総裁が総理になる。その時点ではまだ時間が足らず、自公連立だけでしょう。ただ、首班指名が決選投票になれば、維新に自民党に投じてくれるようにとの働きかけはすることになる。それくらいまで、連立の交渉が進んでいるようです。大阪で維新とガチンコで対決している公明党からはダメだと言われているが、最後はなんとか納得してもらいますよ。維新以外の他党? 可能性はほぼないですね」
連立入りが「当確」なようにも見える維新。A氏は万博来場者の目標だった2820万人の達成にこだわる。
「吉村さんは万博の目標達成という実績をひっさげて、自民党から好条件を引き出し、連立入りへ進みたい。党内では早くも、『どの大臣がうちにまわってくるの』と言い出す議員もいますよ。ただ大臣ポストほしさに連立入りしたといわれると嫌なので、辞退するかもしれない。条件次第では閣外協力の可能性も残っています」
党勢の低迷が続いていた維新。万博の目標達成、好条件での連立入りと、吉村氏の上機嫌は、総裁選の後も続くのだろうか。
(AERA編集部・今西憲之)