「お受験でダメになる子」の親が見落とす5つの点

その勉強、イヤイヤさせていませんか?(写真:Hakase/PIXTA)
受験を楽しんで勝つために必要なこと
小学校・幼稚園受験がかつてでは考えられないほど一般的になっています。現代の「お受験」は、子どもだけでなく親も本気で向き合わなくてはならない厳しい試練なのです。
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そうした大変な受験をいかにして乗り越え、「楽しんで勝つか」について、さらに踏みこんで書きたいと思います。
まず前提として、前回も書きましたが、受験することに対して、子どもを支える親の「目的」がブレないことが大切です。
受験というのは、時間的に、経済的に、精神的に、非常に負荷のかかるものです。子どもの勉強に付き合うことで多大な時間を奪われたり、塾や教材の費用で家計を圧迫されたり、子ども自身がやる気を失って勉強嫌いになってしまったり、心を折るような壁が幾度となく立ちはだかります。
そのため、「周りがやっているから」「なんとなくかっこいいから」「子どものためになりそうだから」といったあいまいな目的意識では、受験を乗り越えるのは不可能です。
だからこそ、親の「目的」がブレないことが重要になってきます。
親が、つらく困難な受験に対し、それを乗り越える意味があるのだという、たしかな信念を持つ必要があるのです。そうでなければ、子どもを数々の困難に立ち向かわせることはできません。
子どもにとってお受験は悪影響?
親にブレない「目的」が必要という前提を書いておきながら、いきなり否定的なことを書きますが、近年子どもの受験の悪影響が問題になっているそうです。
東京首都圏では受験戦争が過熱しているためか、中高一貫校が増えていると言われています。
中高一貫校のウリは、高校3年生までの学習を高校2年生までで終わらせて、最後の1年間をまるまる受験に当てられるということです。「高校の予備校化」と言われますが、大学受験のサポートを手厚くしてくれる高校が増えているため、逆に大学受験のサポートが少ない学校には親からクレームが出るようになっているそうです。
しかし、その弊害も生まれています。
先生や親から言われたことをきちんとこなす、「自主性」のあるいい子が増えている一方で、自分で学習プランを考えていくような「主体性」のある子どもは少なくなっているというのです。
ちなみに、自主性と主体性は違うと言われています。自主性とは、上から言われたことを前向きにこなすことであり、その実態は受け身です。他方、主体性とは、自らが主体となって、自分で考え、行動できる力です。
いまの受験のあり方は下手をすると、自分で考えない、主体性のない子どもをつくってしまう傾向があるのかもしれないと言われているのです。
無気力で自分で考えることができず、与えられないと何もできない。うまくいかないと、サポートが弱いとクレームをつける。皆さんの職場には、そういった若者が増えていないでしょうか?
加えて、いまの若者は、自分の強みも弱みにも関心がないそうです。「自分は価値のある人間だと思いますか?」というアンケートに、「価値のない人間だと思う」と答える子どもの比率が、中学生で55%、高校生で65%という恐ろしい結果が出ています。
いま、多くの親が「コスパのいい受験」「タイパのいい受験」を求めています。
いかに少ない労力で、偏差値の良い大学に入れることができるか。そうやって加熱した受験戦争のあとに生み出されてしまったのが、主体性も自信もない、言われたことしかできないいい子ちゃんだとしたら、それは大変なことです。
自主性と主体性についてもう一歩踏みこんでみましょう。
ビジネスの世界でも、主体性は重要視されています。いやむしろ社会に出たら、主体性がない人は、活躍するのが難しい世界とも言っても過言ではありません。
社会で求められるのは、さまざまな問題を解決し、価値を高め、チームを作り、リーダーシップを発揮する人です。
社会に出る前の期間に、自分で考えて行動してこなかった人、自分の強みや弱みに向き合ってこなかった人、与えられたレールに乗って勉強しかしてこなかった人は、多くの場合、社会に出てから価値を発揮できずに悩むことになります。
リーダーに求められるのは、IQよりEQです。EQというのは、心の知能指数と言われます。たとえば人の気持ちを考えられるとか、意見に耳を傾けるとか、間違いを認められるとか、相手の成長を願うことができるとか、人の役に立つことが嬉しいとか、そういった人間性の部分です。
社会に出ると新人の頃は、IQ=仕事ができるかどうかが求められますが、それは最初だけです。仕事が認められて部下を持つようになると、IQが高く、自分の仕事ができるかどうかよりも、EQが高く、人をうまく動かせるかどうかのほうが重要になっていきます。
もちろん、IQも重要です。自身も仕事をこなし、仕事ができるIQの高い人をたばねて、効率的に運用していくことも大事です。
ですが、上司の立場になっても、IQだけで勝負していると、人を見下したり、仕事ができない人に冷酷に対応してしまいがちです。結果として離職を増やしてしまい、組織の生産性は上がっていきません。
つまり、IQとEQの両方を兼ね備えて行いく必要があるわけです。
では、受験の話に戻ります。
受験を通して、養わせるべき能力は、IQ=頭の良さ、つまり学力に偏った受験で良いのでしょうか。EQ=心の知能指数を伸ばす受験にすることはできないのでしょうか。
結論を先に書くと、それは可能です。それどころか、EQを高めることがIQを効率的に上げるとさえ言えます。
ビジネスの現場で強いチームをつくってきた部下育成のノウハウをもとに、その可能性をここに示したいと思います。
EQを育てる受験にするには①
学びたい気持ちがないのに勉強させられることは、誰しも大きな苦痛があります。これは大人であろうと、子どもであろうと関係がありません。
子どもがいわゆる「勉強嫌い」になってしまうのは、無理やり勉強をさせてしまうからでしょう。
学びたい気持ちがない状態で勉強を無理強いさせることは、極力避けるべきです。
子どもの勉強への向かわせ方のヒントに、習い事があります。
子どもの習い事は、「楽しさを教える」ことをゴールにしているところと、「習熟させる」ことをゴールにしているところに分かれています。
たとえば水泳教室でも、水の中で泳ぐのが楽しくなることを重視しているスクールと、クロールや平泳ぎなどを泳げるようになること、さらには速く泳げるようになることを重視する専門性の高いスクールがあるのです。
この最初の入り口を間違わないことが大事です。いきなり厳しい環境の後者のスクールに入れてしまうと、子どもは泳げるようになるどころか、水泳嫌いになってしまう危険性さえあるのです。
私たちは、コスパ・タイパを求めてしまう傾向がどうしてもあります。
ですが、育成においては、まずはそのことに興味を持たせ、楽しさを知ってもらうことにエネルギーを注いだほうが、後々良い結果が出るものです。これは効率が重視されるビジネスの現場でも通用する、人を育てる効果的な方法です。
いまさせている勉強は、イヤイヤさせていませんか?
その楽しさを存分に味わっていて、もっと学びたいという気持ちを持たせられているでしょうか?
わかっていてもできていないのが、この「学びたい気持ち」を育てるアプローチなのです。
EQを育てる受験にするには②
学びたい気持ちが強くなったら、今度は習熟する喜び、平たく言えば「できるようになった!」という喜びをいかに感じてもらえるかが重要になってきます。
逆に、「できない」「成長していない」「苦手」となると、学ぶ楽しさは減っていってしまいます。
では、どうすれば「できる喜び」を増やせるか。それは、親の褒め方が重要です。褒め方には、以下のコツがあります。
1.結果ではなくプロセスを褒める
2.他人との比較ではなく、過去との比較で褒める
3.変化に気づかせるように褒める
これらは、わかっていてもできないものです。
1.結果ではなくプロセスを褒める
私たちはつい結果を褒めてしまいます。かけっこで1位になったとか、テストがクラスで1番だったとか、結果が出たときに「すごいね!」と結果を褒めてしまいがちです。
ですが、結果が出たときは、なぜその結果が出せたのか、プロセスに目を向けるべきです。どうして結果が出せたのか、プロセスをヒアリングするのもとても有効です。
「どうしてうまくいったの?」
「何をしたから結果が出たのかな?」
「成長できたところは何だろう?」
そうやってプロセスに目を向けることで、成果の再現性を高めることができます。
逆に結果を褒めてしまうと、「結果を出せない人は存在価値がない」と考えることにもつながりかねません。
2.他人との比較ではなく、過去との比較で褒める
「〇〇ちゃんより上手だね」といったように、他人との比較で褒めるのは、よくやってしまいがちですが、子どもの自尊心を傷つけてしまいます。
他人との比較でしか自分の価値を感じられない子どもになってしまい、やがて自分に自信が持てなくなっていくのです。
そもそも子どもは、つねに人と自分を比べてしまいます。自分は〇〇ちゃんに比べてこれができないとか、そうやって比較してしまうものです。親が一緒になって他人と比較すると、自分を信じる力が育っていかないのです。
過去と比較して、前よりできるようになっていることが自覚できると、自信が育っていきます。
また、「人は人、自分は自分」と切り分けて考えられるようになると、他人の長所を、嫉妬するのではなく、称賛したり、そこから学び取ろうとする心が育ちます。
他人との比較から脱却することが若いタイミングでできると、かなりEQの高い大人になることができます。
3.変化に気づかせるように褒める
子どもは、自分で自分の変化にはなかなか気づけないものです。
ですので、定期的に振り返って、3カ月前よりすごいできるようになっているね、など、変化に気づかせるような場を設けておくと、さらに自信が育つはずです。
EQを育てる受験にするには③
こうやって改めて見てみると、子どものEQを育てるには、そもそも親のEQが大事になってくるということがわかります。
子どもの気持ちに寄り添い、無理を強いることなく、学びたい気持ちを育て、できる喜びを増やしていく。そして、結果に着目するのではなく、プロセスに目を向け、子どもが何に興味を持ち、それを楽しめているのかに心を配り、褒め方を工夫する。
こうした態度は、ビジネスの世界において優秀なリーダーが実践していることです。
これらを実践するのは、親が子どもに対して、テストの点数だけ意識するような、IQ重視の姿勢になっていたら不可能でしょう。
また、EQを育てることがIQを育てること上げることと必ずしもぶつからないどころか、IQを上げるにはEQを上げることが重要だということもわかっていただいたと思います。
自分の子どものことになると、できなくなることも多いのですが、改めて、受験への向かわせ方をEQの目線で見直すと、改善の糸口が見えるのではないでしょうか。
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